民事訴訟の証拠に関する最高人民法院の若干の規定
2001年12月21日最高人民法院法釈[2001]33号により公布、2002年4月1日施行
2019年12月25日最高人民法院法釈[2019]19号により改正、2020年5月1日施行
法釈[2019]19号
一、第1条を次のように改める。
「原告が人民法院に対し訴えを提起し、又は被告が反訴を提起する場合には、訴え提起の条件に適合する相応の証拠を提供しなければならない。」
二、第3条を第2条に改める。
三、第2条及び第4条から第7条を削除する。
四、第8条第1項及び第74条を第3条に改め、次のように改める。
「訴訟の過程において、一方の当事者が陳述した自らに不利な事実について、又は自らに不利な事実について承認する旨を明確に示した場合については、他の一方の当事者は、挙証して証明する必要がない。
証拠交換、質問若しくは調査の過程において、又は起訴状、答弁書、代理文言等の書面資料において、当事者が自らに不利な事実を明確に承認した場合には、前項の規定を適用する。」
五、第8条第2項を第4条に改め、次のように改める。
「一方の当事者が他の一方の当事者の主張する自らに不利な事実について承認せず、また、否認もせず、裁判人員による説明及び質問を経た後に、当該一方の当事者がなお肯定又は否定する旨を明確に示さない場合には、当該事実に対する承認とみなす。」
六、第8条第3項を第5条に改め、次のように改める。
「当事者が訴訟代理人に訴訟への参加を委託する場合には、授権委託書において明確に排除された事項を除き、訴訟代理人の自認は、当事者の自認とみなす。
当事者がその場において訴訟代理人の自認について明確に否認した場合には、自認とみなさない。」
七、1条を追加し第6条として次のようにする。
「通常共同訴訟において、共同訴訟人のうちの1名又は複数名がした自認は、自認をした当事者に対し効力を生ずる。
必要的共同訴訟において、共同訴訟人のうちの1名又は複数名が自認をしたが、その他の共同訴訟人が否認をした場合には、自認の効力が生じない。その他の共同訴訟人が承認せず、また、否認もせず、裁判人員による説明及び質問を経た後もなお意見を明確に示さない場合には、共同訴訟人全体の自認とみなす。」
八、1条を追加し第7条として次のようにする。
「一方の当事者が他の一方の当事者の主張する自らに不利な事実について、一部制限をして又は条件を付加して承認をした場合には、人民法院が事件の状況を総合して自認を構成するか否かを決定する。」
九、1条を追加し第8条として次のようにする。
「 「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第96条第1項所定の事実には、自認に関係する規定を適用しない。
自認の事実が、既に調査により明らかにされた事実と一致しない場合には、人民法院は、確認をしない。」
十、第8条第4項を第9条に改め、次のように改める。
「次に掲げる事由の1つがあり、当事者が法廷弁論の終結前に自認を取り消す場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。
(一)相手方当事者による同意を経たとき。
(二)自認が強迫を受け、又は重大に誤解した状況においてなされたものであるとき。
人民法院は、当事者の自認取消しを許可する場合には、口頭又は書面による裁定をしなければならない。」
十一、第9条を第10条に改め、次のように改める。
「次に掲げる事実について、当事者は、挙証して証明する必要がない。
(一) 自然の法則並びに定理及び原理
(二)公知の事実
(三)法律の規定に基づき推定される事実
(四)既知の事実及び日常生活の経験則に基づき推定されるもう1つの事実
(五)仲裁機構の効力の生じた判断により既に確認されている事実
(六)人民法院の法的効力の生じた裁判により既に確認されている基本的事実
(七)有効な公証文書により既に証明されている事実
ただし、前項第(二)号から第(五)号の事実については、反駁するのに足りる反証を当事者が有する場合を除く。第(六)号及び第(七)号の事実については、覆すのに足りる反証を当事者が有する場合を除く。」
十二、第10条を第11条に改める。
十三、1条を追加し第12条として次のようにする。
「動産を証拠とする場合には、原物を人民法院に提出しなければならない。原物が移送に適さず、又は保存に適しない場合には、当事者は、複製品、映像資料その他の代替品を提供することができる。
人民法院は、当事者の提出した動産又は代替品を接受した後に、当事者双方に人民法院又は保存現場において検査するよう遅滞なく通知しなければならない。」
十四、1条を追加し第13条として次のようにする。
「当事者は、不動産を証拠とする場合には、人民法院に対し当該不動産の映像資料を提供しなければならない。
人民法院は、必要があると認める場合には、当事者双方に現場に立ち合い検査をするよう通知しなければならない。」
十五、1条を追加し第14条として次のようにする。
「電子データには、次に掲げる情報及び電子文書を含む。
(一)ウェブページ、ブログ、マイクロブログ等のネットワークプラットフォームにより発表される情報
(二)携帯電話のショートメッセージ、電子メール、インスタントメッセージ、通信グループ等のネットワークアプリケーションサービスの通信情報
(三)ユーザー登録情報、身分認証情報、電子取引記録、通信記録、ログインログ等の情報
(四)ドキュメント、画像、音声、動画、デジタル証書、コンピュータープログラム等の電子ファイル
(五)デジタル化形式により保存し、処理し、又は伝送される、事件事実を証明することができるその他の情報」
十六、1条を追加し第15条として次のようにする。
「当事者は、視聴覚資料を証拠とする場合には、当該視聴覚資料を保存する原始媒体を提供しなければならない。
当事者は、電子データを証拠とする場合には、原本を提供しなければならない。電子データの作成者が作成する、原本と一致する副本、直接に電子データを源泉とする印刷文書又は表示し、若しくは識別することができるその他の出力媒体は、電子データの原本とみなす。」
