【ミニコラム 第112号】CRSって?!
最近、中国の富裕層がザワついています。
中国税務局から、富裕層あてに「海外で収入がありますね、6月30日の個人所得税確定申告期限までに海外での収入について申告するように」という電話がかかってきているからです。中国税務局はCRSで入手した中国居住民の海外の金融口座情報に基づき、その収入を2023年に遡って中国での申告を要求し、かつ適正に申告しない場合には罰金が発生すると言われているようです。
そのため、電話等で連絡を受けた富裕層たちは6月末の申告期限までに間に合うように慌てて専門家等に依頼して申告手続きに入っています。
ところで、CRSとは何ですか?ということについては、日本国税サイトで以下のように説明されています。「外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。」
中国においては、CRSに基づく国家税務総局への報告は2018年にはすでに開始されていたはずですが、これまで中国税務総局はこのCRSに基づく表立った徴税活動は行っていなかったようです。それが、今年に入り、その徴税活動が活発化しているのは税収不足が背景にあるのではないかと推測しています。
永野