人民法院の執行業務の若干の問題に関する最高人民法院の規定(試行)(2020年)
1998年7月8日最高人民法院法釈[1998]15号により発布、同年7月18日施行
2020年12月29日最高人民法院法釈[2020]21号により改正、2021年1月1日施行
法釈[2020]21号
五、「人民法院の執行業務の若干の問題に関する最高人民法院の規定(試行)」を改める。
1.第2条を次のように改める。
「執行機構は、次に掲げる効力の生じた法律文書の執行に責任を負う。
(1)人民法院の民事及び行政の判決、裁定及び調停書、民事制裁決定及び支払命令並びに刑事付帯民事判決、裁定及び調停書並びに刑事裁判の財産にかかわる部分
(2)法により人民法院が執行するべき行政処罰決定及び行政処理決定
(3)我が国の仲裁機構が下した仲裁判断及び調停書並びに人民法院が「仲裁法」の関係規定により下した財産保全及び証拠保全裁定
(4)公証機関の法により強制執行効力が付与された債権文書
(5)人民法院の裁定を経てその効力が承認された外国裁判所の下した判決及び裁定並びに国外の仲裁機構が下した仲裁判断
(6)法律の規定により人民法院が執行するその他の法律文書」
2.第3条を次のように改める。
「人民法院が民事及び行政事件の審理において下した財産保全及び先行執行の裁定については、一般に、執行機関に移送して実施しなければならない。」
3.第6条、第10条、第28条から第32条、第38条、第39条、第41条から第43条、第45条から第47条、第55条、第70条から第84条、第86条、第87条、第89条、第90条、第92条から第99条、第102条及び第111条から第124条を削除する。
4.第8条を次のように改める。
「執行人員は、公務を執行する際に、関係人員に対し業務証書を提示し、かつ、規定に従い着装しなければならない。必要のあるときは、司法警察が参加しなければならない。」
5.第18条を次のように改める。
「人民法院は、執行事件を受理する場合には、次に掲げる条件に適合しなければならない。
(1)執行を申し立て、又は移送する法律文書が既に効力を生じていること。
(2)執行申立人が効力の生じた法律文書により確定された権利者又はその相続人若しくは権利承継人であること。
(3)執行を申し立てる法律文書に給付の内容があり、かつ、執行目的及び被執行人が明確であること。
(4)義務者が効力の生じた法律文書により確定された期間内に義務を履行しないこと。
(5)執行申立てを受ける人民法院の管轄に属すること。
人民法院は、上記の条件に適合する申立てについて、7日内にこれを立件しなければならない。上記の条件の1つに適合しない場合には、7日内に受理しない旨を裁定しなければならない。」
6.第20条を次のように改める。
「執行を申し立てるにあたっては、人民法院に対し次に掲げる文書及び証明書を提出しなければならない。
(1)執行申立書。執行申立書には、執行を申し立てる理由、事項及び執行目的並びに執行申立人が掌握している被執行人の財産状況を明記しなければならない。
執行申立人は、執行申立書を作成するのに確かに困難のある場合には、口頭で申立てを提出することができる。人民法院の受付人員は、口頭による申立てについて記録を作成しなければならず、執行申立人が署名し、又は押印する。
外国の一方の当事者は、執行を申し立てる場合には、中国語による執行申立書を提出しなければならない。当事者の所在国が我が国と締結し、又は共に参加する司法共助条約に特段の定めのある場合には、条約の規定に従い取り扱う。
(2)効力の生じた法律文書の副本
(3)執行申立人の身分証明。自然人が申し立てる場合には、住民身分証を提示しなければならない。法人が申し立てる場合には、法人営業許可証の副本及び法定代表者の身分証明を提出しなければならない。非法人組織が申し立てる場合には、営業許可証の副本及び主たる責任者の身分証明を提出しなければならない。
(4)相続人又は権利承継人は、執行を申し立てる場合には、相続又は権利承継の証明文書を提出しなければならない。
(5)提出するべきその他の文書又は証明書」
