著作権民事紛争事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈(2020年)
2002年10月12日最高人民法院法釈[2002]31号により公布、同月15日施行
2020年12月29日最高人民法院法釈[2020]19号により公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]19号
十、「著作権民事紛争事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈」を改める。
1.序文を次のように改める。
「著作権民事紛争事件を正しく審理するため、『民法典』、『著作権法』、『民事訴訟法』等の法律の規定に基づき、法律適用にかかる若干の問題について次のように解釈する。」
2.第1条を次のように改める。
「人民法院は、次の著作権民事紛争事件を受理する。
(一)著作権及び著作権と関係する権益の権利帰属、権利侵害及び契約紛争事件
(二)著作権又は著作権と関係する権益を侵害する行為を訴訟前に停止するよう申し立て、及び訴訟前の財産保全又は訴訟前の証拠保全を申し立てる事件
(三)著作権又は著作権と関係する権益にかかるその他の紛争事件」
3.第2条を次のように改める。
「著作権民事紛争事件は、中級以上の人民法院がこれを管轄する。
各高級人民法院は、当該管轄区の実際の状況に基づき、若干の基層人民法院が第1審の著作権民事紛争事件を管轄することにつき最高人民法院に承認を要請することができる。」
4.第3条を次のように改める。
「著作権行政管理部門が調査処理する著作権侵害行為について、当事者が人民法院に対し訴えを提起して当該行為者の民事責任を追及する場合には、人民法院は、これを受理しなければならない。
人民法院は、既に著作権行政管理部門の処理を経た著作権侵害行為の民事紛争事件を審理するにあたり、事件の事実について全面的審査をしなければならない。」
5.第4条を次のように改める。
「著作権侵害行為に起因して提起される民事訴訟については、著作権法第47条及び第48条所定の権利侵害行為の実施地、権利侵害複製品の貯蔵地若しくは封印・差押地又は被告の住所地の人民法院が管轄する。
前項所定の『権利侵害複製品の貯蔵地』とは、権利侵害複製品を大量に、又は経常的に保管し、又は隠匿する所在地をいう。『封印・差押地』とは、税関、版権等の行政機関が法により権利侵害複製品を封印し、又は差し押える所在地をいう。」
6.第5条を次のように改める。
「異なる権利侵害行為実施地にかかわる複数の被告に対し提起される共同訴訟について、原告は、そのうち1名の被告の権利侵害行為実施地の人民法院に対し訴えを提起することを選択することができる。そのうち特定の1名の被告に対してのみ提起される訴訟について、当該被告の権利侵害行為実施地の人民法院は、管轄権を有する。」
7.第7条を次のように改める。
「当事者が提供する著作権にかかわる原稿、原本、適法な出版物、著作権登記証書、認証機構が発行した証明、権利を取得する旨の契約等は、これを証拠とすることができる。
著作物又は製品上に氏名を表示した自然人、法人又は非法人組織は、これを著作権又は著作権と関係する権益の権利者であるとみなす。ただし、相反する証明を有する場合を除く。」
8.第10条を次のように改める。
「著作権法第15条第2項にいう著作物について、著作権者が自然人である場合には、その保護期間には、著作権法第21条第1項の規定を適用する。著作権者が法人又は非法人組織である場合には、その保護期間には、著作権法第21条第2項の規定を適用する。」
9.第17条を次のように改める。
「著作権法第33条第2項所定の『転載』とは、新聞又は定期刊行物にその他の新聞・刊行物に既に公表された著作物を掲載する行為をいう。転載するにあたり、転載される著作物の著作者及び最初に掲載された新聞・刊行物の出所を注記しない場合には、影響の除去、礼を尽くした謝罪等の民事責任を負わなければならない。」
10.第19条を次のように改める。
「出版者及び製作者は、その出版又は製作に適法な授権を有することについて挙証責任を負わなければならない。発行者及び貸与者は、その発行し、又は貸与する複製品に適法な出所を有することについて挙証責任を負わなければならない。挙証が不能である場合には、著作権法第47条及び第48条の相応する規定により法律責任を負う。」
