情報ネットワークを利用して人身上の権益を侵害する民事紛争事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定(2020年)
2014年8月21日法釈[2014]11号により公布、同年10月10日施行
2020年12月29日法釈[2020]17号により改正公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]17号
二十六、「情報ネットワークを利用して人身上の権益を侵害する民事紛争事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定」を改める。
1.序文を次のように改める。
「情報ネットワークを利用して人身上の権益を侵害する民事紛争事件を正確に審理するため、『民法典』、『ネットワーク情報の保護を強化することに関する全国人民代表大会常務委員会の決定』、『民事訴訟法』等の法律の規定に基づき、裁判の実践を考え合わせ、この規定を制定する。」
2.第2条、第5条、第8条、第12条、第15条及び第16条を削除する。
3.第3条を次のように改める。
「原告が民法典第1195条及び第1197条の規定によりネットワークユーザー又はネットワークサービスプロバイダを訴えた場合には、人民法院は、受理をしなければならない。
原告がネットワークユーザーのみを訴えた場合において、ネットワークユーザーが、権利侵害の嫌疑にかかわるネットワークサービスプロバイダを共同被告又は第三者として追加することを請求するときは、人民法院は、許可をしなければならない。
原告がネットワークサービスプロバイダのみを訴えた場合において、ネットワークサービスプロバイダが、確定可能なネットワークユーザーを共同被告又は第三者として追加することを請求するときは、人民法院は、許可をしなければならない。」
4.第6条を次のように改める。
「人民法院は、民法典第1195条第2項の規定を適用し、ネットワークサービスプロバイダの講じた削除、遮断、リンク切断等の必要な措置が適時であったか否かを認定する際に、ネットワークサービスの類型及び性質、有効な通知の形式及び正確度、ネットワーク情報による権益侵害の類型及び程度等の要素に基づき総合的に判断しなければならない。」
5.第7条を次のように改める。
「自らの発表した情報につき削除、遮断、リンク切断等の措置を講じられたネットワークユーザーがネットワークサービスプロバイダが違約責任又は権利侵害責任を負うよう主張する場合において、ネットワークサービスプロバイダが民法典第1195条第1項所定の有効な通知の受領を理由として抗弁するときは、人民法院は、支持をしなければならない。」
6.第9条を次のように改める。
「人民法院は、民法典第1197条によりネットワークサービスプロバイダが『知り、又は知るべきである』か否かを認定する場合には、次に掲げる要素を総合的に考慮しなければならない。
(一)ネットワークサービスプロバイダが人工又は自動の方式により、権利侵害ネットワーク情報に対し推薦、順位付け、選択、編集、整理、修正等の方式で処理をしているか否か。
(二)ネットワークサービスプロバイダが具備するべき情報管理の能力並びに提供するサービスの性質、方式及びその権利侵害を引き起こす可能性の大きさ
(三)当該ネットワーク情報による人身上の権益への侵害の類型及び顕著度
(四)当該ネットワーク情報の社会への影響度又は一定時間内におけるページビュー数
(五)ネットワークサービスプロバイダが権利侵害予防措置を講ずる技術的な可能性及び当該ネットワークサービスプロバイダが相応する合理的措置を講じたか否か。
(六)ネットワークサービスプロバイダが同一のネットワークユーザーの重複する権利侵害行為又は同一の権利侵害情報に焦点をあて相応する合理的な措置を講じたか否か。
(七)当該事件と関連するその他の要素」
7.第17条を次のように改める。
「ネットワークユーザー又はネットワークサービスプロバイダが他人の人身上の権益を侵害して財産損害又は重大な精神的損害をもたらした場合において、被権利侵害者が民法典第1182条及び第1183条の規定により、当該ネットワークユーザー又はネットワークサービスプロバイダに賠償責任を負うよう請求するときは、人民法院は、支持をしなければならない。」
8.第18条を次のように改める。
「被権利侵害者が権利侵害行為を制止するために支払った合理的支出は、民法典第1182条所定の財産損害であると認定することができる。合理的支出には、被権利侵害者又は委託代理人が権利侵害行為について調査及び証拠取得をしたことにかかる合理的費用を含む。人民法院は、当事者の請求及び具体的な事案に基づき、国の関係部門の規定に適合する弁護士費用を賠償範囲内に算入することができる。
被権利侵害者が人身上の権益が侵害を受けたことによりもたらされた財産損害及び権利侵害者がこれにより取得した利益について確定するのが困難である場合には、人民法院は、具体的な事案に基づき、50万元以下の範囲内において賠償金額を確定することができる。」
9.条文の順序について相応する調整をする。
情報ネットワークを利用して人身上の権益を侵害する民事紛争事件を正確に審理するため、「民法典」、「ネットワーク情報の保護を強化することに関する全国人民代表大会常務委員会の決定」、「民事訴訟法」等の法律の規定に基づき、裁判の実践を考え合わせ、この規定を制定する。
第1条 この規定において「情報ネットワークを利用して人身上の権益を侵害する民事紛争事件」とは、情報ネットワークを利用して他人の氏名権、名称権、名誉権、栄誉権、肖像権、プライバシー権等の人身上の権益を侵害するこ...