7.第22条を次のように改める。
「執行申立人は、代理人に委託して執行の申立てを代理させることができる。委託代理する場合には、人民法院に対し委託者の署名又は押印を経た授権委託書を提出し、代理人の氏名又は名称、代理事項、権限及び期限を明記しなければならない。
委託代理人は、民事権利を代理して放棄し、若しくは変更し、執行和解を代理して行い、又は執行金員を代理して収受する場合には、委託者の特別授権を有しなければならない。」
8.第23条を次のように改める。
「執行申立費の収受は、『訴訟費用納付弁法』に従い取り扱う。」
9.「四、執行前の準備及び被執行人の財産状況に対する調査」を「四、執行前の準備」に改める。
10.第24条を次のように改める。
「人民法院は、執行申立書又は移送執行書を接受した後10日内に執行通知を発出しなければならない。
執行通知においては、法律文書により確定された義務を履行するよう被執行人に命じなければならないほか、更に、民事訴訟法第253条所定の履行遅延利息又は履行遅延金を負担するよう当該被執行人に通知しなければならない。」
11.第26条を次のように改める。
「被執行人が執行通知書どおりに効力の生じた法律文書により確定された義務を履行しなかった場合には、遅滞なく執行措置を講じなければならない。
人民法院は、執行措置を講ずるにあたり、相応する法律文書を作成し、被執行人に送達しなければならない。」
12.第35条を次のように改める。
「被執行人としての自然人について、その収入が貯蓄預金に転換された場合には、当該自然人に対し預金証書を提出するよう命じなければならない。提出を拒絶した場合には、人民法院は、その預金を引き出す旨の裁定をし、金融機構に対し執行協力通知書を発出しなければならず、金融機構が被執行人の預金を引き出して人民法院に引き渡し、又は人民法院の指定する口座に預け入れる。」
13.第54条を次のように改める。
「被執行人がその単独出資により設立・運営する法人企業において保有する投資権益が凍結された後に、人民法院は、譲渡をして、譲渡所得により執行申立人に対する当該被執行人の債務を弁済する旨を直接に裁定することができる。
有限責任会社における被執行人の凍結された投資権益又は持分について、人民法院は、「会社法」第71条から第73条の規定により、株主全体の過半数の同意を取得した後に、これを競売し、換価し、又はその他の方式により譲渡することができる。譲渡に同意しない株主は、当該譲渡される投資権益又は持分を購入しなければならない。購入しない場合には、譲渡に同意したものとみなし、執行に影響を及ぼさない。
人民法院は、また、被執行人がその投資権益又は持分を自ら譲渡し、譲渡所得収益を執行申立人に対する債務の弁済に用いることを許可し、かつ、監督することもできる。」
14.第57条を次のように改める。
「効力の生じた法律文書により被執行人が特定の目的物を引き渡す旨が確定されている場合には、原物に執行しなければならない。原物が隠匿され、又は不法に移転された場合には、人民法院は、当該被執行人に対し引き渡すよう命ずる権限を有する。原物が確かに既に毀損し、又は滅失している場合には、当事者双方の同意を経て、価額評価して賠償することができる。
当事者双方が価額評価による賠償について協議により合意することができない場合には、人民法院は、執行手続を終結しなければならない。執行申立人は、別途訴えを提起することができる。」
15.第58条を次のように改める。
「関係組織又は個人が法律文書により引渡しを指定された財物又は証票を保有し、人民法院の執行協力通知書又は通知書を受領した後に、被執行人による財物又は証票の移転に協力した場合には、人民法院は、当該組織又は個人に対し期間を限り取り戻すよう命ずる権限を有する。期限を徒過して取り戻さなかった場合には、当該組織又は個人が賠償責任を負う旨を裁定しなければならない。」
16.第59条を次のように改める。
「被執行人の財産について競売、換価又は代物弁済の裁定を経た後に、現在の占有者から買受人又は執行申立人への引渡しを必要とする場合には、民事訴訟法第249条及び第250条並びにこの規定の第41条及び42条の規定を適用する。」
