最近、中国のSNSでは「淄博BBQ」が大人気となっています。
淄博(しはく / zi1bo4)とは、山東省にある都市の名前です。
中国がコロナ禍から解放されて初めての春、真っ先に回復するのは飲食業や観光業とみられていますが、今年の清明節は振替出勤がなく連休にならなかったので、各都市は、5月1日の「労働節」に狙いを定め、経済成長を後押ししようとしています。
そんな中、これまで無名だった淄博が、しかも何の変哲もないバーベキューで、他都市に先んじて成功をおさめているのですから、これには一考の価値があります。
実は、淄博BBQが注目を浴びた裏には、インフルエンサー都市として売り出すための自治体と民間の連携がありました。具体的には、淄博政府はまず「淄博BBQフェスティバル」を企画し、バーベキュー・クーポンを発行したり、観光客向けのバーベキューをテーマにした日帰り旅行や1泊旅行を売り出したりしました。そして、高速鉄道の駅に「バーベキューボランティア」を配置して観光客を受け入れ、「淄博BBQマップ」を作成して「チェックイン」してもらうようにしました。また、BBQを楽しめる場所に直通するバスルートを21系統新たに追加したほか、毎週末には済南から淄博への「BBQ特別列車」を特別運行し、車中でさまざまなノベルティや、ギフトバッグを配布しました。
このような一連の取り組みにより、淄博はインフルエンサー都市となりましたが、一時的に関心を集めても、それに続くサービスが追い付かなければ、インフルエンサー都市もいつまでもインフルエンサーでいられないと思います。これは、観光都市づくりを目指す都市にとって、しっかりと研究しなければならないテーマではないでしょうか?
(三石)