

今年の夏休みは、もともと浙江省へ行く予定でした。ところが台風が接近したため、急きょ行き先を河南省に変更。そこで訪れたのが、開封と洛陽という、雰囲気のまったく異なる二つの古都でした。
八つの王朝が都を置いた古都・開封は、想像していたよりずっと小さく、そして古い町でした。黄河の氾濫によって土砂が堆積してきた土地柄もあり、旧市街では大規模な再開発が難しく、街並みには1980~90年代の面影が残っています。ただ、わずか2~3キロの距離でも、タクシーで30分ほどかかり、運転手さんは渋滞への不満を口にしながらも、「老舗の手作り落花生飴こそ本物だ」「市の花である菊は、名物の灌湯包にも使われ、お茶にして飲めば体の熱を冷ましてくれる」と、いろいろ教えてくれました。飾らない親切さが印象に残りました。
一方、十三の王朝が都を置いた洛陽は、まったく違った印象でした。幹線道路が新旧の市街地をつなぎ、30キロあまりの距離でも30分ほどで到着します。
こちらの運転手さんからは、「市内には四つの川が流れていて、大雨でも冠水しにくいんだ」「牡丹の季節には、花を目当てに全国から観光客がやって来る」と地元のことを自慢され、「次はぜひ花の時期に来て」と何度も勧められました。
今回の旅行ではいくつかの観光スポットを回りました。
開封では、地元で「中国版ディズニー」とも呼ばれる「清明上河園」へ。北宋時代の街並みを再現したテーマパークで、園内には北宋風の衣装をまとったキャストが行き交い、100を数えるショーが次々と上演されます。混雑時には、上海ディズニーランドにも引けを取らないほどの人出になるそうです。
洛陽では、龍門石窟と洛陽博物館を訪れました。伊河沿いの断崖に開かれた龍門石窟では、数万体もの仏像が千年以上の時を越えて残されています。なかでも盧舎那大仏の穏やかな表情は印象的でした。洛陽博物館は最近、ひときわ目を引くユニークな文物がSNSで話題になっています。北魏時代の手をつないだ赤陶の女性俑は、その仲のよさそうな姿から、観光客に「私たち二人、世界で一番仲良し(我俩天下第一好)」と冗談まじりに呼ばれており、その前では漢服姿の女性たちが手をつないで写真を撮るために列をつくっていました。三体の鎮墓獣にも「洛博三傻」というユーモラスな呼び名がつけられ、古い文物がどこかかわいらしく見えてくるのも面白いところです。
開封と洛陽は、それほど離れていないのに、町の雰囲気はずいぶん違います。昔ながらの姿を色濃く残す開封と、古都でありながら新しい街づくりが進む洛陽。
同じ古都でも、残っているものも、変わり方もそれぞれです。そんな違いを実際に見られたことも、今回の旅の面白さの一つでした。
三石