中国の暗号化規制について
■相談内容
現在の中国の暗号化規制は商業用暗号管理条例(以下「条例」)と暗号法の二つがあるようですが、次の点についてご教示ください。
1.条例と暗号法の輸入規制に関する関係性
暗号法では、「大衆消費類製品に採用される商業用暗号」については、輸入規制を掛けないとする一方、「国の安全及び社会公共利益にかかわり、かつ、暗号化による保護機能を有する」商業用暗号については規制対象とされています。(なお、条例では条文上そのような条件を付けることなくおよそ「暗号製品若しくは暗号技術を含む設備」に対して輸入規制をかけているように見えます。)
これは、暗号法により条例に言う「商業用暗号」が二種類(大衆消費類製品とそれ以外)に分けて整理され、その結果輸入許可規制が緩和された(大衆消費類製品は条例においても規制対象外とされた)と解釈してよいのでしょうか?
2.仮に上記1.の解釈が正しい場合、「大衆消費類製品」に当たるか否かの明確な判断基準はあるのでしょうか?
3.「商業用暗号輸入許可リスト」とはどのようなものでしょうか?また、中国当局からもう公布されているのでしょうか?
4.「輸入」「使用」の判断基準
日本国内で販売・提供されているデータの暗号化ソフトや、ファイルの暗号化と伝送機能を持つSaaS(暗号化機能はクライアントソフト側)の利用企業が、中国への自社の出張者とのデータのやり取りにこれらの製品を利用する場合、条例ないし暗号法上「輸入」または「使用」に該当する可能性があると思われますが、「輸入」および「使用」の具体的な判断基準(あるいは目安となるような判断要素)はあるのでしょうか?
(具体的な想定ケース)
(1)中国出張者が暗号化ソフトをインストールしたPCを中国に持ち込み現地の支社や現地法人の事務所で使用する。
(2)中国出張者が現地の支社や現地法人の事務所からベンダのSaaSのクライアントソフトをダウンロード(又は日本本社から送付または送信)・同ソフトでデータを暗号化し、当該データを同SaaSの設備(日本国内)にアップロードする。
(3)上記(2)とは逆に、日本本社が日本で作成した暗号化データをベンダのSaaSの設備にアップロードし、中国出張者が現地の支社や現地法人の事務所にてダウンロード、復号化(パスワードはダウンロード後システムからメールで送られてくる)。