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【ミニコラム 第143号】ネット通販のベビー白菜中毒騒動

メールマガジン
2026年02月06日


 最近、ネット通販で購入したベビー白菜による中毒事件が、短時間のうちに二転三転し、大きな注目を集めました。

 発端は、ある夫婦が「通販で買ったベビー白菜を食べた後に中毒症状を起こし、病院に搬送された」と訴えたことでした。食品安全への不安が一気に広がりましたが、事態はわずか12時間ほどの間に次々と展開を変えます。
 まず「業者が有毒な新聞紙で包装していた」という説が流れ、次に「夫が妻に毒を盛ったのではないか」という疑惑が浮上。最終的に警察の捜査で明らかになったのは、賠償金をだまし取る目的で、夫婦が自ら毒を服用し、中毒を装った自作自演だったという事実でした。現在、夫婦は刑事拘留されています。

 この一連の騒動がもたらした被害は小さくありません。
 無関係な販売業者はネット上で激しい中傷を受け、店を閉める事態に追い込まれました。消費者の食品安全に対する信頼や、正当な権利救済への信頼も揺らぎました。さらに、一部メディアは裏取りのできていない情報を報じ、公信力を損なう結果となりました。
 当事者の夫婦自身もまた、賠償金を得るために劇薬まで服用し、妻はICUで1ヶ月間救命治療を受けていました。ICUの医療費はすでに30万元を超え、当初狙っていた賠償額をはるかに上回り、加えて重い法的責任も免れません。

 振り返ると、ただため息が出る出来事です。
 わずかな補償金のために命を賭け、結果としてICUのベッドに横たわり、費用は「稼ぐつもりだった額」の何十倍にもなった――人生に、こんな「割の合う取引」があるはずがありません。法律の一線も、身体の代償も、どちらもまともに計算できていなかったのでしょう。

 そして何より残念なのは、自作自演の行為によって、罪もない人があまりにも多く巻き込まれたことです。店は潰れ、社会の信頼は揺らぎ、十分な確認をしないまま騒ぎを拡大させたメディアも、結果として自らの信頼を損ないました。

 情報が錯綜する時代だからこそ、私たち一人ひとりが結論を急がず真相が見えるまで立ち止まることを学ぶべきなのかもしれません。

 

三石


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