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税関申告漏れに際して修正自主申告時の罰則等の取扱いについて

Q&A
2022年03月23日

■相談内容

ご担当者様

お世話になっております。

当社の江蘇省にあるグループ会社で、2021年2月に輸入をした設備について、
輸入通関申告に誤りがあり、外貨送金が困難な状況が生じています。

自主修正申告を計画していますが、想定される処罰を事前に理解しておきたく、最新の税関規定に照らし合わせると、罰金・延滞金・税関信用ランクの下降などは想定されますでしょうか?

・2021年1月頃複数の設備を輸入し、先日設置・検収が完了日本に支払いをしようとしたところ、通関履歴がない事が判明。

・複数の設備を1つのインボイスで通関申告してしまい、申告漏れの設備が発生してしまっている(関税・増値税等の納付を行っていない)。

・決済金額は約40百万円(日本円決済)約250万元、関税・増値税の申告漏れが約60万元と想定。
 

■回答内容

 中国の税関には、企業の自発的開示という規定があります。「企業の自発的開示」とは、企業が税関の監督管理要求に照らして、自己検査を通じ、問題のあることを自発的に税関に報告する管理方式であり、主に次の2つの形式があります。(1)税関が発見する前に、企業が経営管理の過程において税関の監督管理規定に適合しない状況のあることを発見し、自発的に、かつ、ありのままに税関に報告するもの、(2)税関が査察を実施する過程において、企業が「査察通知書」に掲げられた査察範囲以外に税関の監督管理規定に適合しない状況のあることを発見し、かつ、税関がその規定違反の関連事実を掌握していない中で、自発的に、かつ、ありのままに税関に報告するものです。


1、 自発的開示につき行政処罰を行わない場合の境界

《税関総署公告2019年第161号公告》(自発的に開示された税にかかわる規則違反行為の処理に関係する事項に関する公告)【1】
一、輸出入企業又は単位が税にかかわる規則違反行為を自発的に開示し、次に掲げる事由の1つがある場合には、『行政処罰法』第27条の規定により、行政処罰をしない。
  (一)税にかかわる規則違反行為が発生した日から3か月内に税関に対し自発的に開示し、危害の結果を自発的に除去したとき。
  (二)税にかかわる規則違反行為が発生した日から3か月以降に税関に対し自発的に開示し、納付漏れ若しくは過少納付の税金の、納付するべき税金に占める割合が10%以下であり、又は納付漏れ若しくは過少納付の税金が50万人民元以下であり、かつ、危害の結果を自発的に除去したとき。

 上記規定に基づくと、自発的開示につき行政処罰を行わない場合には2つの状況があり、1つ目は時間が短いこと、2つ目は金額が小さいことです。
 1つ目の時間が短かいことについては、企業が、例えば3か月内に速やかに自発的に開示し、かつ、税を追納した場合、それは企業の主観的な悪質性が大きくないことを意味しています。企業が納付漏れをしたり、過小納付したりした税金の金額が大きくとも、税関は処罰をしません。
 2つ目の金額が小さいことについては、時間の上では3か月を超えたけれども、金額が小さい場合は、更に2つの状況に分けられます。
(1)納付するべき税金に占める税金の納付漏れ又は過小納付の比率が10%以下であること、
(2)税金の納付漏れ又は過小納付が50万人民元以下であること


2、延滞金の減免に関係する規定

 《税関査察条例実施弁法(2016)》(税関総署令第230号)【2】第27条第2項において、「自発的に開示し、かつ、税金を追納した輸出入企業及び単位について、税関は、延滞金を減免することができる。」と規定していますので、貴社が自発的に開示し、かつ、税金を追納した場合、税関は、延滞金を減免することができる可能性があります。


3、企業信用管理の面の規定

 税関総署2019年第161号公告第3条もおいて「三、輸出入企業及び単位が自発的に開示し、かつ、税関により警告をされ、又は50万元以下の罰金の行政処罰を科された行為については、税関が企業信用状況を認定する記録に組み入れない。認証企業が税にかかわる規則違反行為を自発的に開示した場合には、税関による立件調査期間においては、当該企業に対する相応の管理措置の適用を一時停止しない。」と規定しています。


4、自発的開示の例外

 《税関査察条例実施弁法(2016)》(税関総署令第230号)において以下のとおり自発的開示の例外について規定しています。

第25条  輸出入企業及び単位が自発的に税関に対し書面により、税関監督管理規定に違反する自らの行為を報告し、かつ、税関の処理を受け入れた場合には、税関は、関係する企業及び単位による自発的な開示と認定することができる。ただし、次に掲げる事由の1つのある場合を除く。
(一) 報告前に税関が既に違法の手がかりを掌握していたとき。
(二)報告前に税関が既に被査察人に査察の実施を通知していたとき。
(三)報告内容が甚だしく事実と一致せず、又はその他の違法行為を隠蔽したとき。


5、自発的開示の政策が発布される前の税関の処罰規定

 

《税関行政処罰実施条例》(国務院令第420号 / 現行有効  /   2004年11月1日実施)
「第15条 輸出入貨物の品名、税則番号、数量、規格、価格、貿易方式、原産地、積出地、到着地、最終目的地その他の申告するべき項目につき申告せず、又は申告が不実である場合には、それぞれ次に掲げる規定により処罰をする。違法所得のある場合には、違法所得を没収する。
  (一)税関の統計の正確性に影響を及ぼす場合には、警告し、又は1000元以上1万元以下の罰金を科する。
  (二)税関の監督管理秩序に影響を及ぼす場合には、警告し、又は1000元以上3万元以下の罰金を科する。
  (三)国の許可証書管理に影響を及ぼす場合には、貨物価値の5%以上30%以下の罰金を科する。
  (四)国の税金徴収に影響を及ぼす場合には、納付漏れの税金の30%以上2倍以下の罰金を科する。
  (五)国の外貨又は輸出税還付管理に影響を及ぼす場合には、申告価格の10%以上50%以下の罰金を科する。」。

 上記2004年の処罰条例に基づくと、企業が規則違反を発見しながら自発的に開示せず、税関に税金の納付漏れ又は過小納付を発見され、国の税金徴収に影響を及ぼす場合には、納付漏れの税金の30%以上2倍以下の罰金を科せられるおそれがあり、処罰の程度は大きなものになります。
 2019年以降、各地の税関で次々に公表された自発的開示事件に対する処罰結果によれば、各地の税関は、いずれも企業の自発的開示の具体的な情状を踏まえて、軽きに従った、又は減軽した処罰をしており、実際の処罰結果は、上記2004年の処罰条例に対応して企業が本来受けるべき処罰よりもはるかに軽いものとなっています。
 
 今回のご質問につきましては、上記規定を参考にしていただき、まず貴社において、その輸入貨物の納付するべき税金の総額がいくらかを確認してみる必要があり、納付するべき税金に占める税金の納付漏れ又は過小納付の比率が10%以下である場合は、税関の自発的開示にかかる政策に基づき、税関による事実確認後に、行政処罰不実施の結果を得られる可能性があります。
 仮に10%を超えていたとしても、税関に対し自発的に開示し、自発的に追納を申請し危害の結果を除去すれば、2004年の処罰条例に比べて、軽きに従った、又は減軽した処罰となる可能性があります。
 


【1】http://www.customs.gov.cn/customs/302249/302266/302267/2687641/index.html

【2】http://www.customs.gov.cn//customs/302249/302266/302267/630722/index.html