十七、第11条を第16条に改め、次のように改める。
「当事者が提供する公文書である書証が中華人民共和国の領域外において形成されたものである場合には、当該証拠は、所在国の公証機関による証明を経なければならず、又は中華人民共和国と当該所在国とが締結する関係条約において定められた証明手続を履行しなければならない。
中華人民共和国の領域外で形成された、身分関係にかかわる証拠は、所在国の公証機関による証明を経て、かつ、中華人民共和国の当該国に駐在する大使館・領事館による認証を経なければならず、又は中華人民共和国と当該所在国とが締結する関係条約において定められた証明手続を履行しなければならない。
当事者が人民法院に対し提供する証拠が香港、マカオ又は台湾地区において形成されたものである場合には、関連する証明手続を履行しなければならない。」
十八、第12条を第17条に改める。
十九、第13条を第18条に改め、次のように改める。
「当事者双方に紛争のない事実が「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第96条第1項所定の事由に適合する場合には、人民法院は、当事者に関係証拠を提供するよう命ずることができる。」
二十、第14条を第19条に改める。
二十一、第15条から第17条を削除する。
二十二、第19条第2項を削除し、第18条及び第19条第1項を第20条に改め、次のように改める。
「当事者及びその訴訟代理人は、人民法院に対し証拠の調査収集を申し立てるにあたり、挙証期間の満了前に書面による申立てを提出しなければならない。
申立書には、被調査人の氏名又は単位の名称、住所地等の基本的状況、調査収集を必要とする証拠の名称又は内容、人民法院による証拠の調査収集を必要とする原因及び自らが証明する必要のある事実並びに明確な手がかりを記載しなければならない。」
二十三、第20条を第21条に改め、次のように改める。
「人民法院が調査収集する書証は、原本であることができ、照合を経て誤りのない副本又は複製文書とすることもできる。副本又は複製文書である場合には、調査記録において由来及び証拠取得の状況を説明しなければならない。」
二十四、第21条を第22条に改め、次のように改める。
「人民法院が調査収集する物証は、原物でなければならない。被調査人が原物を提供するのに確実に困難がある場合には、複製品又は映像資料を提供することができる。複製品又は映像資料を提供する場合には、調査記録において証拠取得の状況を説明しなければならない。」
二十五、第22条を第23条に改め、次のように改める。
「人民法院は、視聴覚資料又は電子データを調査収集するにあたり、被調査人に原始媒体を提供するよう要求しなければならない。
原始媒体を提供するのに確実に困難がある場合には、複製文書を提供することができる。複製文書を提供する場合には、人民法院は、調査記録においてその由来及び作成の経過を説明しなければならない。
人民法院が視聴覚資料又は電子データに対し証拠保全措置を講ずる場合には、前項の規定を適用する。」
二十六、1条を追加し第24条として次のようにする。
「人民法院は、鑑定を必要とする可能性のある証拠を調査収集するにあたり、関連する技術規範を遵守し、証拠が汚染されないことを確実に保証しなければならない。」
二十七、第23条を第25条に改め、次のように改める。
「当事者又は利害関係人が民事訴訟法第81条の規定に基づき証拠保全を申し立てる場合には、申立書には、保全を必要とする証拠の基本的状況、保全を申し立てる理由及びどの種の保全措置を講ずるか等の内容を記載しなければならない。
当事者は、民事訴訟法第81条第1項の規定に基づき証拠保全を申し立てる場合には、挙証期間が満了する前に人民法院に対し提出しなければならない。
法律又は司法解釈において訴訟前証拠保全について規定がある場合には、当該規定により取り扱う。」
二十八、1条を追加し第26条として次のようにする。
「当事者又は利害関係人が封印、差押え等の保全目的物の使用、流通等を制限する保全措置を講ずるよう申し立て、又は保全により証拠保有者に対し損失をもたらすおそれがある場合には、人民法院は、申立人に相応する担保を提供するよう命じなければならない。
担保の方式又は金額については、証拠保有者に対する保全措置の影響、保全目的物の価値、当事者又は利害関係人の紛争にかかる訴額等の要素に基づき人民法院が総合的に確定する。」
二十九、第24条を第27条に改め、次のように改める。
「人民法院は、証拠保全をするにあたり、当事者又は訴訟代理人に対し現場に立ち会うよう要求することができる。
当事者の申立て及び具体的な状況に基づき、人民法院は、封印、差押え、録音、録画、複製、鑑定、検証等の方法を採用して証拠保全をすることができ、かつ、記録を作成する。
証拠保全の目的に適合する状況において、人民法院は、証拠保有者の利益に対する影響が最小である保全措置を選択しなければならない。」
三十、1条を追加し第28条として次のようにする。
「証拠保全の申立ての誤りにより財産の損失がもたらされ、当事者が申立人に賠償責任を負うよう請求する場合には、人民法院は、これを支持しなければならない。」
三十一、1条を追加し第29条として次のようにする。
「人民法院が訴訟前証拠保全の措置を講じた後に、当事者が管轄権を有するその他の人民法院に対し訴えを提起した場合には、保全措置を講じた人民法院は、当事者の申立てに基づき、事件を受理した人民法院に保全した証拠を遅滞なく移送しなければならない。」
三十二、1条を追加し第30条として次のようにする。
「人民法院は、事件審理の過程において、証明予定事実につき鑑定意見を通じて証明する必要があると認める場合には、当事者に対し釈明し、かつ、鑑定の申立てを提出する期間を指定しなければならない。
「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第96条第1項所定の事由に適合する場合には、人民法院は、職権により鑑定を委託しなければならない。」
三十三、第25条を第31条に改め、次のように改める。
