民事訴訟法
1991年4月9日第7期全国人民代表大会第4回会議により採択、同日主席令第44号により公布、同日施行
2007年10月28日第10期全国人民代表大会常務委員会第30回会議により改正採択、同日主席令第75号により公布、2008年4月1日施行
2012年8月31日第11期全国人民代表大会常務委員会第28回会議により改正採択、同日主席令第59号により公布、2013年1月1日施行
2017年6月27日第12期全国人民代表大会常務委員会第28回会議により改正採択、同日主席令第71号により公布、同年7月1日施行
2021年12月24日第13期全国人民代表大会常務委員会第32回会議により改正採択、同日主席令第106号により公布、2022年1月1日施行
2023年9月1日第14期全国人民代表大会常務委員会第5回会議により改正採択、同日主席令第11号により公布、2024年1月1日施行
第14期全国人民代表大会常務委員会第5回会議において「民事訴訟法」について次のような改正をすることを決定した。
一、第40条を次のように改める「人民法院が第1審の民事事件を審理するにあたっては、裁判官及び人民陪審員が共同して合議廷を構成し、又は裁判官が合議廷を構成する。合議廷の成員数は、必ず奇数でなければならない。
「簡易手続を適用して審理する民事事件は、裁判官1名が独任で審理する。基層人民法院が審理する、基本事実が明らかであり、かつ、権利義務関係が明確である第1審民事事件は、裁判官1名が普通手続を適用して独任で審理する。
「人民陪審員は、裁判活動に参加する際には、法律に別段の定めがある場合を除き、裁判官と同等の権利義務を有する。」。
二、第47条第4項を次のように改める。「前三項の規定は、裁判官助理、書記官、司法技術人員、通訳・翻訳要員、鑑定人及び検証人に適用する。」。
三、第115条を次のように改める。「当事者間において悪意により通謀して訴訟、調停等の方式を通じて国の利益、社会公共利益又は他人の適法な権益を侵害することを企てた場合には、人民法院は、当該当事者の請求を棄却し、かつ、情状の軽重に応じて罰金又は拘留を科さなければならない。犯罪を構成するときは、法により刑事責任を追及する。
「当事者が一方的に民事事件の基本事実を捏造し、人民法院に対し訴えを提起し、国の利益、社会公共利益又は他人の適法な権益を侵害することを企てた場合には、前項の規定を適用する。」。
四、第130条第2項を次のように改める。「当事者が管轄にかかる異議を提出せず、かつ、応訴・答弁し、又は反訴を提起した場合には、受訴人民法院が管轄権を有するものとみなす。ただし、審級管轄及び専属管轄の規定に違反する場合を除く。」。
五、第140条第2項を次のように改める。「開廷審理をする際は、裁判長又は独任裁判官が当事者を確認し、事件の趣旨を宣布し、裁判要員、裁判官助理及び書記官等の名簿を宣布し、当事者に関係する訴訟上の権利義務を告知し、かつ、当事者に除斥・忌避の申立てを提出するか否かを質問する。」。
六、第184条を次のように改める。「人民法院が選挙民資格事件、失踪宣告又は死亡宣告事件、遺産管理人指定事件、公民の民事行為無能力又は制限民事行為能力の認定にかかる事件、無主財産認定事件、調停合意確認事件及び担保物権実現事件を審理するにあたっては、この章の規定を適用する。この章に規定のない場合には、この法律その他の法律の関係規定を適用する。」。
七、第15章第3節の後に次の一節を追加し、第4節とする。
「第4節 遺産管理人指定事件
「第194条 遺産管理人の確定について争いがあり、利害関係人が遺産管理人を指定するよう申し立てる場合には、被相続人の死亡時の住所地又は主たる遺産所在地の基層人民法院に対し提起する。
「申立書には、被相続人が死亡した時、申立事由及び具体的な請求を明記し、かつ、被相続人の死亡にかかる関連の証拠を添付しなければならない。
「第195条 人民法院は、申立てを受理した後に、審査・事実確認をし、かつ、遺産管理に資するという原則に従い、判決により遺産管理人を指定しなければならない。
「第196条 指定された遺産管理人が死亡し、若しくは終了し、民事行為能力を喪失し、又は遺産管理の職責を継続して履行するすべがないその他の事由が存在する場合には、人民法院は、利害関係人又は本人の申立てに基づき遺産管理人を別途指定することができる。
「第197条 遺産管理人が遺産管理の職責に違反し、相続人、受遺者又は債権者の適法な権益を重大に侵害した場合には、人民法院は、利害関係人の申立てに基づき、その遺産管理人資格を取り消し、かつ、法により新たな遺産管理人を指定することができる。」。
