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【ミニコラム 第173号】HYROX「ダブルスタンダード」騒動

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2026年09月18日


 本コラムでは以前、中国で人気が急上昇しているフィットネスレース「HYROX」を紹介しました。その際には、参加のハードルが比較的低く、中国不動産大手・万科の創業者で、75歳の王石氏まで挑戦していることに触れ、中国のスポーツトレンドに対するアンテナの高さと行動の速さには感心したものです。
 ところが最近、北京大会で起きた「選手が競技中に便失禁しながらも優勝した」という出来事をめぐり、HYROXを見る目が少し変わってしまうような騒動が起きました。
 オーストラリア人選手のジョアンナ選手が、バーピージャンプの種目中に便失禁し、排泄物によってコースや共用器具が汚れたにもかかわらず、そのまま競技は続行。その後、1000人を超える参加者が同じ会場や器具を使って競技を行いましたが、大会側から選手へのペナルティーはありませんでした。
 この便失禁の動画は、現在は汚い部分がモザイク処理されていますが、動画が拡散され始めた当初はモザイクがなかったらしく、それを視た人は思わず携帯を遠ざけてしまったというくらい悲惨な状況だったらしいので、現場で競技に参加していた人たちは汚物散乱と臭いのなかで競技を続けざるを得なかったようです。
 さらに疑問視されたのが、ルール運用の「ダブルスタンダード」です。HYROXの規則では、地面につばを吐いたり、鼻をかんだりした場合には2分間のペナルティーが科されると明記されています。同じ大会では、飲んでいた水が顔にかかったことでペナルティーを受けた選手もいたといいます。それにもかかわらず、広い範囲を汚した今回のでは処分なし。この対応に納得できないという声が相次ぎました。
 便を垂れ流しながら競技を続けるその神経の太さに感心しますが、騒動後、ジョアンナ選手はSNSに「勝ちは勝ち」と投稿しています。「勝ち」は「勝ち」でもどんだけ周りに迷惑をかけたのか全く理解していない、中国語で「自私(自己中)」だとしか思われないんですが…
 以前の記事では、HYROXの参加費がシングルで799元、ダブルスで1499元と決して安くないことも紹介しました。それだけの参加費を取る大会でありながら、基本的な衛生管理や競技の公平性さえ十分に確保できていないとすれば、何とも皮肉な話です。
 さらに現在、上海大会ではこの騒動を受けて複数の参加者が出場を取りやめていますが、キャンセル時には450元の手数料が差し引かれるとのこと。結果として、騒動による負担が参加者側に転嫁される形となっており、ここでも批判が起きています。
 人気急上昇の「HYRO」が全く想定外のところで躓いてしまったようです。

 

三石


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