労災認定の話題は労働者にとって常に関心事ですが、数日前、「従業員の退勤途中の逆走による交通事故、労災認定されず」というニュースが世間を騒がせました。
事故当事者の袁氏は、昨年5月、電動自転車で退勤中に道路を逆走し、路側の防護柵に衝突して転倒し、骨盤骨折と診断されました。袁さんは会社に労災認定を求めましたが、認めてもらえず、補償金について合意できなかったため、同社を裁判所に訴えました。裁判において袁氏は、会社が日常的に過重な時間外労働を課していたため、疲労した状態で夜間に運転することになった結果、事故が引き起こされたと主張しました。裁判所は、袁氏が提出した事故のビデオから、事故発生時、袁氏が道路を逆走し、スピードを出しすぎていたため、過失責任は袁氏にあると判断しました。また、時間外労働は交通事故発生に直接つながるものではなく、本件の権利侵害責任の因果関係の構成要件を欠いているとして、袁氏の訴訟請求のすべてを棄却しました。
ちなみに、「中華人民共和国労働災害保険条例」では、出退勤の途中における交通事故に関して次のように規定されています。
第14条 従業員で、次に掲げる事由の1つに該当するものについては、労働災害であると認定しなければならない。 …(六)出退勤の途中において、本人に主たる責任のない交通事故又は都市軌道交通、旅客運送フェリー若しくは列車事故の傷害を受けたとき。 |
これから見ると、逆走行為さえなければ、袁氏には労災給付を受ける権利があったようにも思われます。事故については同情を禁じ得ませんが、同時に私たち自身も日頃の行動を顧みるきっかけにしたいところです。
三石