特許法
1984年3月12日第6期全国人民代表大会常務委員会第4回会議により採択、同日主席令第11号により公布、1985年4月1日施行
1992年9月4日第7期全国人民代表大会常務委員会第27回会議により改正採択、同日主席令第62号により公布、同日施行
2000年8月25日第9期全国人民代表大会常務委員会第17回会議により改正採択、同日主席令第36号により公布、2001年7月1日施行
2008年12月27日第11期全国人民代表大会常務委員会第6回会議により改正採択、同日主席令第8号により公布、2009年10月1日施行
2020年10月17日第13期全国人民代表大会常務委員会第22回会議により改正採択、同日主席令第55号により公布、2021年6月1日施行
「特許法」の改正に関する全国人民代表大会常務委員会の決定
第13期全国人民代表大会常務委員会第22回会議において「特許法」について次のような改正をすることを決定した。
一、第2条第4項を「『意匠』とは、製品の全体若しくは部分の形状、図案又はそれらの結合及び色彩と形状若しくは図案との結合について生み出される、美感に富み、かつ、工業応用に適する新デザインをいう。」に改める。
二、第6条第1項を「所属単位の任務を執行し、又は主として所属単位の物質的技術的条件を利用して完成された発明創造は、職務発明創造とする。職務発明創造につき特許を出願する権利は、当該単位に属し、出願が特許された後、当該単位は、これを特許権者とする。当該単位は、その職務発明創造につき特許を出願する権利及び特許権を法により処理し、関連する発明創造の実施及び運用を促進することができる。」に改める。
三、第14条を第49条に改める。
四、第16条を第15条に改め、次の1項を追加し、第2項とする。「国は、特許権を付与された単位が財産権インセンティブを実行し、出資持分、オプション、配当等の方式を採用し、発明者又は考案者に新規創造にかかる収益を合理的に共有させることを奨励する。」
五、次の1条を追加し、第20条とする。「特許を出願し、及び特許権を行使するにあたっては、信義誠実の原則を遵守しなければならない。特許権を濫用して公共の利益又は他人の適法な権益を損なってはならない。
特許権を濫用し、競争を排除し、又は制限し、独占行為を構成した場合には、『反独占法』により処理する。」
六、第21条第1項における「及びその特許復審委員会」を削除する。
第2項を「国務院の特許行政部門は、特許情報公共サービス体系の建設を強化し、完全、正確かつ遅滞なく特許情報を発表し、特許の基礎データを提供し、特許公報を定期的に出版し、特許情報の伝播及び利用を促進しなければならない。」に改める。
七、第24条に次の1項を追加し、第1項とする。「(一)国に緊急状態又は非常状況が出現した際に、公共の利益の目的のため初めて公開されたとき。」
八、第25条第1項第(五)号を「(五)原子核変換の方法及び原子核変換の方法を用いて取得する物質」に改める。
九、第29条第2項を「出願人は、発明若しくは実用新案について中国において最初に特許出願を提出した日から12か月内に、又は意匠について中国において最初に特許出願を提出した日から6か月内に、更に国務院の特許行政部門に対し同一の主題について特許出願を提出した場合には、優先権を享受することができる。」に改める。
十、第30条を「出願人は、発明又は実用新案特許の優先権を要求する場合には、出願の際に書面による声明を提出し、かつ、最初に出願を提出した日から16か月内に、最初に提出した特許出願文書の副本を提出しなければならない。
出願人は、意匠特許の優先権を要求する場合には、出願の際に書面による声明を提出し、かつ、3か月内に、最初に提出した特許出願文書の副本を提出しなければならない。
出願人が書面による声明を提出しておらず、又は期限を徒過して特許出願文書の副本を提出していない場合には、優先権を要求していないものとみなす。」に改める。
十一、第41条を「特許出願人は、国務院の特許行政部門の出願拒絶の決定について不服のある場合には、通知を受け取った日から3か月内に国務院の特許行政部門に対し復審を請求することができる。国務院の特許行政部門は、復審の後に、決定をし、かつ、特許出願人に通知する。
特許出願人は、国務院の特許行政部門の復審の決定について不服のある場合には、通知を受け取った日から3か月内に人民法院に対し訴えを提起することができる。」に改める。
十二、第42条を「発明特許権の期間は20年とし、実用新案特許権の期間は10年とし、意匠特許権の期間は15年とし、いずれも出願日から起算する。
発明特許出願日から4年を経て、かつ、実体審査請求の日から3年を経た後に発明特許権を付与する場合には、国務院の特許行政部門は、特許権者の請求に応じ、発明特許の権利付与過程における不合理な遅延について特許権の期間補償を与える。ただし、出願人が引き起こした不合理な遅延を除く。
