以前のコラム(「ECサイトの『返金のみ』サービス、ついに終了へ」)で、京東がフードデリバリー市場に参入したことを取り上げました。中国のフードデリバリー市場は長年、美団(メイトゥアン)と餓了麽(ウーラマ)の2強が独占していましたが、京東の参入後、各社は割引分を自社で負担するキャンペーンを展開し、激しい争いを繰り広げています。
私の周りの友人や同僚の多くは、毎日3つのプラットフォームを比較し、最もお得なところで注文しています。たとえば、0.1元(約2円)のレモネードや3~5元(約60~100円)のコーヒー・ジュースといった具合です。プラットフォームが自腹を切って値引きを行うという価格戦争のなか、消費者はお得感に沸き、店舗は売上を伸ばし、新参の京東も一気にユーザーを増やしています。短期的には三方良しの構図です。
しかし、この状況は長くは続かないでしょう。最近、京東フードデリバリーではシステム障害や配達員不足が頻発し、ユーザーから「お腹が空いて倒れそう」と不満の声が上がっています。
また、このほど、市場監督管理総局など5部門は、フードデリバリー業界の競争における問題点(市場競争の混乱、配達員の権利保障不足など)を指摘し、京東、美団、餓了麽などのプラットフォーム企業を呼び出し、不正競争の禁止や労働者権利の改善などを求めました。
当局の指導後、フードデリバリー戦争は収束するかというと―― おそらく、そうはいかないでしょう。ただ、競争の形が価格戦争から別のものに移行する可能性はあります。消費者としては、今のうちにお得を満喫しておくのが得策かもしれませんね!
三石