手形・小切手紛争事件の審理にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定(2020年)
2000年11月14日法釈[2000]32号により公布、同月21日施行
2020年12月23日法釈[2020]18号により改正公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]18号
十、「手形・小切手紛争事件の審理にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定」を改める。
1.第6条を次のように改める
「手形・小切手紛争により提起された訴訟は、法により手形・小切手支払地又は被告住所地の人民法院が管轄する。
『手形・小切手支払地』とは、手形・小切手上に明記された支払地をいい、手形・小切手上に支払地が明記されていない場合には、為替手形の支払人若しくは代理支払人の営業場所、住所若しくは常居所地、約束手形の振出人の営業場所又は小切手の支払人若しくは代理支払人の営業場所所在地を手形・小切手の支払地とする。『代理支払人』、すなわち、支払人の委託代理人とは、支払人の委託に基づき手形・小切手の金額の支払いを代行する銀行、信用合作社等の金融機構をいう。」。
2.第7条を削除する。
3.第32条を次のように改める
「公告については、全国性新聞その他の媒体上において掲載し、かつ、同日に人民法院の公告欄内において公表しなければならない。人民法院所在地に証券取引所がある場合には、更に同日に当該取引所において公表しなければならない。」。
4.第33条を次のように改める
「『民事訴訟法』第219条の規定により、公告期間は、60日を下回ってはならず、かつ、公示催告期間の期間満了日は、手形・小切手の支払日の15日後より早くてはならない。」。
5.第34条を次のように改める
「民事訴訟法第220条第2項の規定により、公示催告期間において、公示催告された手形・小切手をもって質入れし、又は割引し、質入れ又は割引により当該手形・小切手を受領した所持人が手形・小切手にかかる権利を主張する場合には、人民法院は、これを支持しない。ただし、公示催告期間の期間満了以後で人民法院が除権判決をする以前において当該手形・小切手を取得している場合を除く。」。
6.第38条を次のように改める
「喪失者は、人民法院に対し訴えを提起する場合には、人民法院に対し、従前に手形・小切手を所持し、及び手形・小切手を喪失した状況を説明しなければならず、人民法院は、事件の具体的状況に基づき、当事者が担保を提供するべきか否か及び担保の金額を決定しなければならない。」。
7.第39条を次のように改める
「手形・小切手の喪失を虚偽報告した当事者については、人民法院が事実を究明し、公示催告又は訴訟手続を終結する旨を裁定した後、民事訴訟法第111条の規定を参照し、虚偽報告者の法律責任を追及することができる。」。
8.第40条を次のように改める
「手形・小切手法第108条及び国務院の承認を経た『手形・小切手管理実施弁法』の規定により、手形・小切手の当事者が使用するものが中国人民銀行の定める統一様式の手形・小切手でない場合には、『手形・小切手管理実施弁法』の規定に従い認定する。ただし、中国の境外において発行された手形・小切手を除く。」。
9.第51条を次のように改める
「手形・小切手法第34条及び第35条の規定により、裏書人が手形・小切手上に『譲渡してはならない』、『取立委託』又は『質入れ』の文字を記載し、その後者が譲渡、取立委託又は質入れを再度裏書きした場合には、原裏書人は、後者の被裏書人に対し手形・小切手にかかる責任を負わない。ただし、振出人、引受人及び原裏書人の前者の手形・小切手にかかる責任に影響しない。」。
10.第60条を次のように改める
「国家機関、公益を目的とする事業単位又は社会団体についてこれを手形・小切手の保証人とする場合には、手形・小切手の保証は、無効である。ただし、国務院の承認を経て外国政府又は国際経済組織の貸付を使用して転貸をするため、国の機関が手形・小切手の保証を提供する場合を除く。」。
11.第62条を次のように改める
「保証人が手形・小切手又は補箋上に『保証』の文字を記載しないで保証契約又は保証条項を別途締結した場合には、手形・小切手保証に属さず、人民法院は、『民法典』の関係規定を適用しなければならない。」。
12.第63条を次のように改める
「人民法院が手形・小切手紛争事件を審理するにあたっては、手形・小切手法の規定を適用する。手形・小切手法に定めのない場合には、『民法典』等の法律及び国務院の制定する行政法規を適用する。
中国人民銀行が制定し、かつ、公布・施行する関係する行政規則と法律又は行政法規とが抵触しない場合には、参照して適用することができる。」。
13.第67条を次のように改める
「手形・小切手法第14条、第102条及び第103条の規定により、手形・小切手を偽造し、又は変造した者は、法により刑事又は行政責任を負うべきほか、他人に損失をもたらした場合には、更に民事賠償責任を負わなければならない。署名押印を偽造された者は、手形・小切手にかかる責任を負わない。」。
14.第71条を次のように改める
「手形・小切手法第63条において『その他の関係証明』とは、次をいう。
(一)人民法院が発行する、引受人又は支払人の失踪又は死亡を宣告する証明及び法律文書
(二)公安機関が発行する、引受人又は支払人の逃亡又は行方不明にかかる証明
(三)医院又は関係単位が発行する、引受人又は支払人の死亡にかかる証明
(四)公証機構が発行する、拒絶証書の効力を有する文書
引受人が自ら作成し、かつ、発表する、自らに手形・小切手代を支払う能力がない旨を表明する公告は、拒絶証書と認定することができる。」。
15.第75条を次のように改める
「手形・小切手法第104条の規定により、金融機構の業務人員が手形・小切手業務において職務を懈怠し、手形・小切手法の規定に違反する手形・小切手について引受け、支払い、割引又は保証をしたことにより、当事者に損失をもたらした場合には、当該金融機構と直接責任人員とが法により連帯責任を負う。」。
16.第76条を次のように改める
「手形・小切手法第106条の規定により、振出人が手形・小切手を作成し、又はその他の手形・小切手債務者が法定条件どおりに手形・小切手上に署名押印しないことにより、他人に損失をもたらした場合には、記載された事項に従い手形・小切手にかかる責任を負うべきほか、更に相応する民事責任を負わなければならない。
所持人が前項の事由を明らかに知り、又は知るべきでありながら受領した場合には、振出人又は手形・小切手債務者の責任を適当に軽減することができる。」。
「手形・小切手法」を正確に適用し、公正かつ適時に手形・小切手紛争事件を審理し、手形・小切手の当事者の適法な権益を保護し、かつ、金融の秩序及び金融の安全を維持保護するため、手形・小切手法その他の関係する法律の規定に基づき、裁判の実践を考え合わせ、ここに、人民法院が手形・小切手紛争事件を審理する際の若干の問題について次のように規定する。
一、受理及び管轄
第1条 手形・小切手にかかる権利又は手形・小切手法上の手形・小切手以外にかかる権利の行使により引き起こされた紛争については、人民法院は、法により受理しなければならない。