「当事者は、鑑定を申し立てるにあたり、人民法院の指定した期間内に提出し、かつ、鑑定費用を予納しなければならない。期限を徒過して申立てを提出せず、又は鑑定費用を予納しない場合には、申立てを放棄したものとみなす。
鑑定する必要のある、証明予定事実について挙証責任を負う当事者は、人民法院の指定する期間内に正当な理由なくして鑑定の申立てを提出せず、若しくは鑑定費用を予納せず、又は関連資料の提供を拒絶して、証明予定事実につき調査により明らかにするすべがなくなった場合には、挙証不能の法的効果を負わなければならない。」
三十四、第26条を第32条に改め、次のように改める。
「人民法院は、鑑定の申立てを許可する場合には、当事者双方を組織して相応する資格を具備する鑑定人を協議により確定させなければならない。当事者による協議が不調であるときは、人民法院が指定する。
人民法院は、職権により鑑定を委託する場合には、当事者の意見を質問した後に、相応する資格を具備する鑑定人を指定することができる。
人民法院は、鑑定人を確定した後に、委託書を発行しなければならず、委託書には、鑑定事項、鑑定範囲、鑑定目的及び鑑定期間を記載しなければならない。」
三十五、1条を追加し第33条として次のようにする。
「鑑定が開始される前に、人民法院は、承諾書に署名するよう鑑定人に要求しなければならない。承諾書には、鑑定人が客観的、公正かつ誠実に鑑定をすることを保証し、出廷して証言をすることを保証し、虚偽の鑑定をした場合には法律責任を負うべきこと等の内容を記載しなければならない。
鑑定人が故意に虚偽の鑑定をした場合には、人民法院は、当該鑑定人に鑑定費用を返還するよう命じ、かつ、情状に応じて、民事訴訟法第111条の規定により処罰をしなければならない。」
三十六、1条を追加し第34条として次のようにする。
「人民法院は、当事者を組織して鑑定資料について証拠質疑をさせなければならない。証拠質疑を経ていない資料は、これを鑑定の根据としてはならない。
人民法院の許可を経て、鑑定人は、証拠を取り寄せ、物証及び現場を検証し、及び当事者又は証人に質問することができる。」
三十七、1条を追加し第35条として次のようにする。
「鑑定人は、人民法院の確定した期間内に鑑定を完了し、かつ、鑑定書を提出しなければならない。
鑑定人が正当な理由なくして期限どおりに鑑定書を提出しない場合には、当事者は、人民法院に別途鑑定人に委託して鑑定をさせるよう申し立てることができる。人民法院が許可した場合には、原鑑定人が既に収受した鑑定費用は、これを返還しなければならない。返還を拒絶する場合には、第81条第2項の規定により処理する。」
三十八、第29条を第36条に改め、次のように改める。
「人民法院は、鑑定人が発行した鑑定書について、次に掲げる内容があるか否かを審査しなければならない。
(一)委託法院の名称
(二)委託された鑑定の内容及び要求
(三)鑑定資料
(四)鑑定の根拠とした原理及び方法
(五)鑑定の過程に対する説明
(六)鑑定意見
(七)承諾書
鑑定書には、鑑定人が署名し、又は押印し、かつ、鑑定人の相応する資格証明を添付しなければならない。機構に鑑定を委託する場合には、鑑定書には、鑑定機構が押印し、かつ、鑑定に従事した人員が署名しなければならない。」
三十九、1条を追加し第37条として次のようにする。
「人民法院は、鑑定書を受領した後に、副本を遅滞なく当事者に送付しなければならない。
当事者は、鑑定書の内容について異議がある場合には、人民法院の指定する期間内に書面により提起しなければならない。
当事者の異議について、人民法院は、解釈、説明又は補充をするよう鑑定人に要求しなければならない。人民法院は、必要があると認める場合には、当事者が異議を提起していない内容について解釈、説明又は補充をするよう鑑定人に要求することができる。」
四十、1条を追加し第38条として次のようにする。
「鑑定人の書面による回答を受領した後に当事者になお異議がある場合には、人民法院は、『訴訟費用納付弁法』第11条の規定に基づき、鑑定人の出廷費用を予納するよう異議のある当事者に通知し、かつ、鑑定人に出廷するよう通知しなければならない。異議のある当事者が鑑定人の出廷費用を予納しない場合には、異議を放棄したものとみなす。
鑑定意見について当事者双方にいずれも異議がある場合には、鑑定人の出廷費用を分担して予納する。」
四十一、1条を追加し第39条として次のようにする。
「鑑定人の出廷費用は、証人出廷証言費用の標準に従い計算し、敗訴した当事者がこれを負担する。鑑定意見が明確でなく、又は瑕疵があることにより鑑定人の出廷を必要とする場合には、出廷費用は、当該鑑定人が自ら負担する。
人民法院が鑑定を委託する際に、鑑定人の出廷費用が鑑定費用に含まれることを既に確定している場合には、予納するよう当事者に通知しない。」
四十二、第27条を第40条に改め、次のように改める。
「当事者が改めて鑑定するよう申し立て、次に掲げる事由の1つが存在する場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。
(一)鑑定人が相応する資格を具備しないとき。
(二)鑑定手続が重大に法律に違反しているとき。
(三)鑑定意見が明らかに根拠不足であるとき。
(四)鑑定意見を証拠として使用することのできないその他の事由
前項第(一)号から第(三)号の事由が存在する場合には、鑑定人が既に収受した鑑定費用は、これを返還しなければならない。返還を拒絶する場合には、第81条第2項の規定により処理する。
鑑定意見の瑕疵について、訂正、鑑定の補充又は証拠質疑の補充、改めての証拠質疑等の方法を通じて解決することができる場合には、人民法院は、改めて鑑定をする旨の申立てを許可しない。
改めて鑑定する場合には、原鑑定意見は、事件事実を認定する根据としてはならない。」
四十三、第28条を第41条に改め、次のように改める。
「一方の当事者が専門的な問題について自ら関係機構又は人員に委託して発行させた意見について、他の一方の当事者が反駁するのに足りる証拠又は理由を有し、かつ、鑑定を申し立てる場合には、人民法院は、これを許可をしなければならない。」
四十四、1条を追加し第42条として次のようにする。
