【ミニコラム 第95号】爆竹響けば、万金の兆し
中国の伝統では、旧暦1月15日の元宵節を迎えて初めて、正月が本当に終わったとされ、元宵節後にやっと日常が戻ってくる感覚です。
中国全土が春節を祝うなか、一つのニュースが大きな話題となりました。四川省内江市資中県で、ある男の子が爆竹をマンホールに投げ込んだところ、誤って浄化槽のメタンガスに引火し、爆発を引き起こしたのです。
春節に花火や爆竹による事故が発生するのは毎年のことですが、今回の事件が特に注目されたのは、爆発の影響で周囲に駐車していた高級車――リンカーン、ポルシェ、ランドローバー、レクサス、アウディなどが巻き込まれたためです。幸いにも負傷者は出ませんでしたが、一部のネットユーザーは被害額を試算し、車両の価値や地面の損傷を考慮すると、損害は数百万元(数億円規模)にのぼるのではないかと推測しました。
続報によれば、この事故で被害を受けた車両は8台。保険会社の初期見積もりによると、被害総額は約28万5000元(約600万円弱)とされています。この額は、ネット上で懸念されていた数百万元という試算よりはるかに低く、たとえ子どもの家族がすべての損害を負担するとしても、破産に追い込まれるほどの負担にはならないでしょう。
ところで、環境保護や公共の安全、騒音問題、伝統文化の継承といった観点から、中国では花火や爆竹の使用規制が近年何度も見直されています。スモッグ問題が深刻だった時期には、一律禁止とする厳しい措置が取られましたが、近年では春節期間中のみ規制を緩和するなど、地域の状況に応じた柔軟な対応が見られるようになりました。
花火や爆竹は、世代を超えて子どもたちの春節に欠かせない楽しみの一つでした。この伝統文化を守りつつ、環境への影響を抑え、安全を確保する――そのバランスをいかに取るかは、今後も長く議論される課題となりそうです。
三石