中国の学生に日本企業の法務の現場を知ってもらおうと、キャストグループと上海交通大学法学院が開設した「多国籍企業法務シリーズ講座」の第3回目の講座が9月23日、同法学院キャンパスで行われ、伊藤ハム法務室の大澤頼人室長がライブドア事件など最新の事例を紹介しながら企業法務についてわかりやすく解説した。 対話形式で行われたこの日の講座では、製品問題に対する松下電器とパロマとの対応の違い、旧ヤオハン・ジャパンの証券取引法違反事件、現在公判中のライブドア事件など多くの事例を紹介。「株主への配当を減らして積極的に製品回収に応じた松下電器と、製品回収には消極的な姿勢を示し、全国各地で訴訟が起きているパロマとではどちらの対応がよかったか」などと学生に問いかけながら、「1つの回答はないが、会社と一緒になって経営を支えるのが法務部の仕事」と解説した。 また、架空の利益を計上して負債隠しを行った旧ヤオハン・ジャパン事件については、「会社の経営は間違えることもあるのだから、法務部はしっかりとチェックしなければならない」と内部統制システムの重要性を力説。ライブドア事件については、事件の構図を紹介しながら「中国の集団公司でもありうる話」と注意を喚起。自社のコンプライアンスチェックをしっかりと行うためにも、「法務部で働く人は、法律以外の情報も知っておくことが非常に大切」と話した。 この日の講義には、教室に入りきれないほどの学生が参加。大澤室長が投げかける質問に素早く反応しながら、疲れた様子も見せずに熱心に耳を傾けていた。 |