八、第272条を第276条に改め、次のように改める。「渉外民事紛争に起因し、中華人民共和国領域内に住所を有しない被告に対し身分関係以外の訴訟を提起する場合において、契約締結地、契約履行地、訴訟物の所在地、差押えに供することのできる財産の所在地、権利侵害行為地又は代表機構の住所地が中華人民共和国領域内に位置するときは、契約締結地、契約履行地、訴訟物の所在地、差押えに供することのできる財産の所在地、権利侵害行為地又は代表機構の住所地の人民法院が管轄することができる。
「前項の規定のほか、渉外民事紛争と中華人民共和国とにその他の適当な関係が存在する場合には、人民法院が管轄することができる。」。
九、次の一条を追加し、第277条とする。「渉外民事紛争の当事者が人民法院による管轄を選択する旨を書面により合意している場合には、人民法院が管轄することができる。」。
十、次の一条を追加し、第278条とする。「当事者が管轄にかかる異議を提起せず、かつ、応訴・答弁し、又は反訴を提起した場合には、受訴人民法院が管轄権を有するものとみなす。」。
十一、第273条を第279条に改め、次のように改める。「次に掲げる民事事件については、人民法院が専属的に管轄する。
「(一)中華人民共和国領域内において設立された法人その他組織の設立、解散及び清算並びに当該法人その他組織の行った決議の効力等の紛争に起因して提起された訴訟
「(二)中華人民共和国領域内において審査し付与された知的財産権の有効性に関係する紛争に起因して提起された訴訟
「(三)中華人民共和国領域内における中外合弁経営企業契約、中外合作経営企業契約又は中外合作自然資源探査開発契約の履行に起因して紛争が発生し提起された訴訟」。
十二、次の一条を追加し、第280条とする。「当事者間の同一の紛争について、一方の当事者が外国の裁判所に対し訴えを提起し、他の一方の当事者が人民法院に対し訴えを提起した場合、又は一方の当事者が外国の裁判所に対しても訴えを提起し、また、人民法院に対しても訴えを提起した場合において、人民法院は、この法律により管轄権を有するときは、受理することができる。当事者が排他的管轄合意を締結して外国の裁判所の管轄を選択し、かつ、専属管轄に対するこの法律の規定に違反せず、中華人民共和国の主権、安全又は社会公共利益にかかわらない場合には、人民法院は、受理しない旨を裁定することができる。既に受理している場合には、訴えの提起を却下する旨を裁定する。」。
十三、次の一条を追加し、第281条とする。「人民法院が前条の規定により事件を受理した後に、外国の裁判所が人民法院より先に既に受理していることを理由として、当事者が人民法院に対し訴訟を中止するよう書面により申し立てた場合には、人民法院は、訴訟の中止を裁定することができる。ただし、次に掲げる事由の1つがある場合を除く。
「(一)当事者が人民法院による管轄を選択することに合意し、又は紛争が人民法院の専属管轄に属するとき。
「(二)人民法院が審理したほうが明らかに便利であるとき。
「外国の裁判所が必要な措置を講じて事件を審理せず、又は合理的な期間内に審理終結しない場合には、当事者の書面による申立てにより、人民法院は、訴訟を回復しなければならない。
「外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決又は裁定が人民法院により既に全部又は一部承認されている場合において、当事者が既に承認を取得している部分について再び人民法院に対し訴えを提起したときは、受理しない旨を裁定する。既に受理している場合には、訴えの提起を却下する旨を裁定する。」。
十四、次の一条を追加し、第282条とする。「人民法院が受理した渉外民事事件について、被告が管轄にかかる異議を提起し、かつ、次に掲げる事由を同時に有する場合には、訴えの提起を却下する旨を裁定し、より便利な外国の裁判所に対し訴えを提起するよう原告に告知することができる。
「(一)事件紛争の基本事実が中華人民共和国領域内で発生したものではなく、人民法院による事件審理及び当事者による訴訟への参加がいずれも明らかに不便であるとき。
「(二)当事者間に人民法院による管轄を選択する旨の合意が存在しないとき。
「(三)事件が人民法院の専属管轄に属しないとき。
「(四)事件が中華人民共和国の主権、安全又は社会公共利益にかかわらないとき。
