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【ミニコラム 第20号】FaceTime詐欺

メールマガジン
2023年07月19日

 先週の土曜日、突然FaceTimeアプリが電話がかかってきました。知らない人だったため、通話拒否したのですが、それでもしつこくかかってくるので、好奇心に駆られてつい応答を押してみました。相手は福建訛りで、カメラはオフで顔を見せず、京東(ジンドン)カスタマーサービスと書かれた画像だけが表示されていました。彼はカスタマーサービスの人間であることを証明するためか、私の身分証明書の下4桁を告げ(いったいどこで入手したのか…)、「通話の目的は売り込みではなく注意喚起のためで、京東白条という後払いサービスを利用すると個人信用照会に影響を与える可能性があるので、京東白条サービスの紐づけ解除を案内する」と言っていましたが、私は京東白条を使っていないので、そこまで聞いてすぐに電話を切りました。
 最近、このようなFaceTime詐欺が横行しているようです。
 アリペイカスタマーサービスを名乗るスタッフからのFaceTime電話で、「個人信用照会に問題があり、各種貸付ルートを取り消さなければならないので、預金保護のため、預金を指定口座に移す必要がある」と説明を受け、6000元以上をだまし取られたり、FaceTimeの電話で、通話相手の推奨アプリをダウンロードするように説得され、アプリ内の指定されたチャットルームに切り替えさせられ、騙されて相手の口座に約5万元を振り込んでしまったりというような事例が相次いでいるようです。
 警察は、アップル社の携帯電話を使用している市民に、「設定」-「FaceTime通話」で、「FaceTime通話」機能をオフにするだけで、危険を避けることができると注意を促しています。なお、FaceTimeばかりでなく、ファーウェイの携帯電話ユーザーについてはfaceTimeと同様の機能である「畅联(meetime)」アプリから詐欺電話をかけているようです。
 以前は詐欺電話のほとんどが、国が提供した詐欺防止アプリや携帯電話のアシスタント機能によって特定され、遮断されていましたが、詐欺師たちも時代に合わせて詐欺の手口をバージョンアップしています。FaceTimeや畅联などを通せば、詐欺防止アプリによる遮断を回避することが可能です。たとえ銀行振込みまではしないとしても、このようなビデオ通話や音声通話に応答すると、詐欺師に多くの個人情報を自ら明かすことにもなりかねませんし、相手は、ビデオや音声を保存することで、顔認識を行ったり、知人になりすましたりして、詐欺を働くかもしれません。
 この種の詐欺を避ける最も簡単な方法は、警察の注意喚起にあるようにFaceTimeや畅联をオフにすることだそうです。日常生活の中で信用照会や送金に絡む電話には注意を払い、疑わしい場合は、最寄りの警察署に連絡するか、詐欺防止ホットライン96110に電話して相談することをお勧めします。
 

(三石)
 

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