【公布日】1990.04.04
【施行日】1997.07.01
【公布機関】国家主席令第26号
香港特別行政区基本法
この法律の附属書1及び関係改正案は、主席令75号(2021年3月30日公布、同月31日施行)により失効している。
この法律の附属書2及び関係改正案は、主席令76号(2021年3月30日公布、同月31日施行)により失効している。
前 文
香港は、古来中国の領土であったが、1840年のアヘン戦争後、英国に占領された。1984年12月19日、中英両国政府は、香港問題に関する共同声明に調印し、中華人民共和国政府が1997年7月1日に香港に対する主権の行使を回復することを確認した。これにより、香港を取り戻すという中国人民の長年にわたる共通の願いは実現した。
国の統一及び領土の完全性を維持保護し、香港の繁栄及び安定を保持するため、かつ、香港の歴史及び現状を考慮して、国は、香港に対し主権の行使を回復する際に、中華人民共和国憲法第31条の規定に基づき香港特別行政区を設立し、かつ、「一国二制度」の方針に従い、香港においては社会主義の制度及び政策を実施しないことを決定した。香港に対する国の基本方針及び政策は、すでに中国政府が中英共同声明文書の中で明らかにされている。
中華人民共和国憲法に基づき、全国人民代表大会は、香港特別行政区基本法を特に制定し、香港特別行政区で実施する制度について定め、もって香港に対する国の方針及び政策の実施を保障する。
第1条 香港特別行政区は、中華人民共和国の分離することのできない部分である。
附属書1:香港特別行政区行政長官の選出方法
一、行政長官は、広範な代表性を有する選挙委員会がこの法律に基づき選出し、中央人民政府が任命する。
二、選挙委員会の委員は、合計 800名とし、次に掲げる各界人士により構成する。
商工、金融界 200名
専門業務界 200名
労働者、社会サービス、宗教界等 200名
立法会議員、区域性組織代表、香港地区全国人民代表大会代表、香港地区全国政協委員の代表 200名
選挙委員会の各期の任期は、5年とする。
三、各界の区分及び各界内部の各種組織の選出できる選挙委員の定数は、香港特別行政区が民主的かつ開放的であるという原則に基づき選挙法で制定して定める。
各界の法定団体は、選挙法の定める配分定数及び選挙方法に基づき自ら選挙委員会委員を選出する。
選挙委員は、個人の資格により投票する。
四、100名を下回らない選挙委員は、連合して行政長官候補者を指名することができる。1名の委員は、1名の候補者のみを指名することができる。
五、選挙委員会は、指名された名簿に基づき、1人1票の無記名投票を経て行政長官候補者を選出する。具体的な選挙方法は、選挙法により定める。
六、初代の行政長官は、「香港特別行政区第1期政府及び立法会選出方法に関する全国人 民代表大会の決定」に従い選出する。
七、2007年以後に任じられる各行政長官の選出方法は、改正する必要がある場合には、必ず立法会議員全体の3分の2の多数による採択及び行政長官の同意を経て、かつ、全国人民代表大会常務委員会に報告し、承認を得なければならない。
付属書2:香港特別行政区立法会の選出方法及び議決手続
一、立法会の選出方法
(一)香港特別行政区立法会議員は、各期60名とし、第1期立法会は、「香港特別行 政区第1期政府及び立法会選出方法に関する全国人民代表大会の決定」に従い選出する。第2期及び第3期の立法会の構成は次のとおりとする。
第2期
機能団体が選挙する議員 30名
選挙委員会が選挙する議員 6名
分区が直接選挙する議員 24名
第3期
機能団体が選挙する議員 30名
分区が直接選挙する議員 30名
(二)第1期立法会を除き、上記選挙委員会とは、すなわちこの法律の付属書1に定める選挙委員会である。上記の分区が直接選挙する選挙区区分及び投票方法、各機能界別及び法定団体の区分、議員定数の分配及び選挙方法並びに選挙委員会の議員選挙の方法については、香港特別行政区政府が提出し、かつ、立法会の採択を経た選挙法により定める。
二、法案及び議案に対する立法会の議決手続
この法律に別途定めがある場合を除き、法案及び議案に対する香港特別行政区立法会 の議決は、次に掲げる手続を採用する。
政府が提出する法案について、会議に出席した全議員の過半数の票を取得した場合には、採択とする。
立法会議員個人が提出した議案及び法案並びに政府法案に対する改正案については、必ずいずれもそれぞれ機能団体の選挙により選出された議員並びに分区直接選挙及び選挙委員会の選挙により選出された議員の2つの部分の会議出席議員の各過半数を経て採択しなければならない。
三、2007年以後の立法会の選出方法及び議決手続
2007年以後の香港特別行政区立法会の選出方法並びに法案及び議案の議決手続について、この付属書の規定に対して改正をする必要がある場合には、必ず立法会の議員全体の3分の2の多数による採択及び行政長官の同意を経て、かつ、全国人民代表大会常務委員会に報告して備案を受けなければならない。
附属書3 香港特別行政区において実施される全国性法律
次に掲げる全国性法律は、1997年7月1日から香港特別行政区が当該地において公布し、又は法律を制定して実施する。
一、「中華人民共和国の国都、紀年、国歌及び国旗に関する決議」
二、「中華人民共和国の国慶の日に関する決議」
三、「中華人民共和国国章の公布にかかる中央人民政府の命令」 付:国章の図案、説明及び使用方法
四、「領海に関する中華人民共和国政府の声明」
五、「中華人民共和国国籍法」
六、「中華人民共和国外交特権及び免除条例」
(訳注:この後1997年、1998年、2005年、2017年及び2020年の法令発布を経て、「香港特別行政区において実施される全国性法律」は次のとおりである。
一、「中華人民共和国の国都、紀年、国歌及び国旗に関する決議」
二、「中華人民共和国の国慶の日に関する決議」
三、「領海に関する中華人民共和国政府の声明」
四、「中華人民共和国国籍法」
五、「中華人民共和国外交特権及び免除条例」
六、「中華人民共和国国旗法」
七、「中華人民共和国領事特権及び免除条例」
八、「中華人民共和国国徽法」
九、「中華人民共和国領海及び国旗法」
十、「中華人民共和国香港特別行政区駐軍法」
十一、「中華人民共和国排他的経済水域及び大陸棚法」
十二、「中華人民共和国外国中央銀行財産司法強制措置免除法」
十三、「中華人民共和国国歌法」
十四、「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持保護法」)
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