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【ミニコラム 第14号】中国の「高考」

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2023年06月09日

 
 中国の大学入学統一試験である「高考」が6月7日から9日の3日間実施されました。
私の家の近くの学校(中学校)も試験会場となっていたようで、パトカーや公安が学校の門のあたりに出動し、受験生に便宜をはかっていました。
 大学入学統一試験である「高考」は、全国一斉に行われるので、日本の共通テストと同じく、全国で同じ試験問題が使われると思っていましたが、実は、「高考」テストは全国の学生が全員同じ問題を解くのではなく、下記のとおり、2023年度について言えば、7種類の試験問題で実施されているということでした。

  対象直轄市、省
1全国甲版 雲南、四川、広西、貴州、チベット
2全国乙版 内モンゴル、吉林、黒竜江、陝西、甘粛、青海、寧夏、ウイグル、山西、安徽、江西、河南
3新高考全国一版山東、広東、湖南、湖北、河北、江蘇、福建、浙江
4新高考全国二版遼寧、重慶、海南
5天津版天津
6上海版上海
7北京版北京

 統一試験と言っても、上記のように試験問題が異なること、かつ日本の大学のような二次試験もない中で、大学への入学合否ラインをどのように公平に決めるのかが疑問だったため、周りの同僚に聞いたり、調べたもらったりしたところ、各大学が地区ごとの入学人数枠を決めており、学生は自分の出身地の枠内で合否を争うという仕組みだということでした。

 下記は上海のいくつかの名門大学の上海と上海以外の入学学生数配分比率ですが、青ラインが上海出身の学生の入学枠比率です。これもみてもわかるように上海の大学は上海出身の学生に対する比率を多く配分されており、その残りの枠が中国全土の上海以外の地区に配分されることになりますから、外地から上海の名門大学への入学は非常に狭き門だということになります。そのため、上海や北京の名門大学に外地から入学している学生は当地出身の学生よりもずっと優秀だと言われているようです…。

 なお、在学中に特に優秀な成績の学生や数学オリンピックのような知名度のある大会で上位に入ったような学生は「保送」という制度で試験を受けずに名門大学に推薦入学できる制度もあります。ただ、この「保送」で選抜されるのは本当に超優秀な学生のみだということのようです。
 いずれにしても、この「高考」は受験生本人のみでなく、家族も胃の痛くなる思いで3日間を過ごすようです。 

(永野)
 

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