【ミニコラム 第80号】カイラス山巡礼路トレッキング
国慶節休暇にカイラス山巡礼路のトレッキングに行ってきました。
カイラス山は、チベットの阿里地区(インド国境に近い奥地、標高4000mを超える地区)に所在する聖なる山で中国語では「冈仁波齐(gangrenboqi)」と呼ばれています。カイラス山は聖なる山であるため登山自体は禁止されていますが、カイラス山を周回する巡礼路があり、その巡礼路を歩いてきました。
「もう二度と行かない」と思うほど、過酷で辛いトレッキングでした…。
この巡礼路は全長52㎞で標高4500m以上の高地に位置し、かつ、標高5600mの峠を超えなければならないルートになっています。このルートを二泊三日で走破する日程でした。ちなみに高地に常住しているチベット族の中には明け方に出発して夜遅くまでの1日で周回する人もいるようです。
高地であることから空気が薄いため、ゆっくり歩くしかないのですが、2日目の5600mの峠越えは地獄でした…。ダラダラと続く登り路を登っていき、眼前にみえる一番高いところが頂上だから頑張ろうと思って、何とかたどり着くとその先にもっと高いところが続いているということが3、4回繰り返され、体力も気力も尽きかけたところで、タルチョがひしめいてなびく峠の頂上にやっとたどり着きました。ガイドからは峠を越えたら、後は下るだけですからと言われたのですが、下りの路も相当に結構険しい路で…、また、平坦地についてもそこは標高4800メートルの平坦路で、そこをまだ12キロも歩かないといけないという道のりで…、遠い目をしながら気力だけで足を進めるような状況でした。
チベット族のなかには、この厳しい巡礼路を五体投地で回っている人も相当数いました。五体投地を始めるとどんな岩だらけの路であっても、水が流れているようなところも避けずに五体投地で歩を進めないといけないということでしたが、歩くだけでもキツイ路を五体投地で回るって…、その信仰心に敬服しかありませんでした。
ところで、この巡礼路を回るときに、チベット族のガイドから数珠をプレゼントされ、それを持って一周したのですが、後から聞くと、巡礼路を一周した数珠は、特別な力を授かると言われているようです。この数珠はお守りとして大切にしたいと思います。
永野