キャスト中国ビジネス

【ミニコラム 第117号】 サムズクラブ、チョコパイで大炎上

メールマガジン
2025年07月25日


 最近、会員制スーパー「サムズクラブ」で、どこにでもあるような「オリオン・チョコパイ」が販売され、SNS上で話題となりました。庶民的な価格帯のお菓子が、同店の「高級セレクト」というイメージとかけ離れていると受け止められたためです。
 サムズクラブは、アメリカ発の会員制大型スーパーで、日本の方には馴染がないかもしれませんが、高級路線のコストコのような存在です。年会費260元(約5,300円)を支払って入会する会員にとって、買い物は単なる消費行動ではなく、“特別感”や“上質な暮らし”の象徴でもあります。そこに、原材料に代用カカオ脂やショートニングが使われたチョコパイを置いたことから、「これを買うために年会費を払っているの?」ということでちょっとした騒ぎになったようです。
 コスト削減を目的に手頃な商品を取り入れたサムズクラブですが、会員が重視していたのは「価格」よりも「選ばれた感覚」でした。近ごろは高級酒として名高い茅台酒の抽選販売や歯のクリーニングといった特別なサービスも縮小され、取り扱う商品も以前より身近なものが増えてきており、「以前ほど魅力を感じない」という声が出ているのも、そうした変化を映し出しているのでしょう。
 年会費を払わないと買い物できない、かつ、置いてあるものは上質なものという“特別感”がなくなると、これまで支えてきた会員たちも、少しずつ離れていくかもしれません。
 

三石


 >>> コラム

最新関連コンテンツ