11.第20条を次のように改める。
「出版物が他人の著作権を侵害する場合には、出版者は、その故意・過失、権利侵害の程度及び損害の結果等に基づき損害を賠償する責任を負わなければならない。
出版者は、その出版行為の授権、原稿の出所及び氏名表示、編集される出版物の内容等について合理的注意義務を尽くさない場合には、著作権法第49条の規定により、損害を賠償する責任を負う。
出版者は、自らが既に合理的注意義務を尽くしたことについて挙証責任を負わなければならない。」
12.第21条を次のように改める。
「コンピュータソフトウェアのユーザーが許諾を経ずに、又は許諾の範囲を超えてコンピュータソフトウェアを商業的に使用した場合には、著作権法第48条第(一)号及び『コンピュータソフトウェア保護条例』第24条第(一)号の規定により民事責任を負う。」
13.第22条を次のように改める。
「著作権譲渡契約に書面による形式が採用されていない場合には、人民法院は、民法典第490条の規定により、契約が成立したか否かを審査する。」
14.第23条を次のように改める。
「著作権者が出版のため引き渡した著作物を出版者が紛失し、又は毀損して出版契約を履行不能にさせた場合には、著作権者は、民法典第186条、第238条、第1184条等の規定により、出版者に相応する民事責任を負うよう要求する権利を有する。」
15.第25条を次のように改める。
「権利者の実際の損害又は権利侵害者の違法所得につき確定するすべがない場合には、人民法院は、当事者の請求に基づき、又は職権により著作権法第49条第2項の規定を適用して賠償金額を確定する。
人民法院は、賠償金額を確定する際に、著作物の類型、合理的使用料、権利侵害行為の性質、結果等の事情を考慮して総合的に確定しなければならない。
当事者が第1項の規定に従い賠償金額について合意を達成した場合には、これを許可しなければならない。」
16.第26条を次のように改める。
「著作権法第49条第1項所定の、権利侵害行為を制止するため支払った合理的支出には、権利者又は委託代理人が権利侵害行為について調査及び証拠取得をしたことにかかる合理的費用を含む。
人民法院は、当事者の訴訟上の請求及び具体的な事案に基づき、国の関係部門の規定に適合する弁護士費用を賠償範囲内に算入することができる。」
17.第27条及び第29条を削除する。
18.第28条を次のように改める。
「著作権侵害の訴訟時効は、3年とし、権利が損害を受けたこと及び義務者を著作権者が知り、又は知るべき日から起算する。権利者が3年を超えて訴えを提起した場合において、権利侵害行為が訴え提起時になお継続しているときは、当該著作権の保護期間内において、人民法院は、被告が権利侵害行為を停止するよう判決しなければならない。権利侵害の損害賠償金額は、権利者が人民法院に対し訴えを提起した日から3年遡って計算しなければならない。」
19.第30条を次のように改める。
「人民法院は、保全措置を講ずる場合には、民事訴訟法及び『知的財産権紛争行為保全事件を審査する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定』の関係規定によりこれを取り扱う。」
20.第31条を次のように改める。
「この解釈において別途定める場合を除き、人民法院が受理した著作権民事紛争事件が著作権法改正前に発生した民事行為にかかわる場合には、改正前の著作権法の規定を適用する。著作権法改正以後に発生した民事行為にかかわる場合には、改正後の著作権法の規定を適用する。著作権法改正前に発生し、著作権法改正後まで継続する民事行為にかかわる場合には、改正後の著作権法の規定を適用する。」
21.条文の順序について相応する調整をする。
著作権民事紛争事件を正しく審理するため、「民法典」、「著作権法」、「民事訴訟法」等の法律の規定に基づき、法律適用にかかる若干の問題について次のように解釈する。
第1条 人民法院は、次の著作権民事紛争事件を受理する。
(一)著作権及び著作権と関係する権益の権利帰属、権利侵害及び契約紛争事件
(二)著作権又は著作権と関係する権益を侵害する行為を訴訟前に停止するよ...