民事事件を審理する際の訴訟時効制度適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定(2020年)
2008年8月21日法釈[2008]11号により公布、同年9月1日施行
2020年12月29日法釈[2020]17号により改正公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]17号
十一、「民事事件を審理する際の訴訟時効制度適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定」を改正する。
1.序文を次のように改める。
「法律の訴訟時効制度に関する規定を正確に適用し、かつ、当事者の適法な権益を保護するため、『民法典』、『民事訴訟法』等の法律の規定により、裁判の実際を考慮し、この規定を制定する。」
2.第2条、第5条及び第20条を削除する。
3.第3条を次のように改める。
「当事者が訴訟時効の抗弁を申し立てない場合には、人民法院は、訴訟時効の問題について釈明をしないものとする。」
4.第6条を次のように改める。
「履行期間を約定していない契約であって、民法典第510条及び第511条の規定により、履行期間を確定することができるものについては、訴訟時効期間は、履行期間満了の日から起算する。履行期間を確定することができないものについては、訴訟時効期間は、債権者が債務者に義務履行を要求する猶予期間満了の日から起算する。ただし、債権者の第1回の債務者に対する権利主張の際に債務者が義務を履行しない旨を明確に表明する場合には、訴訟時効期間は、債務者が義務を履行しない旨を明確に表明した日から起算する。」
5.第7条を次のように改める。
「取消権を享有する当事者の一方が契約の取消しを請求する場合には、民法典の除斥期間に関する規定を適用しなければならない。相手方当事者が契約取消請求権に対し訴訟時効の抗弁を申し立てる場合には、人民法院は、支持をしない。
契約が取り消された場合には、財産返還及び損害賠償請求権の訴訟時効期間は、契約が取り消された日から起算する。」
6.第10条を次のように改める。
「次に掲げる事由の1つを有する場合には、民法典第195条所定の『権利者が義務者に対し履行請求を提出した』であると認定しなければならず、訴訟時効中断の効力が生ずる。
(一)当事者の一方が直接に相手方当事者に権利主張文書を引き渡し、相手方当事者が文書上に署名し、若しくは押印し、又は署名若しくは押印をしないけれども他の方式により当該文書が相手方当事者に到達した旨を証明することができるとき。
(二)当事者の一方が信書又はデータ電文を発送する方式により権利を主張した場合において、信書又はデータ電文が相手方当事者に到達し、又は到達するべきとき。
(三)当事者の一方が金融機構である場合において、法律の規定又は当事者の約定により相手方当事者の口座から未払金の元利を控除して収受するとき。
(四)当事者の一方が行方不明である場合において、相手方当事者が国家級又は行方不明の当事者の一方の住所地の省級の影響のある媒体において権利主張内容を有する公告を掲載したとき。ただし、法律及び司法解釈に別段の特別の定めがある場合には、当該定めを適用する。
前項第(一)号の事由において、相手方当事者が法人その他の組織である場合には、署名受領者は、その法定代表者、主たる責任者、信書の受領・発送に責任を負う部門又は被授権主体であることができる。相手方当事者が自然人である場合には、署名受領者は、自然人本人、同居する完全な行為能力を有する親族又は被授権主体であることができる。」
7.第13条を次のように改める。
「次に掲げる事項の1つについては、人民法院は、訴えの提起と同等の訴訟時効中断の効力を有するものと認定しなければならない。
(一)支払命令の申立て
(二)破産の申立て及び破産債権の届出
(三)権利主張のための義務者の失踪又は死亡宣告の申立て
(四)訴訟前財産保全及び訴訟前臨時禁令等の訴訟前措置の申立て
(五)強制執行の申立て
(六)当事者の追加の申立て又は訴訟に参加するよう通知されること。
(七)訴訟における相殺の主張
(八)訴えの提起と同等の訴訟時効中断の効力を有するその他の事項」
8.第16条を次のように改める。
「義務者が分割履行、一部履行、担保の提供、履行の延期請求、債務弁済計画の制定等の承諾又は行為をした場合には、民法典第195条所定の『義務者が義務の履行に同意した』ものと認定しなければならない。」
9.第22条を次のように改める。
「訴訟時効期間が満了し、当事者の一方が相手方当事者に対し義務履行に同意する旨の意思表示をし、又は自由意思により義務を履行した後に、再び訴訟時効期間の満了を理由として抗弁をした場合には、人民法院は、支持をしない。
当事者双方が、原債務について新たな合意を達成し、債権者が義務者の訴訟時効抗弁権の放棄を主張する場合には、人民法院は、支持しなければならない。
訴訟時効期間を超えて、貸主が借主に対し期限到来した借入金の催告回収通知書を発行した場合において、債務者が通知書に署名し、又は押印をして、借主が訴訟時効期間が既に満了している義務の履行に同意したと認定することができるときは、借主が訴訟時効抗弁権を放棄したことに関する貸主の主張については、人民法院は、支持をしなければならない。」
10.条文の順序について相応する調整をする。
法律の訴訟時効制度に関する規定を正確に適用し、かつ、当事者の適法な権益を保護するため、「民法典」、「民事訴訟法」等の法律の規定により、裁判の実際を考慮し、この規定を制定する。
第1条 当事者は、債権請求権に対し訴訟時効の抗弁を申し立てることができる。ただし、次に掲げる債権請求権に対し訴訟時効の抗弁を申し立てる場合には、人民法院は、支持をしない。
(一)預金の元金及び利息支払い...