「鑑定意見が採用された後に、鑑定人が正当な理由なくして鑑定意見を取り消した場合には、人民法院は、当該鑑定人に鑑定費用を返還するよう命じなければならず、かつ、情状に応じて、民事訴訟法第111条の規定により鑑定人に対し処罰をすることができる。これにより増加した合理的費用を鑑定人が負担するよう当事者が主張する場合には、人民法院は、これを支持しなければならない。
人民法院は、鑑定意見を採用した後に鑑定人がこれを取り消すことを許可した場合には、当該鑑定人に鑑定費用を返還するよう命じなければならない。」
四十五、第30条を第43条に改め、次のように改める。
「人民法院は、検証前に、検証の時間及び場所を当事者に通知しなければならない。当事者が参加しない場合にも、検証の実施に影響しない。
当事者は、検証事項について人民法院に対し解釈及び説明をすることができ、検証における重要事項に注意するよう人民法院に請求することができる。
人民法院による物証又は現場の検証については、記録を作成し、検証の時間、場所、検証人、立会人並びに検証の経過及び結果を記録し、検証人及び立会人が署名し、又は押印しなければならない。作成された現場図面については、作成の時間、方位、作成者の氏名、身分等の内容を注記しなければならない。」
四十六、第31条を第44条に改め、次のように改める。
「関係単位が作成した、事件の事実と関連する文書及び資料を抄録する場合には、出所を注記し、かつ、作成単位又は保管単位の印章を押捺しなければならない。抄録者その他の調査人員は、抄録文書上に署名し、又は押印しなければならない。
抄録文書及び資料については、内容の相応する完全性を保持しなければならない。」
四十七、1条を追加し第45条として次のようにする。
「当事者が「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第112条の規定に基づき相手方当事者に書証を提出することを命ずるよう人民法院に申し立てる場合には、申立書には、提出するよう申し立てる書証の名称又は内容、当該書証により証明する必要のある事実及び事実の重要性、相手方当事者が当該書証を支配している根据並びに当該書証を提出させるべき理由を記載しなければならない。
相手方当事者が書証を支配していることを否認する場合には、人民法院は、法律規定、習慣等の要素に基づき、事件の事実及び証拠を考慮し、書証が相手方当事者の支配のもとにあるか否かの事実について総合的な判断をしなければならない。」
四十八、1条を追加し第46条として次のようにする。
「人民法院は、当事者の書証提出にかかる申立てについて審査をする際に、相手方当事者の意見を聴取しなければならず、必要である場合には、当事者双方に証拠を提供し、かつ、弁論をするよう要求することができる。
当事者が提出するよう申し立てる書証が明確でなく、証明予定事実の証明に対し書証が必要なく、証明予定事実が裁判結果に対し実質的な影響がなく、書証が相手方当事者の支配のもとになく、又は次条の事由に適合しない場合には、人民法院は、これを許可しない。
当事者の申立理由が成立する場合には、人民法院は、裁定をし、相手方当事者に書証を提出するよう命じなければならない。理由が成立しない場合には、申立人に通知する。」
四十九、1条を追加し第47条として次のようにする。
「次に掲げる事由において、書証を支配する当事者は、書証を提出しなければならない。
(一)書証を支配する当事者が訴訟中に引用したことのある書証
(二)相手方当事者の利益のために作成された書証
(三)相手方当事者が法律の規定により閲覧及び取得の権利を有する書証
(四)帳簿及び記帳の原始証憑
(五)人民法院が書証を提出するべきであると認めるその他の事由
前項に掲げる書証が国家秘密、商業秘密若しくは当事者若しくは第三者のプライバシーにかかわり、又は法律の規定により秘密保持するべき事由が存在する場合には、提出後において、公開により証拠質疑をしてはならない。」
五十、1条を追加し第48条として次のようにする。
「書証を支配する当事者が正当な理由なくして書証の提出を拒絶した場合には、人民法院は、相手方当事者の主張する書証の内容が真実であるものと認定することができる。
書証を支配する当事者に「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第113条所定の事由が存在する場合には、人民法院は、相手方当事者が当該書証により証明されると主張する事実が真実であるものと認定することができる。」
五十一、第32条を第49条に改める。
五十二、第33条第1項を第50条に改め、次のように改める。
「人民法院は、審理前の準備段階において当事者に対し挙証通知書を送達しなければならない。
挙証通知書には、挙証責任の分配原則及び要求、人民法院に対し証拠の調査収集を申し立てることができる事由、人民法院が事件の状況に基づき指定する挙証期間並びに期限を徒過して証拠を提供した場合の法的効果等の内容を記載しなければならない。」
五十三、第33条第2項及び第3項を第51条に改め、次のように改める。
「挙証期間については、当事者が協議することができ、かつ、人民法院の許可を経る。
人民法院が挙証期間を指定する場合には、第一審の普通手続を適用して審理する事件については15日を下回ってはならず、当事者が新たな証拠を提供する第二審事件については10日を下回ってはならない。簡易手続を適用して審理する事件については15日を超えてはならず、小額訴訟事件の挙証期間は一般に7日を超えてはならない。
挙証期間が満了した後に、当事者が反駁する証拠を提供し、又は既に提供した証拠の由来、形式等の面の瑕疵について訂正をする場合には、人民法院は事情を斟酌して挙証期間を再度確定することができ、当該期間は前項所定の期間による制限を受けない。」
五十四、第34条を削除する。
五十五、1条を追加し第52条として次のようにする。
「当事者が挙証期間内に証拠を提供することに客観的な障害が存在することは、民事訴訟法第65条第2項所定の『当事者が当該期間内に証拠を提供することに確実に困難がある』という事由に属する。
