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【ミニコラム 第103号】ペットの犬や猫が高速鉄道に同乗可能に

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2025年04月11日


 中国鉄道当局は、4月8日から北京〜上海間を走る一部の高速鉄道(京滬高鉄)にて、ペットの犬や猫を対象とした新たな試験サービスを開始しました。このサービスは、「隔離輸送・人とペットの分離・専任スタッフによる見守り」を基本方針とし、飼い主がペットと同じ列車に乗りながら、安全にペットを預けることができる仕組みとなっています。
 予約は公式アプリ「鉄道12306」から、乗車日の2日以上前までにオンラインで申し込みが可能。利用できるのは、家庭で飼われ、人になれている健康な犬または猫で、1匹につき体重15kg以下、体高40cm以下の条件を満たす必要があります。
 対象の列車には、ペット専用の輸送用ボックスを収納できる「高速鉄道宅配ボックス」が設置されており、客室とは明確に隔離。運行中はスタッフが定期的に巡回し、ペットへの面会は禁止されています。料金は走行距離に応じた段階制で、現在は試験導入として通常料金の30%割引を実施中。割引後の価格は、最も短い1000km以内で360元(約7200円)、最長の2000km超では860元(約1万72000円)となっています。
 この新サービスは開始直後から大きな反響を呼びました。
 ペットを飼っている人たちからは、「長期休暇中の預け先に困っていた」「長距離の移動がずっと安全で楽になる」と歓迎の声が上がる一方で、ペットを飼っていない利用者からは、「衛生面やニオイ、アレルギーの心配がある」といった懸念も。さらに、一部の利用者からは「輸送ボックスの密閉性や万が一の対応が不安」との声もあり、「まるで生きたまま棺桶に入れられているようだ」と、ペットのストレスを危惧する意見も見られました。
 とはいえ、ペットと一緒に旅をしたいというニーズに対応するサービスとしては、一歩前進。利便性の向上という点で、大きな意義がある取り組みといえるでしょう。
 ちなみに、日本でも先月、JR東海が東海道新幹線で「わんわんエクスプレス」という運行イベントを実施し、初めてペットの犬がキャリーバッグから出て、飼い主と一緒に座席で過ごせるという試みが話題となったようです。
 ペットとの移動がより身近になる中で、人と動物が共に快適に過ごせる仕組みづくりが、これからますます求められていきそうです。
 

三石


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