建築物の区分所有権紛争事件を審理する際の具体的な法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈(2020年)
2009年5月14日法釈[2009]7号により公布、同年10月1日施行
2020年12月29日法釈[2020]17号により改正公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]17号
十三、「建築物の区分所有権紛争事件を審理する際の具体的な法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈」を改める。
1.名称を次のように改める。
「建築物の区分所有権紛争事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈」
2.序文を次のように改める。
「建築物の区分所有権紛争事件を正確に審理し、かつ、法により当事者の適法な権益を保護するため、『民法典』等の法律の規定に基づき、民事裁判の実践を考え合わせ、この解釈を制定する。」
3.第1条を次のように改める。
「建築物の専有部分の所有権を法により登記して取得し、又は民法典第229条から第231条の規定により取得した者については、民法典第2編第6章におけるオーナーであると認定しなければならない。
建設単位との間の商品建物売買の民事法律行為に基づき、既に建築物の専有部分を適法に占有しているけれども、法により所有権登記手続をしていない者については、民法典第2編第6章におけるオーナーであると認定することができる。」
4.第2条を次のように改める。
「建築区画内における次に掲げる条件に適合する家屋並びに駐車場、売場等の特定空間については、民法典第2編第6章における専有部分であると認定しなければならない。
(一)構造上の独立性を有し、明確に区分することのできるもの。
(二)利用上の独立性を有し、排他的に使用することのできるもの。
(三)登記し特定のオーナーの所有権の客体となることのできるもの。
規画上、特定の家屋に専属し、かつ、建設単位が販売する際に既に規画に基づき当該特定の家屋の売買契約中に組み入れられているバルコニー等については、前項における専有部分の構成部分であると認定しなければならない。
第1項における家屋には、建築物全体を含む。」
5.第3条を次のように改める。
「法律及び行政法規所定の共有部分のほか、建築区画内の次の部分についても、また、民法典第2編第6章における共有部分であると認定しなければならない。
(一)建築物の基礎、荷重負荷構造、外壁、屋根等の基本構造部分、通路、階段、ホール等の公共通行部分、消防、公共照明等の附属施設及び設備並びに中間避難階及び設備階又は設備部屋等の構造部分
(二)オーナーの専有部分に属さず、また、市政公用部分又はその他の権利者の所有にも属しない場所及び施設等
建築区画内の土地については、法によりオーナーが共同で建設用地使用権を享有する。ただし、オーナーの専有に属する建築物全体の規画占用地又は都市・鎮の公共道路若しくは緑地占用地は、これを除く。」
6.第5条を次のように改める。
「建設単位が配置比率に従い駐車場及び車庫を、売却、贈与又は賃貸等の方式によりオーナーに処分する場合には、その行為が民法典第276条の『まずオーナーの必要を満たさなければならない』ことに関係する規定に適合すると認定しなければならない。
前項において「配置比率」とは、規画により確定された、建築区画内における自動車の駐車に用いることが規画された駐車場及び車庫と家屋戸数との比率をいう。」
7.第6条を次のように改める。
「建築区画内における自動車の駐車に用いることが規画された駐車場以外において、オーナーが共有する道路その他の場所を占用して増設される駐車場については、民法典第275条第2項における駐車場であると認定しなければならない。」
8.第7条を次のように改める。
「共有部分の処分並びにオーナー総会において法により決定され、又は管理規約により法により確定された、オーナーが共同して決定するべき事項については、民法典第278条第1項第(九)号所定の共有し、及び共同して管理する権利に関係する『その他の重大事項』であると認定しなければならない。」
9.第8条を次のように改める。
「民法典第278条第2項及び第283条所定の専有部分の面積については、不動産登記簿に記載された面積に従い計算することができる。物権登記をしていない場合には、暫定的に測量・製図機構の実測面積に従い計算する。実測をしていない場合には、暫定的に家屋の売買契約に記載された面積に従い計算する。」
10.第9条を次のように改める。
「民法典第278条第2項所定のオーナーの人数は、専有部分の数量に従い計算し、1つの専有部分につき1名として計算する。ただし、建設単位が売却しておらず、及び既に売却したけれども引き渡していない部分について、並びに同一の買受人が1つ以上の専有部分を有する場合については、1名として計算する。」
11.第10条を次のように改める。
「オーナーが住宅を経営性建物に変更し、民法典第279条の規定どおりに利害関係を有するオーナーの合意を経ていない場合において、利害関係を有するオーナーが妨害の排除、危険の除去、原状の回復又は損害の賠償を請求するときは、人民法院は、支持をしなければならない。
住宅を経営性建物に変更したオーナーが利害関係を有する多数のオーナーが当該行為に同意したことをもって抗弁をする場合にも、人民法院は、支持をしない。」
12.第11条を次のように改める。
「オーナーが住宅を経営性建物に変更する場合には、当該建築物内のその他のオーナーについては、民法典第279条における『利害関係を有するオーナー』であると認定しなければならない。建築区画内における、当該建築物以外のオーナーは、自己と利害関係を有すると主張する場合には、自己の家屋の価値及び生活の質が不利な影響を受け、又は受けるおそれのある旨を証明しなければならない。」
13.第12条を次のように改める。
「オーナーは、オーナー総会又はオーナー委員会の下した決定が当該オーナーの適法な権益を侵害し、又は法律所定の手続に違反したことを理由として、民法典第280条第2項の規定により人民法院に当該決定の取消しを請求する場合には、オーナー総会又はオーナー委員会が決定を下したことを知り、又は知るべき日から1年内に行使しなければならない。」
14.第14条を次のように改める。
「建設単位及び物業サービス企業その他の管理者等が、無断でオーナーの共有部分を占用し、若しくは処分し、その使用機能を変更し、又は経営性活動をした場合において、権利者が妨害の排除、原状の回復、処分行為の無効の確認又は損害の賠償を請求するときは、人民法院は、支持をしなければならない。
前項における無断で経営性活動をする事由に属し、権利者が建設単位及び物業サービス企業その他の管理者等に合理的原価を控除した後の収益を専用メンテナンス修理資金の補充又はオーナーが共同して決定するその他の用途に用いることを請求する場合には、人民法院は、支持をしなければならない。行為者は、原価の支出及びその合理性について挙証責任を負う。」
15.第15条を次のように改める。
「オーナーその他の行為者が法律、法規、国の関連する強制性標準若しくは管理規約に違反し、又はオーナー総会若しくはオーナー委員会が法により下した決定に違反し、次に掲げる行為を実施した場合には、民法典第286条第2項におけるその他の『他人の適法な権益を損なう行為』であると認定することができる。
(一)家屋の荷重負荷構造を損ない、電力、ガス若しくは消防施設を損ない、若しくは規則に違反して使用し、又は建築物内において危険な、若しくは放射性の物品等を放置して建築物の安全に害を及ぼし、若しくは建築物の正常な使用を妨害する行為
(二)規定に違反して建築物の外壁面の形状又は色を破壊し、又は変更する等の建築物の外観を損なう行為
(三)規定に違反して家屋の装飾・改修をする行為
(四)規則に違反して増築し、若しくは改築し、又は公共の通路、道路、場所その他の共有部分を侵奪し、若しくは掘削する行為」
建築物の区分所有権紛争事件を正確に審理し、かつ、法により当事者の適法な権益を保護するため、「民法典」等の法律の規定に基づき、民事裁判の実践を考え合わせ、この解釈を制定する。
第1条 建築物の専有部分の所有権を法により登記して取得し、又は民法典第229条から第231条の規定により取得した者については、民法典第2編第6章におけるオーナーであると認定しなければならない。
建設単位...