「(五)外国の裁判所が事件を審理したほうが便利であるとき。
「訴えの提起を却下する旨を裁定した後に、外国の裁判所が紛争について管轄権を行使することを拒絶し、必要な措置を講じて事件を審理せず、又は合理的な期間内に審理終結していない場合において、当事者が再び人民法院に対し訴えを提起したときは、人民法院は、これを受理しなければならない。」。
十五、第25章の章名を「送達、調査・証拠取得及び期間」に改める。
十六、第274条を第283条に改め、次のように改める。「人民法院は、中華人民共和国領域内に住所を有しない当事者に対して訴訟文書を送達するにあたり、次に掲げる方式を採用することができる。
「(一)受送達人の所在国と中華人民共和国とが締結し、又は共同で参加している国際条約において定められた方式により送達する。
「(二)外交ルートを通じて送達する。
「(三)中華人民共和国の国籍を有する受送達人に対しては、受送達人の所在国に駐在する中華人民共和国の大使館又は領事館に委託して送達を代理させる。
「(四)当該事件において受送達人が委任した訴訟代理人に対して送達する。
「(五)受送達人が中華人民共和国領域内に設立した独資企業、代表機構、分支機構又は送達を受領する権限を有する業務代理人に対して送達する。
「(六)受送達人が外国人又は無国籍者であり、これらの者が中華人民共和国領域内において設立された法人その他組織において法定代表者又は主たる責任者を担任し、かつ、当該法人その他組織とともに共同被告となる場合には、当該法人その他組織に対して送達する。
「(七)受送達人が外国の法人その他組織であり、当該外国の法人その他組織の法定代表者又は主たる責任者が中華人民共和国領域内にいる場合には、当該外国の法人その他組織の法定代表者又は主たる責任者に対して送達する。
「(八)受送達人の所在国の法律により郵送送達が認められている場合には、郵送送達することができる。郵送の日から3か月が経過して受送達証は返送されていないけれども各種状況に基づき既に送達されたと認定するに足りる場合には、期間満了の日に送達されたものとみなす。
「(九)受送達人の受領を確認することができる電子方式を採用して送達する。ただし、受送達人の所在国の法律で禁止されている場合を除く。
「(十)受送達人が同意するその他の方式を採用して送達する。ただし、受送達人の所在国の法律で禁止されている場合を除く。
「上記方式を用いて送達することができない場合には、公示送達する。公示を発出した日から、60日が経過した場合には、送達されたものとみなす。」。
十七、次の一条を追加し、第284条とする。「当事者が人民法院に調査・収集を申請する証拠が中華人民共和国領域外に位置する場合には、人民法院は、証拠所在国と中華人民共和国とが締結し、若しくは共同で参加する国際条約において定められた方式により、又は外交ルートを通じて調査・収集することができる。
「所在国の法律で禁止されていない状況において、人民法院は、次に掲げる方式を採用して調査・収集することができる。
「(一)中華人民共和国の国籍を有する当事者及び証人に対しては、当事者及び証人の所在国に駐在する中華人民共和国の大使館又は領事館に委託して証拠取得を代理させることができる。
「(二)双方の当事者の同意を経て、インスタントメッセンジャーを通じて証拠取得をする。
「(三)双方の当事者が同意するその他の方式により証拠取得をする。」。
十八、第287条を第297条に改め、第2項を次のように改める。「中華人民共和国領域内において法により下された法的効力の生じた仲裁判断について、当事者が執行を請求する場合において、被執行人又はその財産が中華人民共和国領域内に所在しないときは、当事者は、管轄権を有する外国の裁判所に対して直接に承認及び執行を申し立てることができる。」。
十九、第288条を第298条に改め、次のように改める。「外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決又は裁定について、人民法院による承認及び執行を必要とする場合には、当事者が管轄権を有する中級人民法院に対して直接に承認及び執行を申し立てることができ、また、外国の裁判所が当該国と中華人民共和国とが締結し、若しくは参加している国際条約の規定により、又は互恵の原則に従い、人民法院に承認及び執行を請求することもできる。」。
