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【ミニコラム 第16号】姪が叔母の動画、住所をSNSに投稿して裁判沙汰に

メールマガジン
2023年06月20日

 先日、親族間の口論を撮影した動画をTikTokに投稿したことから、人格権の紛争が発生した事案が記事になっていました。
 銭さんという女性が弟の家に母親を訪ねたとき、誰が年寄りの面倒をみるかで弟の家族と口論になってしまい、その間、姪が、「TikTokにあげてやる!」と何度も言うので、頭に血が上った銭さんも負けずに何度も「あげれば!?」といい返したようで、その後、姪は怒りに任せて自宅の監視カメラと携帯電話の録画からショートムービーを作成し、銭さんの自宅の住所までも記してTikTokに投稿しました。翌日、このショートムービーは銭さんが住むマンションのオーナーが参加するSNSグループに回覧され、グループ内で注目と議論が巻き起りました。
 銭さんは、姪が自分の同意なく動画と自宅住所をTikTokに投稿したことは、肖像権やプライバシーの侵害であると考え、姪からの謝罪と損害賠償を求めて裁判所に提訴しました。小鍾は、銭さんの同意を得て動画を投稿したと主張し、銭さんの主張に反論しました。
裁判所は、銭さんが激しい口論の中で思わず「あげれば!?」と言ったのは銭さんの真実の意思表示ではなく、姪はその状況を明らかに知り、又は知るべき状況にあったとして、銭さんの同意を得てビデオを撮影し公開したという姪の抗弁を支持しませんでした。また、自宅住所は法律で保護された個人情報であり、小鍾が銭さんの同意なく住所を投稿したことで銭さんの私生活に一定の影響を与え、人格権侵害にあたると判断し、裁判所は、姪に対しTikTokにビデオを投稿して銭さんに謝罪し、銭さんの精神的損害等7,700元を賠償するよう命じました。
 インターネットの時代となった今、写真や動画を撮影してSNSに投稿することが多くの人の習慣になっていますが、サイバースペースは法外の場所ではなく、ともすれば肖像権やプライバシー、名誉などの人格権の侵害で損害賠償や刑事罰に問われることもあります。

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(三石)
 

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