前項の事由において、人民法院は、当事者の挙証能力、挙証期間内に証拠を提供することができない原因等の要素に基づき総合的に判断しなければならない。必要である場合には、相手方当事者の意見を聴取することができる。」
五十六、第35条を第53条に改め、次のように改める。
「訴訟の過程において当事者の主張する法律関係の性質又は民事行為の効力が、人民法院が事件の事実に基づき行った認定と一致しない場合には、人民法院は、法律関係の性質又は民事行為の効力を焦点となる問題として審理をしなければならない。ただし、法律関係の性質が裁判の理由及び結果に対し影響を有さず、又は関係する問題につき当事者が既に十分弁論している場合を除く。
前項の事由が存在し、当事者が法廷審理の状況に基づき訴訟請求を変更する場合には、人民法院は、これを許可しなければならず、かつ、事件の具体的状況に基づき改めて挙証期間を指定することができる。」
五十七、第36条を第54条に改め、次のように改める。
「当事者は、挙証期間の延長を申し立てる場合には、挙証期間が満了する前に、人民法院に対し書面による申立てを提出しなければならない。
申立理由が成立する場合には、人民法院は、これを許可し、挙証期間を適当に延長し、かつ、その他の当事者に通知しなければならない。延長した挙証期間は、これをその他の当事者に適用する。
申立理由が成立しない場合には、人民法院は、これを許可せず、かつ、申立人に通知する。」
五十八、1条を追加し第55条として次のようにする。
「次に掲げる事由が存在する場合には、挙証期間は、次の方式に従いこれを確定する。
(一)当事者が民事訴訟法第127条の規定により管轄権異議を提起した場合には、挙証期間が中止され、管轄権異議を棄却する裁定が効力を生じた日から計算を回復する。
(二)当事者若しくは独立請求権を有する第三者を追加して訴訟に参加させ、又は独立請求権のない第三者が人民法院の通知を経て訴訟に参加する場合には、人民法院は、第51条の規定により新たに訴訟に参加する当事者のため挙証期間を確定しなければならず、当該挙証期間は、これをその他の当事者に適用する。
(三)差戻再審理の事件については、第一審人民法院は、事件の具体的状況及び再審理に差し戻された原因を考慮し、事情を斟酌して挙証期間を確定することができる。
(四)当事者が増加し、訴訟請求が変更され、又は反訴が提起された場合には、人民法院は、事件の具体的状況に基づき改めて挙証期間を確定しなければならない。
(五)公告送達をする場合には、挙証期間は、公告期間が満了した翌日から計算する。」
五十九、第37条を削除する。
六十、第38条を第56条に改め、次のように改める。
「人民法院が民事訴訟法第133条第(四)号の規定により、証拠交換を組織することを通じて審理前準備をする場合には、証拠交換の日に挙証期間が満了する。
証拠交換の時間については、当事者が協議により合意し、かつ、人民法院の承認を経ることができ、また、人民法院が指定することもできる。当事者による挙証の期間延長の申立てが人民法院の許可を経た場合には、証拠交換の日は、これを相応して順延する。」
六十一、第39条を第57条に改める。
六十二、第40条を第58条に改め、次のように改める。
「相手方の証拠を受領した後に当事者が提出する必要のある反駁の証拠を有する場合には、人民法院は、再度証拠交換を組織しなければならない。」
六十三、第41条から第46条を削除する。
六十四、1条を追加し第59条として次のようにする。
「人民法院は、期限を徒過して証拠を提供した当事者に対し罰金を科する場合には、当事者が期限を徒過して証拠を提供した主観的故意・過失の程度、訴訟の遅延をもたらした状況、訴額等の要素を考慮し、罰金の金額を確定することができる。」
六十五、第47条を第60条に改め、次のように改める。
「当事者が審理前の準備段階又は人民法院の調査若しくは質問過程において証拠質疑意見を発表したことのある証拠は、これを証拠質疑がなされた証拠とみなす。
当事者が証拠質疑意見を書面により発表するよう要求する場合において、人民法院は、相手方当事者の意見を聴取した後に必要があると認めるときは、許可することができる。人民法院は、書面による証拠質疑意見を遅滞なく相手方当事者に送付しなければならない。」
六十六、第48条を削除する。
六十七、第49条を第61条に改め、次のように改める。
「書証、物証及び視聴覚資料について証拠質疑をする場合には、当事者は、証拠の原本又は原物を提示しなければならない。ただし、次に掲げる事由の1つのある場合を除く。
(一)原本又は原物を提示するのに確実に困難があり、かつ、複製文書又は複製品を提示することにつき人民法院の許可を経たとき。
(二)原本又は原物が既に存在しないけれども、複製文書又は複製品が原本又は原物と一致することを証明する証拠のあるとき。」
六十八、第50条を削除する。
六十九、第51条を第62条に改め、次のように改める。
「証拠質疑は、一般に次に掲げる順序に従いこれを行う。
(一)原告が証拠を提示し、被告又は第三者が原告と証拠質疑をする。
(二)被告が証拠を提示し、原告又は第三者が被告と証拠質疑をする。
(三)第三者が証拠を提示し、原告又は被告が第三者と証拠質疑をする。
人民法院が当事者の申立てに基づき調査収集した証拠については、裁判人員が証拠の調査収集の状況について説明をした後に、申立てを提出した当事者が相手方当事者又は第三者と証拠質疑をする。
人民法院が職権により調査収集した証拠については、裁判人員が証拠の調査収集の状況について説明をした後に、当事者の意見を聴取する。」
七十、第52条を削除する。
七十一、1条を追加し第63条として次のようにする。
「当事者は、事件の事実について真実かつ完全な陳述をしなければならない。
当事者の陳述が以前の陳述と一致しない場合には、人民法院は、当該当事者に理由を説明するよう命じ、かつ、当事者の訴訟能力、証拠及び事件の具体的状況を考慮して審査認定をしなければならない。
当事者が故意に虚偽の陳述をして人民法院の審理を妨害した場合には、人民法院は、情状に応じて、民事訴訟法第111条の規定により処罰をしなければならない。」
七十二、1条を追加し第64条として次のようにする。
