中国の富裕層へのマーケティング
キャストコンサルティング(上海)有限公司 総経理 前川晃廣
(中小企業診断士/証券アナリスト)
キャストグループの専門家は、中国での新規法人設立、持分譲渡などのM&AとそのためのDD、労働争議、法人の解散・清算などの再編、をはじめとする様々な業務で、クライアントを訪問するために中国全土を飛び回っています。
数年前までは、飛行機で遠隔地に飛び、そこから車やバスで現場に向かっていたのですが、現場が空港から遠かったり、空港が地方の小規模空港だった場合は、空港からの交通手段の確保に手を焼きました。今では、高速鉄道が全国に拡がりつつあり、多くの省都クラスの都市は、鉄道でも行けるようになりました。また遠隔地からでもオンラインでチケットが買えるようになったことで、学生だった1980年代にバックパッカーとして中国を訪れ、「無座」のチケットで列車に乗り込んだ後に列車の中で「硬座」や「硬臥」を買い求めていた時代が、懐かしく思われるようになりました。
高速鉄道では、天秤棒で大きな荷物を担いだ農村出身らしき乗客を見ることも少なく、多くの利用者は、それなりの身なりをしている人です。彼らは現代中国では、富裕層に分類されるのでしょうが、ここが中国であることを一瞬忘れさせてくれるくらい、外見はチャントしています。(大声で携帯電話で話すなど、「中国人らしさ」も失ってはいませんが…。)
中国人にモノを買ってもらうためのマーケティングの基本は、市場のセグメント(細分化)から始まるのですが、中国の富裕層がどこにいて、どのようにすればアクセスできるのか、は、とても難しいテーマで、各社とも手を焼いています。
中国の国内線の飛行機に乗ると、頭上の画面で、外資系・中国系の乗用車メーカーのコマーシャルが立て続けに放映されます。「飛行機に乗る人は富裕層なので、乗用車に興味を持つ人が多い」とのマーケティング会社のサジェスチョンを受けて、広告会社が企画したものと思われますが、各社の新車が連続して出てきても、どこの会社の車だったかの印象に残りにくい、という弊害もあるかと思います。それでも富裕層が飛行機に乗っているのは事実でしょうから、一定の効果はあるのでしょう。
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3~4月の「駐在員塾」
3月15日(金) 上海
3月20日(水) 広州
4月15日(月) 北京
4月17日(水) 上海
4月23日(火) 深セン
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