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【ミニコラム 第21号】消費税還付詐欺

メールマガジン
2023年07月26日

 日本のニュースで、中国人が法定代表の貿易会社が飲料水を高級化粧品と偽って輸出し、多額の消費税還付金を詐取し、追徴課税されたという事件が報道されていました。
 このニュース報道が中国のSNSでもUPされていましたが、そのニュースをみた視聴者からは「国内だけでなく海外でも悪事を働いている」「恥だ」「日本の中国人社長がまた迷惑を被る」「中国人の信用をどれだけなくしたかわからない…」等々のコメントが寄せられていました。
 実は中国では、日本の消費税還付制度に関する情報について、非常の多くの動画がUPされていますが、それだけ日本の消費税の還付制度について興味を持っている人が多くいるということだと思います。
 日本の税制は「性善説」を前提にしていると感じますが、中国の税制は「性悪説」、「人は悪いことをする」ということを大前提としています。そのような国からみると日本の制度は言ってみると「非常に悪事を働きやすい」のかもしれません。今回のような輸出による消費税還付、中国の場合は「輸出増値税還付」ですが、この輸出増値税還付について言うと、中国では貿易会社が商品を輸出し、増値税の還付を申請する場合、原則、国内で仕入れた際に発行される増値税インボイス(このインボイスもすべて税務局管理下での発行)に記載された商品明細と数量が輸出インボイスに記載された商品明細及び数量と完全に一致し、かつ海外から売掛金が回収されないと還付申請はできないことになっています(※貿易会社のみ、製造会社は別制度)。更には増値税詐取には厳しい刑罰が規定されています。
 ただ、中国人が理解していないと思わるのは、日本の税務当局の調査は非常に緻密で厳しいということです。というのは中国では日本のような税務調査、会社に税務官がきて、帳簿を税務官自らチェックするというような調査は通常、実施されていないからです。
 いずれにしても「悪事はバレる」ということだと思います…。
 

(永野)
 

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