新薬上市の審査評価・審査認可が占用する期間を補償するため、中国において上市許可を取得した新薬に関連する発明特許について、国務院の特許行政部門は、特許権者の請求に応じ、特許権の期間補償を与える。補償期間は5年を超えず、新薬について上市の認可を受けた後の総有効特許権期間は14年を超えない。」に改める。
十三、第45条及び第46条における「特許復審委員会」を「国務院の特許行政部門」に改める。
十四、第6章の章名を「特許実施の特別許諾」に改める。
十五、次の1条を追加し、第48条とする。「国務院の特許行政部門及び地方人民政府の特許業務を管理する部門は、同級の関連部門と共同して措置を講じ、特許にかかる公共サービスを強化し、特許の実施及び運用を促進しなければならない。」
十六、次の1条を追加し、第50条とする。「特許権者が自由意思により書面により国務院の特許行政部門に対し、いかなる単位又は個人にも自らの特許の実施を許諾する意思を有する旨を声明し、かつ、許諾使用料の支払方式及び標準を明確にする場合には、国務院の特許行政部門が公告をし、開放許諾を実行する。実用新案及び意匠特許について開放許諾声明を提出する場合には、特許権評価報告を提供しなければならない。
特許権者は、開放許諾声明を取り下げる場合には、書面により提出しなければならず、かつ、国務院の特許行政部門が公告をする。開放許諾声明が公告により取り下げられた場合には、従前に付与された開放許諾の効力に影響しない。」に改める。
十七、次の1条を追加し、第51条とする。「いかなる単位又は個人も、開放許諾にかかる特許を実施する意思を有する場合には、書面により特許権者に通知し、かつ、公告された許諾使用料の支払方式及び標準により許諾使用料を支払った後に、直ちに特許実施許諾を得る。
開放許諾の実施期間においては、特許権者による特許にかかる年度特許料の納付について、相応して減免をする。
開放許諾を実行する特許権者は、被許諾者と許諾使用料について協議をした後に普通許諾をすることができる。だたし、当該特許について独占又は排他的許諾をしてはならない。」に改める。
十八、次の1条を追加し、第52条とする。「当事者は、開放許諾の実施について紛争が発生した場合には、当事者が協議により解決する。協議を望まず、又は協議が不調であるときは、国務院の特許行政部門に調停の実施を請求することができ、また、人民法院に対し訴えを提起することもできる。」
十九、第61条を第66条に改め、第2項を「特許にかかる権利侵害紛争が実用新案特許又は意匠特許にかかわる場合には、人民法院又は特許業務を管理する部門は、国務院の特許行政部門が関連する実用新案又は意匠について検索、分析及び評価をした後に作成した特許権評価報告を発行するよう特許権者又は利害関係人に要求し、特許にかかる権利侵害紛争を審理し、及び処理する証拠とすることができる。特許権者、利害関係人又は権利侵害を主張された者も、自発的に特許権評価報告を発行することができる。」に改める。
二十、第63条を第68条に改め、「特許を冒用した場合には、法により民事責任を引き受けるほか、特許にかかる法律執行に責任を負う部門が是正するよう命じ、かつ、公告をし、違法所得を没収するものとし、違法所得の5倍以下の罰金を科することができる。違法所得がなく、又は違法所得が5万元以下であるときは、25万元以下の罰金を科することができる。犯罪を構成するときは、法により刑事責任を追及する。」に改める。
二十一、第64条を第69条に改め、「特許にかかる法律執行に責任を負う部門は、取得済みの証拠に基づき、特許冒用の嫌疑にかかわる行為について調査処理をする際に、次に掲げる措置を講ずる権限を有する。
(一)関係する当事者に質問し、違法の嫌疑にかかわる行為と関係する状況を調査する。
(二)当事者の違法の嫌疑にかかわる行為の場所について現場検査を実施する。
(三)違法の嫌疑にかかわる行為と関係する契約、発票、帳簿その他の関係資料を閲覧し、又は複製する。
(四)違法の嫌疑にかかわる行為と関係する製品を検査する。
(五)特許冒用であることを証明する証拠がある製品について、封印し、又は差し押さえることができる。
特許業務を管理する部門は、特許権者又は利害関係人の請求に応じて特許にかかる権利侵害紛争を処理する際に、前項第(一)号、第(二)号及び第(四)号に掲げる措置を講ずることができる。
特許にかかる法律執行に責任を負う部門及び特許業務を管理する部門が法により前2項所定の職権を行使する際に、当事者は、これに助力し、及び協力しなければならず、これを拒絶し、及び妨害してはならない。」に改める。
二十二、次の1条を追加し、第70条とする。「国務院の特許行政部門は、特許権者又は利害関係人の請求に応じ、全国において重大な影響を有する特許にかかる権利侵害紛争を処理することができる。
