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[報告]中国学生に知財権の講義-松下電器

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2007年06月29日
  中国の学生に日本企業の法務の現場を知ってもらおうと、キャストグループと上海交通大学法学院が開設した「多国籍企業法務シリーズ講座」の第二回講義が6月17日、同大学で行われ、松下電器産業の斎藤憲道・法務本部理事が国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)での活動経験や、中国の中央政府との交流を通じて得た最新の情報を交えながら、中国の知的財産権保護の状況を紹介した。

  「外国から見た中国の知的財産権保護の状況」と題した今回の講義では、「中国の権利侵害は、ラベルを単に貼り付けるだけのブランド(商標)の侵害から、工業力の必要な形態模倣、あるいは開発力が必要な特許権侵害へと多様化してきている」などと中国の知的財産権侵害の状況を報告。「中国の沿海部では海外ブランドを模倣するのに対し、内陸部では国内ブランドを模倣する傾向にある」と話した。

  また、知的財産権保護の取り組みに対する、中国当局と海外の先進国との認識の違いも指摘。中国側が「法令整備・取締り強化・国民教育に力を入れているが、国土が広大であり、知的財産権の定着に時間がかかる」と主張するのに対し、外国の知財先進国は「中国は輸出量が多いため、権利侵害品の輸出に伴い海外の権利者の損害も大きい。早急に法秩序を実現して欲しい」などと要求していることを中国の学生に紹介した。

  講義終了後には、参加した学生から「知的財産権侵害に対する松下電器の具体的な取り組みは?」などと質問されると、斎藤理事は「以前は訴訟はあまりやらなかったが、最近では積極的にやるようになった。体制としては法務本部と知財本部を設立し、協力しながら取り組んでいる」と回答。

  また、「将来的に法務部で働くために、学生のうちに何をやっておくべき?」との質問に対しては、「企業法務には、大きく分けて訴訟の準備書面の作成と、コンプライアンスチェックの2つがある。前者の場合、米国などでは社内弁護士を抱えて対応しているが、後者の場合は、法律の知識も必要だがまずは自分の会社をよく理解することが必要」と話した。
松下電器
法務本部理事 斎藤憲道

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