【ミニコラム 第126号】街の中国語表記をもう少し伝わる形に
街中で目にする中国語の注意書きに、私はつい目がいきます。意図はまあまあ伝わるのに、言い回しが少し惜しい——そんな場面にときどき出会うことがあるからです。とくに「〜はお控えください」と伝えたい掲示では、せっかく外国語にしたのに肝心なところが伝わりにくいのでは? と感じることがあります。
先日、地下鉄で「请不要强迫自己登上火车」という掲示を見かけました。おそらく「無理なご乗車はおやめください」と言いたいのだと思いますが、中国語なら、短く自然な「请勿强行上车」などのほうが伝わりやすいでしょう。
注意書きの制作する現場では、時間や人員に限りがあり、機械翻訳に頼らざるを得ないことも多いのだと思います。ただ、最近は、機械翻訳にかけるよりも、AIに状況説明とあわせて作文を依頼するほうが、自然な表現が出てくることが増えたと感じます。たとえば「駅の掲示にふさわしく、簡潔で自然な中国語を複数案ください」と条件を添えて尋ね、そこから「もう少し短く」「やわらかめに」と整えていく、というような使い方です。
最終的に可能であれば、ネイティブの方に目を通してもらえるとさらに安心です。難しい場合は、AIに「この中国語は自然か」「修正点はあるか」と自己チェックを促すのも一案かと思います。
インバウンド対応は導線や接客だけでなく、“伝わる言葉づかい”も大切な要素。違和感のない一行が、少しずつ増えていくといいですね。
淼