2006年5月26日、蘇州新区においてキャストコンサルティング(上海)有限公司 蘇州分公司の主催による移転価格セミナーが開催され、三戸俊英会計士が講演し、会場は80名近くの参加者で埋まった。 まず、移転価格税制について、その制度の概略、中国における特徴、基本概念について説明し、次に移転価格税制の調査対象の選定や、調査の流れについて説明した。また、近々出るのではないかと言われている「文書化規定」について、予想される文書化規定の骨格を説明した。 質問コーナーでは、「中小企業も調査対象になるのか」、「本社が世界各国の子会社に販売している材料の値決め資料も提出しなければならないのか」といったような、現実感の伴う質問が次々と出された。 移転価格税制の調査対象になるのは、必ずしも大企業だけに限られるのではない。中国での調査対象件数が多く、なおかつ外商投資企業に的を絞られており、調査ノルマ達成という事情もあって、いつ対象企業に挙げられるとも限らない。いったん調査対象になれば、逃れることはできず、日常業務をこなしながら調査資料の提出などに忙殺されることになる。 企業は、日頃から、親会社との値決めの根拠や取引スキームを明確化し、文書の整理を体系化するなどして、備えておくことが大切であるというのが、このセミナーの一番のポイントであった。 |
キャストコンサルティング(上海)有限公司 蘇州分公司 パラリーガル 児玉 富久実 |