私はガイドで、タクシーの運転手もしています。景色が絵のように美しく、気候が温和で、旅行先として有名な小都市に住んでいます。旅行シーズンにはガイドとして働き、オフシーズンはタクシー運転手をしています。毎日、いろいろな旅行客を乗せて、駅、旅館、観光名所とホテルの間を行ったり来たりしています。暮らしは忙しく、充実していたけれども、平凡で、静かでした。あの日までは…
招かれざる客
その日、客待ちをしていたところ、若い女性が尋ねてきました。「貸し切りにできますか?」私が「もちろん。できますよ。」というと、彼女は「値段はいくら?この辺の道に詳しいですか?」と聞いてきました。「ご旅行ですか?運転手ですし、ガイドもしてますし。街中だろうが、田舎の細い道だろうが、全部わかりますよ。1日200元、それにガソリン代です。行きたいところにはどこでもご案内しますよ。請け合います。」というとその女性はそれではと、すぐに次の日に迎えに行く時間と場所を私に言いました。
疑いが次々と
次の日、約束した通りホテルに行きました。あの女性のほかに3人いて、その中には外国人も1人いました。彼らのいう方向に走っていくと、道がどんどん狭くなりました。「こっちに観光名所はないのに。こんな辺鄙なところに何をしに?」私は、心の中でつぶやいていました。しばらくしてやっと目的地につくと、そこには1台の大型トラックが停まっていました。彼らは、荷物を積み始めました。大小20箱ほどあり、たくさんのコードと発電機もありました。トラックの運転手にこの人たちは何をしているのかとこっそり尋ねたところ、彼らはここでもう数日間仕事をしている、温泉を探しているらしい、とのことでした。ここに温泉があるとは聞いたことがありません。あったとしても、どうして外国人が探しているのでしょうか?そのとき、突然、この山には重要な科学研究基地があることを思い出しました。緊張して、彼らの一挙一動がとても気になってきました。仕事が終わる際に、「あのコードはちゃんと隠したか?」、「ちゃんと隠した。」というのが聞こえました。普通に仕事をするのに「隠す」必要があるでしょうか?この人たちは、一体何をしているのでしょうか。疑問でいっぱいになりました。
注意深く証拠を取る
帰り道、ますます彼らの行動があやしく思えたので、方法を考えてちょっと探ってみました。来た道を走らずに違う道を走り、どんな反応をするか見ることにしました。走り出して間もなく、あの女性があわてて言いました。「えっ。運転手さん、どこに行くの?これはどこに向かっているの?」私の「この道は近道ですよ、知らないでしょうけど。」という答えで彼女の疑いは消えましたが、私の疑いは更に大きくなりました。研究者や観光客がどうしてこの辺のこんな辺鄙な山道をこのように知っているのでしょうか。彼らは前もって道を決めていたか、しっかりと下見をしていたに違いありません。それに、来た道を走らないだけで、なぜこんなに慌てるのでしょうか?
思い切って通報
家に帰った後、私は、昼間にあった出来事を何度も思い返し、どうして腑に落ちないのかと考えました。すると、頭の中に突然「スパイ」の文字が閃きましたが、まさか、あの人たちがスパイのはずがないでしょう。妻に話したところ、考えすぎだといわれました。しかし、毎年参加しているガイドの研修の際にいつも受けている国家安全教育、そこでの警告事例を思い出し、あの人たちは怪しい!と思いました。何度も考えた後、私は通報することにしました。彼らがスパイでなくても、その疑いがある限り、義務を尽くさなければなりません。最後は、私は「12339」通報電話をし、遭遇した状況を国家安全機関に報告しました。
事の真相が明らかに
その後、国家安全機関の検証を経て、元々、この人たちは某国の某実地調査測量製図機構で働いていたが、認可を経ないで、相次いで我が国のいろいろな省において不法な実地調査・測量をし、我が国から大量の機微な地理情報と秘密にかかわる地質資料を盗み、我が国の安全を脅かしていたことが明らかになり、関連人員は、国家安全機関から法により処分を受けました。
通報した功績により、国家安全機関は私に報奨を与え、私のために表彰大会を開催して栄誉証書を授与しました。私のような平凡な人間でも国の安全を維持保護するために貢献することができるとは思ってもいませんでした。これは私の一生の栄誉、一生の誇りです。今回の経験で国の安全の維持保護について深く考えさせられました。皆さんも私もみな英雄です。
(真実の通報事例に基づき改編。)
原文:我是如何发现间谍的——一位间谍发现者的自述(2024年7月23日国家安全部)
https://mp.weixin.qq.com/s/YDVzuQjQkIcUsrCoYEb2kA