17.「八、事件外の者の異議に対する処理」及び「九、被執行主体の変更及び追加」の標題を削除する。
18.「十 執行担保及び執行和解」を「八、執行担保」に改める。
19.第100条を次のように改める。
「被執行人又はその他の者が効力の生じた法律文書の履行を拒絶し、又は執行を妨害する次に掲げる行為の1つをした場合には、人民法院は、民事訴訟法第111条の規定により処理することができる。
(1)人民法院に対し執行担保として提供する財産を隠匿し、移転し、換価し、又は毀損する行為
(2)事件外の者と被執行人とが悪意により通謀して被執行人の財産を移転する行為
(3)人民法院の執行公告又は封印紙を故意に毀損する行為
(4)被執行人の履行能力に関係する重要な証拠を偽造し、隠匿し、又は毀滅して、人民法院が被執行人の財産状況を調査して明らかにすることを妨害する行為
(5)他人を教唆し、買収し、又は脅迫して被執行人の財産状況及び義務履行能力の問題について偽証をさせる行為
(6)人民法院の法による捜査を妨害する行為
(7)暴力、脅迫その他の方法により執行を妨害し、又はこれに抵抗する行為
(8)執行現場において騒ぎ立て、又はこれを襲撃する行為
(9)人民法院の執行人員又は執行協力人員に対し、侮辱、誹謗、誣告、包囲攻撃、脅迫、殴打又は打撃報復をする行為
(10)執行事件の資料、公務執行車輌その他の執行機器、執行人員の服装及び公務執行証書を毀損し、又は強奪する行為」
20.第105条を次のように改める。
「執行中に被執行人が人民法院により破産宣告を裁定された場合には、執行法院は、民事訴訟法第257条第(六)号の規定により執行の終結を裁定しなければならない。」
21.第108条を次のように改める。
「執行の事件結了の方式は、次とする。
(1)執行完了
(2)当該回の執行手続の終結
(3)執行の終結
(4)事件取消し
(5)不執行
(6)申立ての却下」
22.第109条第1項を次のように改める。
「執行中に、又は執行完了後に、執行の根拠となった法律文書が人民法院その他の関係機関により取り消され、又は変更された場合には、原執行機構は、民事訴訟法第233条の規定に依拠し、当事者の申立てにより、又は職権により、新たな効力の生じた法律文書に従い、執行逆転の裁定をし、原執行申立人に対し既に取得した財産及びその果実を返還するよう命ずる。返還を拒絶する場合には、強制執行する。」
23.第110条を次のように改める。
「執行逆転の際に、既に執行された目的物が特定物であるときは、原物を返還しなければならない。原物を返還することができない場合には、当事者双方の同意を経て、価額評価して賠償することができる。
当事者双方が価額評価による賠償について協議により合意することができない場合には、人民法院は、執行逆転手続を終結しなければならない。執行申立人は、別途訴えを提起することができる。」
24.「十四、執行委託、執行協力及び執行紛争の調整」を「十二、執行紛争の調整」に改める。
25.条文の順序について相応する調整をする。
執行手続における法律の正確な適用を保証し、効力の生じた法律文書を遅滞なくかつ有効に執行し、かつ、当事者の適法な権益を維持保護するため、「民事訴訟法」等の関係する法律の規定に基づき、人民法院の執行業務の実践経験を考え合わせ、ここに、人民法院の執行業務の若干の問題について、次のように規定する。
1.人民法院は、必要に基づき、関係する法律の規定により、執行機構を設立し、執行業務に専門的に責任を負わせる。
・本資料の日訳文に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。
・また、本資料は、原文解釈のための参考に供するためにのみ、作成されたものであり、法令に対する解釈、説明及び解説等を含むものではありません。翻訳の正確性を含むがこれに限らない本資料に起因する問題について、弊社、弊グループ及び弊グループに属する個人は一切の責任を負いません。