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【ミニコラム 第123号】胖東来、無料の使い捨て箸で訴えられる?

メールマガジン
2025年09月05日


 先頃、河南省新鄉市の胖東来生活広場が、無料で提供していた使い捨て箸をめぐり消費者から提訴されました。理由は「個別のラベルがなく、知る権利を侵害している」というもの。予想外の訴えに、ネット上でも大きな議論が巻き起こっています。
 胖東来は河南省を代表する小売企業で、地元住民から厚く支持され、しばしば“奇跡のスーパー”とも称されます。全国からわざわざ訪れる人も少なくなく、「社員の幸福、顧客の満足」を理念とし、期待を超えるサービスで何度も話題になってきました。
 今回の訴えに対し、胖東来は速やかに説明を発表。箸の外装には製造情報や品質検査の結果が記載されており、すでに市場監督部門も品質に問題がないと確認しているとしました。法律の専門家によると、国家標準でも1膳ずつ日付を記載する義務はなく、消費者を誤導せず安全性に問題がなければ、企業が責任を問われる可能性は低いとされています。現在、裁判所は既に事件を受理していますが、開廷はまだで、今後の結論は不透明な状況です。
 ネット上では「訴えるなんて細かすぎる」「プロの“当たり屋”では?」といった批判が多く見られます。ただ同時に、この件は企業に対して「無料の供給品であっても、コンプライアンスを意識し、表示や説明を徹底する必要がある」ことを改めて示した事例といえるでしょう。

 

三石


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