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【ミニコラム 第157号】190元と1600キロ

メールマガジン
2026年05月28日


 以前このコラムでも、ECサイトで議論になっている「返金のみ(返品不要)」制度について取り上げました。本来は消費者保護を目的とした仕組みですが、制度を悪用した申請によって、販売者側が不利益を受けるケースも指摘されています。

 最近、中国でその問題を象徴するような事例が話題になりました。
 河南省の販売業者・程氏は、190元の冷凍ドリアンを販売しました。しかし購入者は、カビが生えているように見える写真を偽造して「返金のみ」を申請。プラットフォーム側は約5分で申請を自動承認したといいます。

 程氏は発送時の動画を確認しました。商品はマイナス78度の冷凍輸送で発送されており、短時間でカビが発生するのは不自然だと判断しました。

 その後、程氏は2回にわたり省をまたいで購入者のもとへ向かい、移動距離は合計約1600キロに及びました。購入者宅付近のゴミ箱からは、自社の包装袋が見つかりました。袋に入っていた保冷剤はまだ完全には溶けていなかった一方で、購入者が問題があると主張したドリアンは確認できなかったそうです。

 購入者は「果肉と包装は別々に捨てた」と説明しましたが、程氏は説明に矛盾があるとして警察に通報。その後、購入者は行政拘留7日間の処分を受けました。

 程氏は、190元のために5000元以上を費やしたとされ、取材に対しては、「ゴミ箱を漁ることが、誠実な販売者の最後の防衛線であってはならない」とコメントしています。

 今回の件は、「返金のみ」制度によって不利益を受けてきた多くの販売者の共感を呼びました。一方で、次に同じような被害を受けた販売者が、時間や費用をかけて1600キロも移動し、同じ対応を取れるとは限りません。

 一見すると割に合わないように見えるこうした行動の積み重ねが、ECサイトの環境改善につながっていくことを期待したいところです。
 

三石


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