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【ミニコラム 第76号】半世紀ぶりの定年延長

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2024年09月13日


 振替出勤となった9月14日の土曜日の朝、会社に着くと従業員が集まって井戸端会議で盛り上がっていました。何の話をしてるんだろうと思ったら、前日13日に公布された「定年延長」の話でした。
 中国の定年年齢は1978年に公布された《労働者の定年退職及び退職に関する国務院の暫定施行弁法》(国発[1978]104号)において「男性60歳、女性幹部55歳、女性一般従業員50歳」と規定され、その後、半世紀近く改定されていませんでした。
 これまでも定年延長(特に女性の)されるという話はでていましたが、ここにきてやっと定年が延長されることになったようです。定年年齢引き上げは、一律に引き上げるではなく、現在の年齢に応じた段階的な引き上げになります(詳細は弊中国ビジネスサイトの法令全文和訳翻訳をご参考ください)。
 ところで、女性の定年年齢は、今回の決定でも幹部と一般従業員で差がつけられています。幹部は58歳、一般従業員は55歳。この区分で注意しないといけないのは、社内規程で幹部とは何かの定義を明確に規定しておくことです。そうしないと定年年齢になって労働紛争が発生することになります。

 9月13日の定年延長決定の公表と同時に社保アプリもすべて更新されており、また、社会保険を管轄する人力資源及び社会保障部のサイトでも今回の定年延長にかかる解説や定年自動計算サイトがすぐにアップ(https://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/ztzl/zt202409/)されており、定年延長は周到に事前準備したうえで公表されているようです。
 
 今回の決定公表では定年延長がクローズアップされていますが、実は同時に養老保険の納付年数が引き上げられました。これまで最低納付年数は15年(15年払えば年金がもらえる。)だったのが、納付年数が段階的に引き上げられ、2039年には20年になります。

 中国も少子化、老齢化で養老保険の資金確保が必要になっているはずですが、今後、日本の年金と同じような道を進まざるを得なくなるかもしれません。

 

永野


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