二十、第289条を第299条に改め、次のように改める。「人民法院は、承認及び執行を申し立て、又は請求する外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決又は裁定について、中華人民共和国が締結し、若しくは参加している国際条約により、又は互恵の原則に従い審査をした後に、中華人民共和国の法律の基本原則に違反せず、かつ、国の主権、安全若しくは社会公共利益を損なわないと認める場合には、その効力を承認する旨を裁定する。執行する必要があるときは、執行命令を発出し、この法律の関係規定により執行する。」。
二十一、次の一条を追加し、第300条とする。「承認及び執行を申し立て、又は請求する、外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決又は裁定について、人民法院は、審査を経て、次に掲げる事由の1つがある場合には、承認及び執行をしない旨を裁定する。
「(一)次条の規定により、外国の裁判所が事件について管轄権を有しないとき。
「(二)被申立人が適法な呼出しを受けておらず、若しくは適法な呼出しを経ているけれども合理的な陳述若しくは弁論の機会を取得しておらず、又は訴訟行為能力を有しない当事者が適当な代理を得ていないとき。
「(三)判決及び裁定が欺罔の方式を通じて取得されたものであるとき。
「(四)人民法院が同一の紛争について既に判決若しくは裁定を下しており、又は第三国の裁判所により同一の紛争について下された判決若しくは裁定を既に承認しているとき。
「(五)中華人民共和国の法律の基本原則に違反し、又は国の主権、安全若しくは社会公共利益を損なうとき。」。
二十二、次の一条を追加し、第301条とする。「次に掲げる事由の1つがある場合には、人民法院は、当該外国の裁判所が事件について管轄権を有しないと認定しなければならない。
「(一)外国の裁判所がその法律により事件について管轄権を有さず、又はその法律により管轄権を有するけれども、事件にかかわる紛争と適当な関係がないとき。
「(二)専属管轄についてのこの法律の規定に違反するとき。
「(三)裁判所の管轄を当事者が排他的に選択した合意に違反するとき。」。
二十三、次の一条を追加し、第302条とする。「当事者が人民法院に対し外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決及び裁定の承認及び執行を申し立てた場合において、当該判決及び裁定のかかわる紛争と人民法院が審理中である紛争とが同一の紛争に属するときは、人民法院は、訴訟を中止する旨を裁定することができる。
「外国の裁判所が下した法的効力の生じた判決又は裁定がこの法律所定の承認条件に適合しない場合には、人民法院は、承認及び執行をしない旨を裁定し、かつ、既に中止されている訴訟を回復する。この法律所定の承認条件に適合する場合には、人民法院は、その効力を承認する旨を裁定し、執行する必要があるときは、執行命令を発出し、この法律の関係規定により執行し、既に中止されている訴訟については、訴えを却下する旨を裁定する。」。
二十四、次の一条を追加し、第303条とする。「当事者は、承認及び執行する旨又は承認及び執行をしない旨の裁定について不服がある場合には、裁定送達の日から10日内に1級上の人民法院に対して再議を申し立てることができる。」。
二十五、第290条を第304条に改め、次のように改める。「中華人民共和国領域外において下された法的効力の生じた仲裁判断につき、人民法院の承認及び執行を必要とする場合には、当事者は、被執行人の住所地又はその財産所在地の中級人民法院に対し直接に申し立てることができる。被執行人の住所地又はその財産が中華人民共和国領域内にない場合には、当事者は、申立人の住所地又は判断にかかる紛争と適当な関係を有する場所の中級人民法院に対し申し立てることができる。人民法院は、中華人民共和国が締結し、若しくは参加している国際条約により、又は互恵の原則に従い取り扱わなければならない。」。
二十六、次の一条を追加し、第305条とする。「外国国家にかかわる民事訴訟については、外国国家の免除に関係する中華人民共和国の法律の規定を適用する。関係する法律に定めのない場合には、この法律を適用する。」。
この決定は、2024年1月1日から施行する。
「民事訴訟法」については、この決定に基づき相応する改正をし、かつ、条文の順序について相応する調整をし、新たに公布する。
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