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【ミニコラム 第133号】ネット通販「ダブルイレブン」 、巨大タグ&ダイヤルロックの“着用後返品”新防止策

メールマガジン
2025年11月21日


 毎年11月11日の「ダブルイレブン」はネット通販が盛り上がる時期ですが、近ごろ衣類のオンライン購入をめぐって、“着用後返品(蹭穿)”を防ぐためのちょっと変わった対策が話題になっています。たとえば、A4サイズの巨大タグをつけたり、ファスナーにダイヤルロックを取り付けたりと、一見極端にも見える方法ですが、販売側としては苦肉の策でもあるようです。
 もともと衣料品は返品率が高く、ライブコマースの女性向け衣料では返品率が50〜60%に達するといわれています。「7日間無条件返品」制度を悪用し、イベントに着て行ったり、観光地で“映え写真”を撮ったりしたあとに返品する“着用後返品”のケースも少なくありません。瀋陽では以前、60人以上の学生が運動会用に衣類を購入し、使用後にまとめて返品した事例もあり、販売側に大きな損害を与えました。
 販売店によりますと、巨大タグは1点あたり約8元とコストがかかるわりに効果は限定的で、そこまで対策しても一部の消費者はタグを切り取って返品してくることがあるそうです。結局、タグを切られてしまえば通常の“着用後返品”と変わらず、送料やクリーニング代、場合によっては廃棄費用まで販売側が負担する状況は残ったままです。一方、ダイヤルロックは試着には支障がなく、商品受け取り後にパスワードを知らせる仕組みです。ロックはそのまま手元に残して構わないとされており、主な目的は悪質な“着用後返品”を防ぐことにあります。
 こうした対策には賛否が分かれています。「他人が着た服は買いたくない」という声もある一方で、本来は“Win-Win”であるはずのネットショッピングが、なぜ販売店と消費者の攻防のようになってしまったのかという疑問も上がっています。

 私自身も、商品が期待と異なった際に「7日間無条件返品」を利用したことがあります。また、販売店が誤ったサイズを送ってきたものの、返品送料が見合わないという理由で、販売店側から「返品不要」と提案され、代わりの商品を再送してもらったこともありました。
 理性的な返品は消費者の正当な権利であり、販売側の一定の対策も自衛のための対応だと思います。双方が少しずつ思いやりを持つことで、ネットショッピングが本来の楽しさを取り戻し、気持ちよく“Win-Win”になれるのではないでしょうか。
 

三石


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