【ミニコラム 第17号】企業が四川大学出身者を採用拒否?!
6月16日のコラム「SNSと道徳心」で「四川大学女学生SNS事件」についてご紹介しましたが、6月21日、四川大学がついにこの学生に対する処分を発表しました。それによれば、教育と規律を両立させるという原則に基づき、生徒の規律に関する規則および党の規律規則に従い、当該生徒に「学籍保留観察及び党籍保留観察」の処分をすることになったようです。
一方、北京のある法律事務所は、6月25日、この事件を受けて四川大学の卒業生を採用しないとの通知を出したのですが、その後、北京市海淀区弁護士会から指導を受け、6月26日に通知を削除しました。これについて、四川大学は「採用するかどうかは法律事務所の自由」とコメントしたのみでした。また、6月26日、上海のある企業のCEOが四川大学の学生や教員の採用を拒否するという記事を投稿したところ、上海市人的資源社会保障局が、企業の公式アカウントがこのような情報を公開した場合は違法であり、労働監察部門が調査に入ることになるが、個人アカウントで関連内容を公開しただけであれば、労働監察部門に調査権限はないという見解を示しました。その後、同CEOは、同社が四川大学の学生や教員を採用しないとする発言は、単に個人的な意見、提案に過ぎないとの声明を出しました。
また、6月28日には、人民日報が「社会的評価に目を向けず、客観的基準を無視し、個人的な好き嫌いで基準値を設けることは、より多くの優秀な求職者を締め出すだけだ」と論評し、こうしてSNS上でセンセーションを巻き起こした「四川大学女学生SNS事件」は幕を閉じました。
四川大学が「海は百川を納め、容の大なる有り」の校訓そのままに、世論に縛られることなく、規則に従って対処したことは賞賛されるべきでしょう。他方で、法律事務所と企業が四川大学の学生の採用を拒否するといったのは、つまるところ「出自主義」であり、それ自体は世間の耳目を集めようとした行為だったように思われます。
(三石)