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【ミニコラム 第152号】「精致窮」から「機智省」へ

メールマガジン
2026年04月16日


 最近、微博の検索トレンドで「若者は“精致窮”から“機智省”へ」が関心を集めています。

 「精致窮」という言葉が広く使われるようになったのは2018年ごろのことです。見た目の華やかさや“ちゃんとしている感”を保つために、身の丈を超えた消費を続け、実際にはお金に余裕がない状態を指します。いわば、「精致さは演出にすぎず、貧しさこそが実態」という状況です。

 特に2018年前後は、消費主義の広がりやネットローンの普及に加え、SNSの影響も大きかったとされています。流行の商品を追いかけ、写真を投稿して“充実した自分”を演出する――こうした消費行動に流された結果、月給を使い切る「月光族」になったり、借金を抱えたりする若者も一定数見られました。

 これに対し、「機智省」は2025年から2026年にかけて広がった新しいネット流行語であり、「精致窮」の対義語のような存在として注目されています。経済成長の鈍化や雇用不安、住宅価格の重圧といった現実を前にして、若者たちは消費に対する冷静さを取り戻しつつあります。必要なものはセールのタイミングを待ち構えてまとめ買いし、使わなくなったものは中古市場で回し、不要な出費はきっぱり避ける。「節約するときは節約し、使うべきところにはきちんと使う」という感覚です。

 これは単なる節約志向や消費のダウングレードではありません。むしろ、ブランドの上乗せ価格や見せかけのイメージに振り回されず、自分にとって本当に必要なものを見極めるようになったと言えるでしょう。不確実な時代のなかで、生活の主導権を自分の手に取り戻そうとする姿勢とも言えます。

 「精致窮」は無理をして体面を取り繕う生き方であり、「機智省」は現実を見据え、身の丈に合った暮らしを理解する姿勢です。「精致窮」から「機智省」への変化には、この世代の人々の冷静さと成長が表れているようにみえます。
 

三石


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