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【ミニコラム 第24号】転勤を拒否して解雇され、44万元の賠償金を獲得?

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2023年08月18日

 
 穆さんは2004年に上海のある会社に入社し、18年3月に労働契約を1年更新しました。その際、全国転勤や出向を受け入れること、その指示に従わなかった場合、会社は経済補償や賠償金を支払わずに穆さんとの労働関係を解除できることが追加合意されました。同年8月17日、会社は穆さんに8月20日から南京で勤務するよう求める異動通知を出し、役職、給与に変更はないものとしましたが、穆さんはこの転勤に同意せず、8月20日から9月5日まで上海で出勤を続けたところ、9月5日、会社は欠勤を理由に労働契約を解除しました。穆さんは仲裁委員会に仲裁を申し立て、会社に対し労働契約解除の賠償金として28ヶ月分の給与約55万元、2018年の年末賞与4万元などの支払いを求めましたが、仲裁委員会はこれを支持しませんでした。穆さんは納得せず、裁判所に訴えを提起しました。
 一審の浦東新区人民法院は、穆さんが江蘇省で出勤しなかったのは欠勤にあたり、会社がこれを根拠に労働契約を解除したことは不当ではないとの判決を下しましたが、穆さんは判決を受け入れず、上海第一中級法院に控訴しました。
 上海市第一中級人民法院は、第二審において、生産・営業上の必要により使用者の事業所が変更されることは、社会・経済生活においてよく見られることであるが、労働契約の履行場所の変更により労働契約の正常な履行に影響が及ぶか否かは、その変更が労働者の労働契約の継続的履行に実質的な困難や影響をもたらしたか否かという観点から検討されるべきであるとしました。また、本件において、会社と穆さんとの間には勤務地の変更について争いがあり、穆さんは確かに新しい勤務地に出勤していませんが、元の職場で働いていたことについては関連の証拠を提供していたので、会社が欠勤を理由として労働契約を解除したことは根拠が欠けており、相応の責任を負って、44万元余りの賠償金を支払うものと判断しました。
 使用者は法律に従って雇用の自主権を享受しますが、権利行使にあたっては法や枠組みを超えてはならず、合法性と合理性の原則に従わなければなりません。使用者が生産・管理の必要性に応じて労働者の職位や職場を変更する場合、労働者の権利を十分に尊重し、労働者の実情を考慮し、労働者の適法な権益を損なうことなく、相互の合意により解決する必要があります。
 

(三石)
 

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