2008年11月25日付で国家外貨管理局及び国家税務総局より「サービス貿易等項目対外支払の税務証明提出関連問題に関する通知」(以下、「通知」と言います。)が発表されました。3万米ドル以下のサービス貿易関連の対外支払については税務証明の提出を不要とするほか、金額にかかわらず税務証明の提出を不要とする項目等についても規定しており、2009年1月1日から、サービス貿易関連の対外支払の実務が次の通り刷新されることになります。(これに伴い、これまでの関連の通知は廃止されます。【1】)
① 3万米ドル以上(3万米ドルは含まず)の、次に掲げるサービス貿易、収益、経常転移及び資本項目の対外送金については、税務証明を提出しなければならない。(通知第1条) ・国内の機構又は個人が国内から取得したサービス貿易収入 |
② サービス貿易には、運送、旅行、通信、建築据付及び役務請負、保険サービス、金融サービス、コンピューター・情報サービス、専有権利の使用及び許諾、スポーツ文化及び娯楽サービス、その他の商業サービス、政府サービス等の取引行為が含まれる。(通知第2条) |
③ 国内の機構又は個人の対外支払のうち、次に掲げる項目については税務証明を提出する必要はない。(通知第4条) ・国内機構の国外で発生する、出張旅費、会議、商品展示・販売等の各種費用 |
サービス貿易関連の対外支払については、1999年10月28日に発布された「国家外貨管理局・国家税務総局の貿易外及び一部の資本取引項目のもとで、外貨売・支払・送金をなすときに税務証憑を提出することに関連する問題に関する通知」(2000年3月1日実施)により、個人では500米ドル以上、企業では1000米ドル以上の場合、支払いの際に税務証憑(納税証明又は免税証明等)を提出するよう求められてきました。
また、今年2月26日には「サービス貿易対外支払に係る税務届出の試行に関係する問題に関する国家外国為替管理局及び国家税務総局の通知」が発布され、一部の地域【2】において、5万米ドル未満の対外支払の際には税務証明の提出を不要とし、5万米ドル以上の場合には、事前に税務局において届出を行い、この届出に基づいて対外支払をすることが認められるようになりました。
国家外貨管理局によると、1999年の制度実施以来、数年間で数百億元の税収増という成果が挙がった一方、近年、サービス貿易は迅速に発展しており、対外支出の規模も年々拡大し、サービス貿易取引の種類も増加、これにともない税収の徴収・管理も複雑化し、銀行の審査・承認手続きに一定の困難をもたらし、企業の対外支払にも影響が出てきていたそうです。【3】
このような状況を改善するため、今年に入ってから一部の地域での試行段階を経て、通知が発布されることになりました。試行段階における規定の内容に比べると、規制対象となる基準が5万米ドルから3万米ドルに引き下げられ、金額にかかわらず税務証明を不要とする項目が明確化されております。
制度開始当初 (2000年3月1日以降) |
地域限定試行政策 (2008年4月1日以降) |
「通知」施行後 (2009年1月1日以降) |
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規制対象となる支払金額基準 | 個人:500米ドル以上 機構:1千米ドル以上 |
個人:500米ドル以上 機構:5万米ドル超 |
個人:3万米ドル超 機構:3万米ドル超 |
送金時の税務証明 | 必要 | 不要(届出が必要) | 必要 |