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【ミニコラム 第15号】SNSと道徳心

メールマガジン
2023年06月16日


 最近、中国で非常に話題となっているのが、「四川大学女学生SNS事件」です。
 人民日報評論のWechat公式アカウントでもコメントがでるくらいの騒ぎになっています。

 事件の経緯としては、「6月7日に広州の地下鉄で一人の年配のおじさんが通路に座り込んでスマホをいじっていたところ、四川大学の女学生が自分を盗撮していると思い込んで、その場でそのおじさんにスマホに保存された写真を見せろと騒ぎ、濡れ衣を着せられたおじさんは、自分のスマホの写真ライブラリを女学生に見せて、そんなことをしていないと潔白を証明し、その女学生もその場で自分の勘違いであったことを認めた」ということがあり、その事件自体はその場で解決していたのですが、その後、その女学生はおじさんは無実だったと分かったにもかかわらず、SNSにおじさんの画像を公開して「猥雑男」に盗撮されたという動画をUPし、その動画が瞬く間に拡散されたことで世間を騒がせる自体になっています。その動画をみたおじさんの息子が「スマホの操作もまともにできない父が盗撮できるはずもはく、また、潔白をその場で証明したというのに、父を貶めるような動画をUPした女学生に公開謝罪を求める」という動画をUPしたことで、更にSNS上で女学生に対する批判が殺到し、女学生もその後、「私の間違いでした。申し訳ありません。」という謝罪文をSNS上にUPしたのですが、もう、その時は後の祭りでした。その女学生の情報が探され、四川大学の新聞学科に在籍していることがわかると、「メディアに関わる者が偽情報をUPするとはけしからん、道徳心のかけらもない」という批判でSNSが更にヒートアップしたことで、その女学生をインターンとして雇うことになっていたテンセントはその契約を解除するということを公表してます。テンセントがそのような処分を行ったことで、現在は四川大学は何の処分もしないのかという声も殺到している状況です。

 この女学生は自分のSNSの再生回数を稼ぐのに世間が一番興味を持ちそうな事件だと思って、深く考えずに動画をUPしており、ひとつの動画が自分の将来をつぶすことになるとは微塵にも思ってもいなかったはずです。世間からは自分のことしか考えておらず、その動画をUPすることで罪のないおじさんにどれほど大きなダメージを与えるかについては考えもしていない、あまりにも自分本位で道徳心がないと袋叩き状態です。
 中国のネット社会における情報の拡散スピードは非常に早く、今回のように悪事だけでなく、人々が共感する感動的な出来事もあっという間に拡散されます。
 自分でUPしなくても他人に動画を撮影され、UPされていることも多いですので、日々の言動行動には注意が必要です。 

(永野)
 

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