【ミニコラム 第43号】「繁花」ボーナス
1月9日、年始の大型ドラマ「繁花」の初回放送が終了しました。これは、香港の著名な映画監督であるウォン・カーウァイが初めて手掛けた、20世紀90年代の改革開放を背景に上海バンドで起こる出来事を描いたドラマです。このドラマが広く注目されるにつれて、さまざまな業界が「繁花」ボーナスにありついています。
衣:ドラマの主人公と同じブランドのスーツが、2024年最初の人気メンズファッションとなりました。
食:ドラマに登場した「排骨年糕(スペアリブ餅)」は、フードデリバリーのプラットフォームで検索上位に入り、検索量が急上昇しています。「船王炒飯」もそっくりに復刻され、異常な売り上げです。和平飯店は「繁花」とのコラボで定価1460元のオーダーメード二人用セットを1日20セット限定で売り出して好評を博し、続けて「繁花アフタヌーンティー」セット一人用599元、二人用999元も売り出しました。ちなみに、この価格に加え16.6%のサービス料を取られるので注意が必要です。
住:主人公が長く部屋を借り上げているホテル——和平飯店は、「繁花」ブーム最大の勝ち組でしょう。和平飯店がドラマのモデルとなった72号ブリティッシュ・スイートを「ブリティッシュ繁花スイート」とあらためて、1泊あたり平日16888元、週末18888元で販売したところ、予約でいっぱいになりました。春節期間の価格は28888元に跳ね上がっていますが、既に予約済だそうです。
行:主な舞台となる黄河路は、新たなバズリストリートとなりました。小紅書(RED)では多くのツアーガイドが「繁花」シティ・ウォークのルートを売り出しており、たった3㎞ほどのツアーが520元もします。
ドラマと文化・観光が深く融合した現在、多くの業界が「繁花」のボーナスにありつきましたが、さてこのボーナスの花はいつまで咲き続けられのるか。ドラマ人気を文化・観光に転じ、ドラマに文化・観光を牽引する「ロングテール効果」を発揮させることができるかどうかは、地元の人々の文化的素養が試されるところかもしれません。
三石