環境民事公益訴訟事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈(2020年)
2015年1月6日法釈[2015]1号により公布、同年1月7日施行
2020年12月29日法釈[2020]20号により改正公布、2021年1月1日施行
法釈[2020]20号
四、「環境民事公益訴訟事件を審理する際の法律適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の解釈」を改める。
1.序文を次のように改める。
「環境民事公益訴訟事件を正確に審理するため、『民法典』、『環境保護法』、『民事訴訟法』等の法律の規定に基づき、裁判の実践を考え合わせ、この解釈を制定する。」
2.第2条を次のように改める。
「法律及び法規の規定により、区を設ける市級以上の人民政府の民政部門において登記された社会団体、基金会及び社会サービス機構等は、これを環境保護法第58条所定の社会組織と認定することができる。」
3.第9条を次のように改める。
「人民法院は、原告が提出する訴訟上の請求が社会公共利益を保護するのに不足すると認める場合には、当該原告に対し侵害停止、生態環境の修復等の訴訟上の請求の変更又は追加を釈明することができる。」
4.第11条を次のように改める。
「検察機関、環境資源保護監督管理職責を負う部門その他の機関、社会組織及び企業・事業単位は、民事訴訟法第15条の規定により、法律コンサルティングの提供、書面による意見提出、調査による証拠取得への助力等の方式を通じて、社会組織が法により環境民事公益訴訟を提起するのを支持することができる。」
5.第12条を次のように改める。
「人民法院は、環境民事公益訴訟を受理した後、10日内に被告の行為に対し環境資源保護監督管理職責を負う部門に告知しなければならない。」
6.第15条を次のように改める。
「当事者が、専門知識を有する者に出廷するよう通知し、鑑定人の出した鑑定意見について、又は因果関係、生態環境修復方式、生態環境修復費用及び生態環境が損害を受けてから修復が完成するまでの期間におけるサービス機能の喪失によりもたらされる損害等の専門的問題について意見を提出させる旨を申し立てた場合には、人民法院は、これを許可することができる。
前項に定める専門家の意見は、証拠質疑を経て、事実を認定する根拠とすることができる。」
7.第18条を次のように改める。
「環境を汚染し、又は生態を破壊して、既に社会公共利益を損ない、又は社会公共利益を損なう重大リスクがある行為について、原告は、侵害の停止、妨害の排除、危険の除去、生態環境の修復、損害の賠償、礼を尽くした謝罪等の民事責任を引き受けるよう被告に請求することができる。」
8.第20条を次のように改める。
「原告が生態環境修復を請求する場合には、人民法院は、被告が生態環境を損害発生の前の状態及び機能に修復する旨を法により判決することができる。完全に修復するすべがない場合には、代替性の修復方式を採用することを許可することができる。
人民法院は、被告が生態環境を修復する旨を判決すると同時に、被告が修復義務を履行しない場合に引き受けるべき生態環境修復費用を確定することができ、また、被告が生態環境修復費用を負担する旨を直接に判決することもできる。
生態環境修復費用には、修復方案の制定及び実施にかかる費用、修復期間のモニタリング及び監督管理費用並びに修復完成後の検収費用、修復効果後の評価審査費用等を含む。」
9.第21条を次のように改める。
「生態環境が損害を受けてから修復が完成するまでの期間におけるサービス機能の喪失によりもたらされた損害及び生態環境機能の永久的な損害によりもたらされた損害を賠償するよう原告が被告に請求する場合には、人民法院は、法により支持をすることができる。」
10.第22条を次のように改める。
「以下の費用を負担するよう原告が被告に請求する場合には、人民法院は、法により支持をすることができる。
(一)生態環境の損害にかかる調査、鑑定評価等の費用
(二)汚染の除去並びに損害の発生及び拡大の防止に支出される合理的な費用
(三)合理的な弁護士費用及び訴訟のため支出したその他の合理的費用」
11.第23条を次のように改める。
「生態環境修復費用につき確定することが困難であり、又は具体的な金額を確定するのに必要である鑑定費用が明らかに高過ぎる場合には、人民法院は、環境汚染及び生態破壊の範囲及び程度、生態環境の希少性、生態環境回復の難度、汚染防止処理設備の運行コスト、被告が侵害行為により取得した利益並びに故意・過失の程度等の要素を考え合わせることができ、かつ、環境資源保護監督管理職責を負う部門の意見及び専門家の意見等を参考にすることができ、合理的に確定する。」
12.第24条を次のように改める。
「人民法院が被告による負担を判決した生態環境修復費用、生態環境が損害を受けてから修復が完成するまでの期間におけるサービス機能の喪失によりもたらされる損害、生態環境機能の永久的な損害によりもたらされる損害等の金員は、損なわれた生態環境の修復に用いなければならない。
調査による証拠取得、専門家によるコンサルティング、検査、鑑定等の、環境民事公益訴訟において敗訴した原告が負担する必要のあるその他の必要費用については、事情を斟酌して上記金員の中から支払うことができる。」
13.第26条を次のように改める。
「環境資源保護監督管理職責を負う部門が法により監督管理職責を履行して原告の訴訟上の請求の全部を実現させ、原告が訴えの取下げを申し立てた場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。」
環境民事公益訴訟事件を正確に審理するため、『民法典』、『環境保護法』、『民事訴訟法』等の法律の規定に基づき、裁判の実践を考え合わせ、この解釈を制定する。
第1条 法律所定の機関及び関係組織が民事訴訟法第55条及び環境保護法第58条等の法律の規定により、社会公共利益を既に損なっており、又は社会公共利益を損なう重大リスクがある環境汚染及び生態破壊行為に対し訴えを提...