著名商標保護にかかわる民事紛争事件の審理の際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈(2020年)
2009年4月23日最高人民法院法釈[2009]3号により公布、同年5月1日施行
2020年12月29日最高人民法院法釈[2020]19号により改正、2021年1月1日施行
法釈[2020]19号
六、「著名商標保護にかかわる民事紛争事件の審理の際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈」を改める。
1.第1条を次のように改める。
「この解釈において『著名商標』とは、中国の境内において関連公衆に熟知されている商標をいう。」
2.第4条を次のように改める。
「人民法院は、商標が著名であるか否かを認定するにあたり、当該商標が著名である旨を証明する事実を根拠とし、商標法第14条第1項所定の各要素を総合的に考慮しなければならない。ただし、事件の具体的状況に基づき当該条所定の要素の全部を考慮する必要がなく、直ちに商標が著名であることを認定するのに足りる場合を除く。」
3.第7条を次のように改める。
「訴えられた商標権侵害又は不正競争行為の発生前に、人民法院又は行政管理部門に著名であることを認定されている商標について、当該商標が著名であるという事実について被告が異議を持たない場合には、人民法院は、これを認定しなければならない。被告が異議を提出する場合には、原告は、なお当該商標が著名であるという事実に対し挙証責任を負わなければならない。
この解釈に別段の定めのある場合を除き、人民法院は、商標が著名であるという事実に対し、民事訴訟の証拠にかかる自認規則を適用しない。」
4.第8条を次のように改める。
「中国の境内において社会公衆に熟知されている商標について、当該商標が著名であるという基本的証拠を原告が既に提供し、又は被告が異議を持たない場合には、人民法院は、当該商標が著名であるという事実について認定をする。」
5.第9条を次のように改める。
「関連公衆をして著名商標及び訴えられた商標を使用する商品の由来について誤認を生じさせるのに足り、又は関連公衆をして著名商標及び訴えられた商標を使用する経営者の間に使用許諾若しくは関連企業関係等の特定の連係を有すると認めさせるのに足りるものは、商標法第13条第2項所定の『容易に混同をもたらす』ものに属する。
関連公衆をして、訴えられた商標と著名商標とが相当な程度の連係を有すると認めさせるのに足ることにより、著名商標の顕著性を弱め、若しくは著名商標の市場の名声・名誉を毀損し、又は著名商標の市場の名声・名誉を不正に利用するものは、商標法第13条第3項所定の『公衆を誤導し、当該著名商標登録人の利益が損害を受けることになるおそれのある』ものに属する。」
6.第11条を次のように改める。
「被告の使用する登録商標が商標法第13条の規定に違反し、原告の著名商標を複製し、模倣し、又は翻訳し、商標権の侵害を構成する場合には、人民法院は、原告の請求に基づき、法により被告の当該商標使用を禁止する旨を判決しなければならない。ただし、被告の登録商標に次に掲げる事由の1つがある場合には、人民法院は、原告の請求について支持しない。
(一)商標法第45条第1項所定の無効宣告請求期間を既に超えているとき。
(二)被告が登録出願を提出した時に、原告の商標が著名でないとき。」
商標権侵害等の民事紛争事件を審理する際に法により著名商標を保護するため、「商標法」、「反不正競争法」、「民事訴訟法」等の関係する法律の規定に基づき、裁判の実情を考慮し、この解釈を制定する。
第1条 この解釈において「著名商標」とは、中国の境内において関連公衆に熟知されている商標をいう。