ノービザ入国(短期滞在ビザ免除措置)の再開にあたって
ノービザ入国(短期滞在ビザ免除措置)の
再開にあたって
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先週金曜日(2024年11月22日)、日本から中国への短期滞在のための渡航に関するノービザ入国(ビザ免除)措置を再開する旨の発表がありました。
期間は11月30日から来年末(2025年12月31日)まで、商業・貿易、観光、親族訪問、交流・訪問、トランジットを目的とする30日以内の滞在が対象となっています。
中華人民共和国駐日本国大使館Webサイト11月22日掲載:「ビザ免除措置対象国の範囲拡大に関するお知らせ」 http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/tztg/202411/t20241122_11531311.htm |
コロナ禍で停止される以前のビザ免除措置【1】と比べると、既に報道されているとおり、15日から30日に延長されています。
このほかに、文言上は、「交流・訪問」(中国語も「交流访问」)が従来のノービザ入国措置に比べて追加されています。「商業・貿易」(中国語の表現は「经商」)、観光、親族訪問、トランジットは従来どおりです。
「交流・訪問」が増えている点については、2003年のノービザ入国を認めた当時と比べると、その後、2013年に《外国人入国出国管理法実施細則》が廃止されて《外国人出入境管理条例》が施行され、ビザの活動内容の区分が変更されたことに対応したものと思われます。
2013年改正前 | 2013年改正後 |
Fビザ:「招聘に応じて中国に来て訪問し、視察し、講義し、商売し、並びに科学技術・文化交流並びに短期研修及び実習等の活動」 | Fビザ:「交流、訪問及び視察等の活動」 |
Mビザ:「商業貿易活動」 (中国語「商业贸易活动」) |
日本語にすると若干分かりづらいのですが、ノービザで入国できるビザ免除措置の対象は「经商」であり、実はMビザの対象となる「商业贸易活动」とは少し違いがあります。
ノービザ入国といっても、無条件・自由に入国が認められるわけではありません。
3年半あまりにわたってノービザ入国措置が停止されていましたので、改めて、過去のノービザ入国に関する留意事項をこの機会にご紹介しておきます。
(1)活動の範囲
ビザ免除措置の対象範囲は、「商業・貿易」(「经商」)です。
中国への出張にあたり、この「经商」の範囲を超える活動をするときには、ビザの取得が必要になり、場合によっては就労許可も取得する必要があります【2】。
すなわち、2014年11月6日、《「外国人が入境して短期就労任務を完了することに係る関連取扱手順(試行)」の印刷発布に関する人的資源及び社会保障部、外交部、公安部及び文化部の通知》が発布され、中国国内の企業等に赴いて行う「特定の技術、科学研究、管理及び指導等の業務」については、「短期就労任務」として就労許可及びZビザ(就労ビザ)の申請が必要となることが明確化されています。
一方、「機器設備の購入に付帯するメンテナンス、据付け、テスト調整、取外し、指導及び研修」や「中国国内における落札プロジェクトについて指導、監督又は検査をすること」、「中国国内の支社、子会社又は代表処に派遣されての短期就労の完了」については、90日を超えないのであれば、短期就労任務の完了とは見なさないことも明文化されました。但し、この通知第2条に記載のとおり、これらの場合でも、Mビザの申請は必要になります。「经商」との関係が曖昧で、とても間違えやすい箇所ですので、十分にご留意ください。
(2)入国カード、持参書類
上記のようにノービザでの入国には活動内容の制限がありますので、この条件に適合すること、少なくとも不法就労ではないことを示すための書類を持参しておくことが望ましいと考えられます。
中国への入国審査時に記入することになる入国カードの入国目的欄(選択式)では、必ず「商務」(business)などノービザ入国の対象となる活動の欄にチェックを入れてください。
また、既にご承知かとは思われますが、コロナ禍前の2020年3月の時点と比べると、入国カードの記載事項は増えています。このうちには中国側の招聘者の名前と住所・電話番号を記入する欄もあります。
滞在目的や日程を記載した招聘状(Mビザ申請時に提出するもの)や、ホテル等の滞在先及びその住所・電話番号を記載した日程表などを持参しておくと、入国審査時など質問を受けた際に説明に便利かと思われます。
(3)ホテル等の予約・決済
最後に、事実上の配慮として、出張者の宿泊するホテルの予約や、飛行機・車の予約については、なるべく出張者ご本人か日本本社側で手配され、決済についても同様に出張者ご本人か日本本社側で行うことをお勧めします。というのも、過去、不法就労として取締の対象となった事例を見ると、出張者のために、訪問先企業が自身の名義でホテルや飛行機の予約を行い、且つ、訪問先企業がその費用を支払っていたことで、訪問先の招聘に応じて(ビザ取得が必要となる)技術指導等の就労活動を行ったと認定された例があるためです。
コロナ禍前と比べると、キャッシュレス決済の普及によりほとんど現金を使う機会が無くなり、現金では決済できない場面も増えています。ですので、どうしても出張者ご自身では決済できず、現地の訪問先企業の側で立て替えてもらうような場面も多々あるかと思われますが、なるべく無用の誤解を受けることがないように、予約・決済についても配慮しておいていただくと安全に出張いただくために有益かもしれませんので、ご参考までにお伝えしておきます。
【1】 中国領事服務網2003年8月29日掲載記事
http://cs.mfa.gov.cn/zggmcg/ljmdd/yz_645708/rb_647322/fwxx/200308/t20030829_935588.shtml
持普通护照短期来华的日本公民自二00三年九月一日起实行免办签证待遇 2003年08月29日 为适应中国经济建设和对外开放不断发展的需要,进一步促进中日两国人民的友好往来,中国政府有关部门决定自二00三年九月一日起,对持普通护照短期来华的日本公民实行免办签证待遇。届时,凡持普通护照来华经商旅游,探亲访友或过境的日本公民,停留时间从入境之日起不超过第15天出境者,均免办签证,并可从我国对外国人开放的口岸入出境。 |
【2】 在中国日本国大使館2015年1月13日付「中国の入国査証(ビザ)に関する新規定について(注意喚起)」
https://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/joho150113_j.htm
以上