【ミニコラム 第37号】中国の出資持分評価
最近、出資持分評価にかかるご相談が多いので、中国の出資持分評価について簡単に概要を説明したいと思います。
中国で出資持分譲渡を行う場合、国有資産に関係する持分譲渡は除き、譲渡対価は売買双方の交渉によって自由に確定することはできますが、価格交渉の過程で出資持分の評価を行うケースが多くあります。
日本では不動産の評価を行う不動産鑑定士という資格はありますが、出資持分(株式)の評価を行うための国家資格等はありません。一方、中国では、出資持分(株式)、不動産等の評価については国家資格を有する評価事務所があり、当該評価事務所に依頼して評価を行います。
ちなみに国有資産に属さない出資持分の譲渡については、価格交渉時に評価事務所に評価を依頼しなければならないという規定はないため、自社で独自に評価額を算出したうえで価格交渉を行うこと自体は何ら問題ありません。
但し、出資持分や不動産を譲渡するにあたっては、譲渡所得を税務局へ申告する必要がありますが、その税務申告の際に評価報告書の提出を要求されることが多いです。というのは、税務局は、売買双方が合意した譲渡対価、評価額、直近の簿価純資産価値のうち、最も高い金額を譲渡所得とみなして譲渡益を計算してくるからです。
評価事務所に評価を依頼する場合には、評価師に丸投げするのではなく、評価師との意思疎通が非常に大事になってきます。
なお、評価報告書正式版は中文で作成されます。評価事務所によっては英文版を作成してくれるところもありますが、さすがに日文版を作成してくれるところはないため、和訳が必要な場合には和訳を手配します。
(永野)