地方人民政府の特許業務を管理する部門は、特許権者又は利害関係人の請求に応じて特許にかかる権利侵害紛争を処理するにあたり、当該行政区域内におけるその同一の特許権を侵害する事件について一括して処理することができる。区域を跨いでその同一の特許権を侵害する事件については、上級の地方人民政府の特許業務を管理する部門に処理するよう請求することができる。」
二十三、第65条を第71条に改め、「特許権侵害にかかる賠償金額については、権利者が権利侵害されたことにより受けた実際の損害又は権利侵害者が権利侵害により取得した利益に従い確定する。権利者の損害又は権利侵害者の取得した利益につき確定することが困難である場合には、当該特許許諾使用料の倍数を参照して合理的に確定する。故意に特許権を侵害し、情状が重大である場合には、上記方法に従い確定された金額の相当額以上5倍以下において賠償金額を確定することができる。
権利者の損害、権利侵害者が取得した利益及び特許許諾使用料につきいずれも確定することが困難である場合には、人民法院は、特許権の類型、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、3万元以上500万元以下の賠償を与えることを確定することができる。
賠償金額には、更に、権利者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的な支出を含まなければならない。
人民法院は、賠償金額を確定するため、権利者が既に挙証に尽力しているけれども権利侵害行為と関連する帳簿又は資料について主として権利侵害者が掌握している状況において、権利侵害行為と関連する帳簿又は資料を提供するよう権利侵害者に命ずることができる。権利侵害者がこれを提供せず、又は虚偽の帳簿若しくは資料を提供した場合には、人民法院は、権利者の主張及び提供された証拠を参考にして賠償金額を判定することができる。」に改める。
二十四、第66条を第72条に改め、「特許権者又は利害関係人は、他人が特許権を侵害して当該特許権者又は利害関係人の権利実現を妨害する行為を実施しており、又は実施しようとしている旨を証明する証拠を有し、遅滞なく制止しなければ、その適法な権益が補填困難な損害を受けるであろう場合には、訴えを提起する前に、法により人民法院に対し財産保全、一定行為実施の命令又は一定行為実施の禁止の措置を講ずるよう申し立てることができる。」に改める。
二十五、第67条を第73条に改め、「特許にかかる権利侵害行為を制止するため、証拠が滅失し、又は以後に取得が困難となるおそれのある場合には、特許権者又は利害関係人は、訴えを提起する前に法により人民法院に対し証拠の保全を申し立てることができる。」に改める。
二十六、第68条を第74条に改め、「特許権侵害の訴訟時効は、3年とし、特許権者又は利害関係人が権利侵害行為及び権利侵害者を知り、又は知るべき日から起算する。
発明特許出願の公開後から特許権の付与までに当該発明を使用し適切な使用料を支払っていない場合には、特許権者の使用料支払要求の訴訟時効は、3年とし、特許権者がその発明の他人による使用を知り、又は知るべき日から起算する。ただし、特許権者が特許権付与の日までに既に知り、又は知るべきときは、特許付与の日から起算する。」に改める。
二十七、次の1条を追加し、第76条とする。「薬品上市の審査評価・審査認可過程において、薬品上市許可申請人と関係特許権者又は利害関係人とに、登録を申請する薬品に関連する特許権により紛争が生じた場合には、関連する当事者は、人民法院に対し訴えを提起し、登録を申請する薬品に関連する技術方案が他人の薬品特許権保護範囲に入るか否かについて判決をするよう請求することができる。国務院の薬品監督管理部門は、所定の期間内に、人民法院の効力の生じた裁判に基づき、関連する薬品上市の認可を一時的に停止するか否かの決定をすることができる。
薬品上市許可申請人と関係特許権者又は利害関係人とは、登録を申請する薬品に関連する特許権紛争について、国務院の特許行政部門に対し行政裁決を請求することもできる。
国務院の薬品監督管理部門は、国務院の特許行政部門と共同して薬品上市許可審査認可と薬品上市許可申請段階の特許権紛争解決との具体的な連接弁法を制定し、国務院に報告して同意を受けた後に実施する。」
二十八、第72条を削除する。
二十九、第73条を第79条に改め、第74条を第80条に改め、その中の「行政処分」を「処分」に改める。
この決定は、2021年6月1日から施行する。
「特許法」については、この決定に基づき相応する改正をし、かつ、条文の順序について相応する調整をし、新たに公布する。
第1条 特許権者の適法な権益を保護し、発明創造を奨励し、発明創造の応用を推進し、新規創造能力を向上させ、かつ、科学技術の進歩及び経済社会の発展を促進するため、この法律を制定する。
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