「人民法院は、必要があると認める場合には、本人が現場に立ち合い、事件の関係する事実について質問を受けるよう当事者に要求することができる。
人民法院は、当事者に現場に立ち会い質問を受けるよう要求する場合には、当事者に質問の時間、場所、現場に立ち会うことを拒絶した場合の結果等の内容を通知しなければならない。」
七十三、1条を追加し第65条として次のようにする。
「人民法院は、質問の前に、保証書に署名し、かつ、保証書の内容を朗読するよう当事者に命じなければならない。
保証書には、事実に基づき陳述し、断じて隠蔽、歪曲又は増減がないことを保証し、虚偽の陳述をした場合には処罰を受けるべきこと等の内容を記載しなければならない。当事者は、保証書上に署名し、かつ、拇印をしなければならない。
当事者が正当な理由があり保証書を朗読することができない場合には、書記官が朗読し、かつ、説明をする。」
七十四、1条を追加し第66条として次のようにする。
「当事者が正当な理由なくして現場に立ち会うことを拒絶し、保証書への署名若しくはその朗読を拒絶し、又は質問を受けることを拒絶した場合には、人民法院は、事件の状況を総合して、証明予定事実の真偽を判断しなければならない。証明予定事実につき証明するその他の証拠がない場合には、人民法院は、当該当事者に不利な認定をしなければならない。」
七十五、第53条を第67条に改め、次のように改める。
「意思を正確に表示することのできない者は、これを証人とすることができない。
証明予定事実がその年齢、知力状況又は精神健康状況と相応する民事行為無能力者及び制限民事行為能力者は、これを証人とすることができる。」
七十六、第55条を第68条に改め、次のように改める。
「人民法院は、証人に出廷して証言をし、裁判人員及び当事者の尋問を受けるよう要求しなければならない。証人が審理前の準備段階又は人民法院の調査、尋問等の当事者双方がその場にいる際に証言を陳述した場合には、出廷して証言をしたものとみなす。
証人がその他の方式により証言をすることに当事者双方が同意し、かつ、人民法院の許可を経た場合には、証人は、出廷しないで証言をすることができる。
正当な理由なくして出廷しない証人が書面等の方式により提供した証言については、これを事件の事実を認定する根据としてはならない。」
七十七、1条を追加し第69条として次のようにする。
「当事者は、証人に出廷して証言をさせるよう申し立てる場合には、挙証期間が満了する前に人民法院に対し申立書を提出しなければならない。
申立書には、証人の氏名、職業、住所及び連絡方式、証言をさせる主たる内容、証言をさせる内容と証明予定事実との関連性並びに証人に出廷して証言をさせる必要性を記載しなければならない。
「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第96条第1項所定の事由に適合する場合には、人民法院は、職権により証人に出廷して証言をするよう通知しなければならない。」
七十八、第54条を第70条に改め、次のように改める。
「人民法院は、証人出廷証言にかかる申立てを許可する場合には、証人に対し通知書を送達し、かつ、当事者双方に告知しなければならない。通知書には、証人が証言をする時間及び場所、証言をする事項及び要求並びに偽証をした場合の法的効果等の内容を記載しなければならない。
当事者が証人出廷証言を申し立てた事項と証明予定事実とが関係せず、又は証人に出廷して証言をするよう通知する必要がない場合には、人民法院は、当事者の申立てを許可しない。」
七十九、1条を追加し第71条として次のようにする。
「人民法院は、証言をする前に、保証書に署名し、かつ、法廷において保証書の内容を朗読するよう証人に要求しなければならない。ただし、民事行為無能力者及び制限民事行為能力者を証人とする場合を除く。
証人が確かに正当な理由があり保証書を朗読することができない場合には、書記官が代理で朗読し、かつ、説明をする。
証人は、保証書への署名又はその朗読を拒絶する場合には、証言をしてはならず、かつ、自ら関連費用を負担する。
証人の保証書の内容には、当事者の保証書の規定を適用する。」
八十、第56条を削除する。
八十一、第57条を第72条に改め、次のように改める。
「証人は、その自ら感知した事実を客観的に陳述しなければならず、証言をする際には、憶測、推断又は評論性の言語を使用してはならない。
証人は、証言をする前において、法廷審理を傍聴してはならず、証言をする際には、事前に準備した書面の資料を朗読する方式により証言を陳述してはならない。
証人は、言葉で表現をすることに障害がある場合には、その他の表現方式を通じて証言をすることができる。」
八十二、1条を追加し第73条として次のようにする。
「証人は、自らが証言をする事項について連続した陳述をしなければならない。
当事者及びその法定代理人、訴訟代理人又は傍聴人員が証人の陳述を妨害した場合には、人民法院は、遅滞なく制止しなければならず、必要である場合には、民事訴訟法第110条の規定により処罰をすることができる。」
八十三、第58条を第74条に改め、次のように改める。
「裁判人員は、証人に対し尋問をすることができる。当事者及びその訴訟代理人は、裁判人員の許可を経た後に、証人を尋問することができる。
証人を尋問する際には、その他の証人は、その場にいてはならない。
人民法院は、必要があると認める場合には、証人の間で対質をするよう要求することができる。」
八十四、1条を追加し第75条として次のようにする。
「証人は、出廷して証言をした後に、人民法院に対し証人出廷証言費用の支払いを申請することができる。証人に困難があり事前に出廷証言費用を受領する必要がある場合には、人民法院は、証人の申請に基づき出廷証言の前に支払うことができる。」
八十五、1条を追加し第76条として次のようにする。
「証人は、確実に困難があり出廷証言をすることができず、書面による証言、視聴覚伝送技術又は視聴覚資料等の方式により証言をすることを申請する場合には、人民法院に対し申請書を提出しなければならない。申請書には、出廷することができない具体的原因を記載しなければならない。
