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【ミニコラム 第105号】ECサイトの「返金のみ」サービス、ついに終了へ

メールマガジン
2025年04月25日

 ここ数年、中国の主要なECプラットフォームで当たり前のように利用されていた「返金のみ」サービスが、ついに終わりを迎えることになりました。拼多多や淘宝、抖音、快手、京東といった大手各社は、この仕組みを一斉に廃止。今後、商品の返品なしで返金ができるかどうかは販売業者の判断に委ねられ、プラットフォーム側は原則として介入しない方針に転換します。

 EC業界における「返金のみ」サービスの歴史を振り返ると、このサービスが登場したのは2021年のこと。生鮮食品やノーブランド雑貨などで、返品の物流コストが商品の原価を上回るケースが多発していた中、「返金のみ」対応はコスト削減とユーザー満足度の向上につながりました。特に拼多多は、全カテゴリーに同サービスを拡大。他のECプラットフォームも市場シェア争いのため、こぞって同サービスを導入しました。
 当時は、商品に問題があった場合、消費者が「返金のみ」を申請すれば、販売者の同意なしにプラットフォームが直接返金を実行。返品も不要という、画期的なサービスでした。しかしその一方で、本コラムの以前の記事でも紹介したように、不正利用も横行し、商品を手元に残したまま返金だけを求める“コズルイ”消費者の存在が問題視され、販売者側の反発を招いていました。

 こうして、4年間続いた「返金のみ」サービスは、販売者と消費者の信頼関係の揺らぎとともに、終幕を迎えることになりました。

 とはいえ、EC業界の動きは止まりません。最近では京東がフードデリバリー市場に本格参入し、会長の劉強東氏自らが配達員に扮して現場の苦労を体験するなど、話題を集めました。変化の激しいこの業界、今後の展開にも注目です。
 

三石


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