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【ミニコラム 第30号】蘇州大学法学部の学生が上海ディズニーを提訴

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2023年10月06日


 最近、上海ディズニーが許可なく写真を撮影し販売したとして訴えられました。
 蘇州大学法学部の学生である王さんは、上海ディズニーを訪れた際、「皆さんの写真を撮影しました。1枚118元(約2400円)で購入できます」という案内を受取ったのですが、この上海ディズニーによる写真撮影は本人の同意を得ておらず、肖像権やプライバシー権を侵害したとして、王さんは上海ディズニーを訴えたようです。
 上海ディズニー側は、入園者は入場時に利用規約を締結しており、そこには「パークに入場することにより、撮影、録画および/または録音されることに同意したとみなされます。」という条項があると抗弁し、つまり、利用者はパークに入場することで利用規約に同意したことになり、撮影・販売して収益を得るというモデルは、合意の範囲内にあるというわけです。
この事件でまず鍵となるのは、民法典の施行前後で大きく異なる、肖像権の侵害という法的問題です。民法典が施行される以前の民法総則では、「本人の同意を経ないで、営利を目的として公民の肖像を使用してはならない。」と定められていましたが、民法典においては、「肖像権者の同意を経ないで、肖像権者の肖像を作成し、使用し、又は公開してはならない。」とはっきり規定されています。
 次に、上海ディズニーが主張した利用規約が民法典の様式条項の規定に準拠しているかどうかも、本件の争点の一つです。

 この事件が世間の注目を集めたのは、これが景勝地や観光名所でよく見られる商売だからでしょうが、この事件が最終的にどのように決着するかは、他の景勝地や観光名所にとっても参考となるものと思われます。

 2019年には、来場者がパーク内にお菓子を持ち込まないように鞄をひっくり返して検査をするのは権利侵害だとして上海華東政法大学の学生が上海ディズニーを訴えた事件がありました。その際は、上海浦東新区裁判所による調停で双方が合意に達し、その後、上海ディズニーは来場者に食べ物の持ち込みを許可し、手作業による手荷物検査を改善するようになりました。
 今回のこの事件はどこへ向かうのか、そして何か大きな影響を及ぼすのか、個人的に非常に楽しみにしています。
 

(三石)


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