民事訴訟法第73条所定の事由に適合する場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。」
八十六、1条を追加し第77条として次のようにする。
「証人は、人民法院の許可を経て、書面による証言の方式により証言をする場合には、保証書に署名しなければならない。視聴覚伝送技術又は視聴覚資料の方式により証言をする場合には、保証書に署名し、かつ、保証書の内容を朗読しなければならない。」
八十七、1条を追加し第78条として次のようにする。
「当事者及びその訴訟代理人による証人に対する尋問と証明予定事実とが関係せず、又は証人への脅迫若しくは侮辱又は不適当な誘導等の事由が存在する場合には、裁判人員は、遅滞なく制止しなければならない。必要である場合には、民事訴訟法第110条及び第111条の規定により処罰をすることができる。
証人が故意に虚偽の陳述をし、又は訴訟参与人その他の者が暴力、脅迫、買収等の方法により証人が証言をするのを妨害し、若しくは証人が証言をした後に侮辱、誹謗、誣告、恐喝、殴打等の方式により証人に対し打撃報復した場合には、人民法院は、情状に応じて、民事訴訟法第111条の規定により、行為者に対し処罰をしなければならない。」
八十八、1条を追加し第79条として次のようにする。
「鑑定人が民事訴訟法第78条の規定により出廷して証言をする場合には、人民法院は、開廷審理の3日前までに出廷の時間、場所及び要求を鑑定人に通知しなければならない。
機構に鑑定を委託した場合には、鑑定に従事した人員が機構を代表して出廷しなければならない。」
八十九、第59条を第80条に改め、次のように改める。
「鑑定人は、鑑定事項について当事者の異議及び裁判人員の質問にありのままに回答しなければならない。法廷において回答することに確実に困難がある場合には、人民法院の許可を経て、法廷審理の終了後に書面により回答することができる。
人民法院は、書面による回答を遅滞なく当事者に送付し、かつ、当事者の意見を聴取しなければならない。必要である場合には、再度証拠質疑を組織することができる。」
九十、1条を追加し第81条として次のようにする。
「鑑定人が出廷して証言をすることを拒絶する場合には、鑑定意見は、これを事件の事実を認定する根据としてはならない。人民法院は、出廷して証言をすることを拒絶した鑑定人に対し処罰をするよう関係主管部門又は組織に建議しなければならない。
当事者が鑑定費用を返還するよう要求する場合には、人民法院は、3日内に裁定をし、返還するよう鑑定人に命じなければならない。返還を拒絶する場合には、人民法院が法により執行する。
鑑定人が出廷して証言をすることを拒絶したことにより当事者が改めて鑑定するよう申し立てる場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。」
九十一、第60条を第82条に改め、次のように改める。
「法廷の許可を経て、当事者は、鑑定人又は検証人に対し質問することができる。
鑑定人又は検証人を尋問するにあたっては、脅迫、侮辱等の不適当な言語及び方式を使用してはならない。」
九十二、第61条を削除する。
九十三、1条を追加し第83条として次のようにする。
「当事者が民事訴訟法第79条及び「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第122条の規定により、専門知識を有する者の出廷を申し立てる場合には、申立書には、専門知識を有する者の基本的状況及び申立ての目的を記載しなければならない。
人民法院は、当事者の申立てを許可する場合には、当事者双方に通知しなければならない。」
九十四、1条を追加し第84条として次のようにする。
「裁判人員は、専門知識を有する者に対し質問をすることができる。法廷の許可を経て、当事者は専門知識を有する者に対し質問をすることができ、当事者がそれぞれ申し立てた専門知識を有する者は、事件における関係問題について対質をすることができる。
専門知識を有する者は、鑑定意見に対する証拠質疑又は専門の問題について意見を発表する以外の法廷審理活動に参与してはならない。」
九十五、第62条を削除する。
九十六、第63条及び第64条を第85条に改め、次のように改める。
「人民法院は、証拠をもって証明することのできる事件の事実を根拠とし、法により裁判をしなければならない。
裁判人員は、法定の手続により、証拠を全面的かつ客観的に審査確認し、法律の規定により、裁判官の職業道徳を遵守し、論理的推論及び日常生活の経験を運用し、証拠の証明力の有無及び証明力の大小について独立して判断をし、かつ、判断の理由及び結果を公開しなければならない。」
九十七、1条を追加し第86条として次のようにする。
「当事者による、欺罔、強迫又は悪意による通謀の事実に対する証明、及び口頭による遺言又は贈与の事実に対する証明について、人民法院は、当該証明予定事実の存在する可能性から合理的疑念を排除することができると確信する場合には、当該事実が存在するものと認定しなければならない。
訴訟保全、除斥・忌避・回避等の手続事項に関係する事実について、人民法院は、当事者の説明及び関連する証拠を考慮し、関係する事実が存在する可能性が比較的大きいと認める場合には、当該事実の存在を認定することができる。」
九十八、第65条を第87条に改め、次のように改める。
「裁判人員は、単一の証拠について、次に掲げる方面から審査確認・認定をすることができる。
(一)証拠が原本又は原物であるか否か、及び複製文書又は複製品が原本又は原物と一致するか否か。
(二)証拠が当該事件の事実と関連するか否か。
(三)証拠の形式及び由来が法律の規定に適合するか否か。
(四)証拠の内容が真実であるか否か。
(五)証人又は証拠を提供する者が当事者と利害関係を有するか否か。」
九十九、第66条を第88条に改める。
百、1条を追加し第89条として次のようにする。
「当事者が訴訟過程において認めた証拠について、人民法院は、確認をしなければならない。ただし、法律又は司法解釈に別段の定めのある場合を除く。
認めた証拠について当事者が翻意した場合には、「『民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈」第229条の規定を参照して処理する。」
