【ミニコラム 第87号】6歳の少女が父親の代理でフルマラソンに参加?!
最近、中国江西省で開催されたマラソン大会で、6歳の少女がフルマラソンを走り切ったというニュースが話題になりました。報道によれば、ある男性がレース中に肉体的な疲労で途中リタイアを決め、代わりに6歳の娘にゼッケンをつけて走らせたということです。娘はその後、フルマラソンの距離である42.195キロを完走しました。
この間、審判員は何度も少女を止めようとしましたが、父親がその都度妨害し、審判員が少女を完全に止めてゼッケンを外したのはゴール直前だったといいます。この件について、大会の組織委員会は「代理出走」に該当する行為であり、大会規則に違反していると判断しました。
大会の公式ルールによれば、ゼッケンをつけた選手だけがスタートエリアに入ることが許され、ゼッケンの譲渡や貸与は禁止されています。また、フルマラソンへの参加資格は20歳以上に限られており、今回の行為は重大な規則違反とされました。こうした背景から、大会後、この件は中国陸上競技連盟(CAAF)に報告され、父親に対して大会結果の取り消しと3年間の出場禁止処分が科されました。
この事件について、インターネット上では、少女の忍耐力を称賛する意見が一部で見られました。しかし同時に、幼い子どもに過度な運動を課すことへの懸念が多く上がり、「早い段階で強度の高いスポーツに参加させることは、子どもの身体的発達に悪影響を及ぼす可能性がある」という指摘が特に目立ちました。
さらにその後の調査で、実際には少女は6歳ではなく10歳であることが判明しました。彼女は7歳から長距離走のトレーニングを受けており、父親が今回娘に代理出走させた理由は「10歳の記念として何か特別な経験を残したかった」というものでした。
こうしたニュースは、多くの人に過去の悲劇を思い起こさせました。例えば、以前、父親が息子をサイクリンググループに参加させた際、子どもが反対車線に転倒し、対向車に轢かれて命を落とした事故が挙げられます。
子どもの体力を鍛え、意志を育てたいという親の願いは理解できます。しかし、焦りすぎて無理を強いることは、逆効果になる場合が多いでしょう。ましてや、注目を集めるために行った行為が悲劇を招けば、一生後悔することになりかねません。
三石