百一、第67条及び第68条を削除する。
百二、第69条を第90条に改め、次のように改める。
「次に掲げる証拠については、単独では事件の事実を認定する根拠とすることができない。
(一)当事者の陳述
(二)民事行為無能力者又は制限民事行為能力者の行った、その年齢、知力状況又は精神健康状況と相当しない証言
(三)一方の当事者又はその代理人と利害関係のある証人が陳述した証言
(四)疑点の存在する視聴覚資料又は電子データ
(五)原本又は原物と照合するすべのない複製文書又は複製品」
百三、1条を追加し第91条として次のようにする。
「公文書である書証の作成者が文書原本に基づき作成した記載部分又は内容全部の副本は、正本と同一の証明力を有する。
国家機関において档案として保存されている文書については、その複製文書、副本及び抄本が档案部門又は原本を作成した機関によるその内容が原本と一致している旨の証明を経た場合には、当該複製文書、副本及び抄本は、原本と同一の証明力を有する。」
百四、1条を追加し第92条として次のようにする。
「私文書である書証の真実性については、私文書である書証により事件の事実を証明することを主張する当事者が挙証責任を負う。
私文書である書証については、作成者又はその代理人が署名し、かつ、押印し、又は拇印をした場合には、真実であるものと推定する。
私文書である書証に削除、書換え、追加その他の形式の瑕疵がある場合には、人民法院は、事件の具体的状況を総合してその証明力を判断しなければならない。」
百五、1条を追加し第93条として次のようにする。
「人民法院は、電子データの真実性について、次に掲げる要素を考慮して総合的に判断しなければならない。
(一)電子データの生成、保存又は伝送において依拠したコンピューターシステムのハードウェア又はソフトウェアの環境が完全かつ信頼可能であるか否か。
(二)電子データの生成、保存又は伝送において依拠したコンピューターシステムのハードウェア又はソフトウェアの環境が正常な運行状態にあるか否か、又は正常な運行状態にない場合には、電子データの生成、保存又は伝送に対し影響を有したか否か。
(三)電子データの生成、保存又は伝送において依拠したコンピューターシステムのハードウェア又はソフトウェアの環境が有効なエラー防止のモニタリング及びチェックツールを具備しているか否か。
(四)電子データが完全に保存され、伝送され、又は取り出されているか否か、保存、伝送又は取出しの方法が信頼可能であるか否か。
(五)電子データが正常な往来活動において形成され、及び保存されたか否か。
(六)電子データを保存し、伝送し、又は取り出した主体が適当であるか否か。
(七)電子データの完全性及び信頼可能性に影響するその他の要素
人民法院は、必要があると認める場合には、鑑定又は検証等の方法を通じて、電子データの真実性を審査し判断することができる。」
百六、1条を追加し第94条として次のようにする。
「電子データに次に掲げる事由が存在する場合には、人民法院は、その真実性を確認することができる。ただし、反駁するのに足りる反証がある場合を除く。
(一)当事者が提出し、又は保管する、自己に不利な電子データ
(二)電子データを記録し、及び保存する中立の第三者プラットフォームが提供し、又は確認したとき。
(三)正常な業務活動において形成されたとき。
(四)档案管理方式により保管されているとき。
(五)当事者が約定した方式により保存され、伝送され、又は取り出されたとき。
電子データの内容が公証機関の公証を経ている場合には、人民法院は、その真実性を確認しなければならない。ただし、覆すのに足りる反証がある場合を除く。」
百七、第70条から第74条を削除する。
百八、第75条を第95条に改め、次のように改める。
「一方の当事者が支配する証拠につき正当な理由なくして提出を拒絶し、証明予定事実について挙証責任を負う当事者が当該証拠の内容が支配者に不利であると主張する場合には、人民法院は、当該主張が成立するものと認定することができる。」
百九、第76条及び第77条を削除する。
百十、第78条を第96条に改める。
百十一、第79条を第97条に改める。
百十二、第80条を第98条に改め、次のように改める。
「証人、鑑定人及び検証人の適法な権益については、法によりこれを保護する。
当事者その他の訴訟参与人が証拠を偽造し、若しくは毀滅し、虚偽の証拠を提供し、証人が証言をするのを阻止し、他人を偽証をするよう教唆し、買収し、若しくは強迫し、又は証人、鑑定人若しくは検証人に対し打撃報復した場合には、民事訴訟法第110条及び第111条の規定により処罰をする。」
百十三、1条を追加し第99条として次のようにする。
「この規定に証拠保全について規定がない場合には、財産保全に関する法律及び司法解釈の規定を参照して適用する。
法律又は司法解釈に別段の定めのある場合を除き、当事者、鑑定人又は専門知識を有する者に対する質問は、この規定における証人尋問に関する規定を参照して適用する。書証に関する規定は、これを視聴覚資料及び電子データに適用する。電子コンピューター等の電子メディアに保存されている視聴覚資料には、電子データの規定を適用する。」
百十四、第81条及び第82条を削除する。
百十五、第83条を第100条に改め、次のように改める。
「この規定は、2020年5月1日から施行する。
この規定が公布・施行された後に、最高人民法院が従前に発布した司法解釈とこの規定とが一致しない場合には、これを適用しない。」
人民法院が事件の事実を正確に認定し、民事事件を公正かつ適時に審理することを保証し、かつ、当事者の法による訴訟権利の行使を保障し、及びそれに便宜をはかるため、「民事訴訟法」等の関係する法律の規定に基づき、民事裁判の経験及び実情を考慮し、この規定を制定する。
第1条 原告が人民法院に対し訴えを提起し、又は被告が反訴を提起する場合には、訴え提起の条件に適合する相応の証拠を提供しなければならない。
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